静かな世界を取り戻すために
魂賭けて誓おう
打たれるほどにわき起こるよ
勇気がもう止まらない
ガレキの中で埋もれはしない
立ち上がれ 愛のDNA パワーに変え
アバレた数だけ自分を知る
アバレた数だけ痛みを知るよ
アバレアバレアバレまくれ Get up!
アバレアバレアバレ続けろ
爆竜戦隊アバレンジャー!
アバレンジャー!
爆竜戦隊アバレンジャーDGE 〜Dino Guts Evolution
Evolution:02『誕生・アバレンジャー!』
薄暗い部屋の中に、白いベッドがある。
その上に、一人の少女が横たわっていた。
ティラノサウルスによく似た恐竜に襲われ、その体は重傷を負っていた。
物音は無く、ただ少女の小さな息遣いと心電図の規則的な電子音のみが響く。
ベッドの枠には、少女の身元を示す名札が付いている。
彼女の名は、赤井ほむらと言った。
* * *
「必ず居るはずだ…! 聞こえたものはいないのか!?」
同じ頃、あの青年が戦士たちを探し市街を走り回っていた。
ベコッ、ベコッ
そんな彼が一歩足を踏み出すたびに足元から妙な音がする。
「こらっ、車の上に乗るやつがあるかッ!」
突然、タクシーの運転手が青年を怒鳴る。なんと彼は車の上を歩いていたのだ。
「あっ、いけないことでしたかっ!?」
驚いて車から飛び降り、
「すみませんっ」
そう言って頭を下げると、青年は再び当ても無く走り出した。
* * *
ブオロロロロロ…
低いエンジン音をたてながら、一台の車が道を行く。
「…むっ?」
交差点に差し掛かったところで、とつぜん運転手の視界に影が飛び込んでくる。
「ひにゃぁぁぁっ!!?」
「いけないっ!」
とっさにブレーキを踏む。かろうじてぶつかる前に止める事ができた。
「…大丈夫かい?」
車のドアが勢いよく開き、中から中年の男性が顔を出した。
茶色のスーツをまとったその姿は、昨夜謎の声を聴いた紳士だ。
「はにゃ〜…。だいじょーびだいじょーび。…ちょ〜っと無茶しただけだから〜」
間延びした返事をしながら、車の前でコケた人影が起き上がる。
腰まで伸びた紫色の髪は、紳士と同じく謎の声を聴いた少女だ。
「大丈夫ですかっ!!?」
その声に二人が振り向く。二人を見つけた鎧の青年がこちらへと走ってくる。
「…はにゃ?」
「…はっ!」
青年を見た二人の表情が変わる。
「…?」
「あなたが…」
「アオイさんですね〜!!?」
二人はほぼ同時に声を上げる。その言葉に、アオイと呼ばれた青年の顔がぱぁっと明るくなる。
「…あ、逢えた…。やっとこの世界の戦士に……!」
* * *
「…“爆竜”〜?」
紫色の髪の少女が素っ頓狂な声を上げた。
「そうです。彼らは“敵”に操られ、この世界をさらに破壊しようとしています。
…でも本当は…心と力をあわせ、悪と戦える戦士を求めているんです!!」
「…私たちが、あの爆竜くん達と一緒に…?」
紳士の言葉に、大きくうなづいて応えるアオイ。
「美幸やるよ〜! 前からすっごく憧れてたんだ〜v こんなチョー凄い事に!」
嬉しそうにアオイの手をとり、ブンブン振り回す少女。
「…勿論、私もお力になります!」
さらにその手をぐっと握り、紳士が力強く言った。
「…ありがとう……ございます…」
二人の言葉に、感極まり思わず涙ぐむアオイ。
「では、改めて自己紹介を。僕の名前はアオイ。ダイノアースと言う異世界から来ました」
「美幸は〜…じゃなくって。私は寿美幸(ことぶき・みゆき)。“ゆっきー”って呼んでね〜」
「私は、天之橋一鶴(あまのはし・いっかく)です」
と、名前を聞いた美幸が少し考えるしぐさをする。
「…どうしました?」
話しかけるアオイ。と、突然美幸が声を上げた。
「じゃあ、アオろんに…カクさんだねっv」
・
・
・
「…アオろん?」
「…カ、カクさん…?」
満面の笑みで命名する美幸に、二人はただ引きつった笑いを見せるしかなかった…。
* * *
一方、その頃…。
アオイより一足先にアナザーアース…こちら側の世界へと進入してきた巨大要塞が、行動を開始しようとしていた。
その中枢機関では、漆黒の甲冑に身を包んだ戦士が操縦桿に相当する巻貝に思念を送りながら要塞を動かしている。
「…爆竜たちよ!」
その言葉と同時に巻貝から戦士のドス黒い思念がパルス状になって放射され、地下に潜んでいる恐竜…爆竜に指令を送る。
「“エヴォリアン”の未来のために、アナザーアースを破壊しろ! …それが唯一、幸福への道なのだ!!!」
要塞から発せられるパルス思念により、操り人形同然となる爆竜たち。その瞳の奥には、苦痛に満ちた色が秘められていた…。
* * *
はばたきの街が夜の闇に包まれ、再びネオンに明かりがともる。
その一角に、女子高生と紳士、そして鎧姿の青年がいた。
「…これがダイノブレスなんだねぇ〜。これで〜、“正義のすーぱーひーろー”になれるなんてスゴイよ〜!!!」
「そのうえ、爆竜くんたちが元に戻れば。会話をすることも出来る…!」
嬉しそうに話す美幸と天之橋。…もとい、カクさん。
その左腕には、アオイがしているものに良く似たブレスが装着されている。
美幸のブレスは黄色の翼竜の頭部を、カクさんのブレスには蒼い剣竜の頭部を模したプレートがそれぞれ填め込まれている。
「…だけど、本当はあと一人……三人そろわないと最大の力は…」
そう言いながらアオイは手にしたもう一つのダイノブレスを握り締めた。そのブレスには、真紅の恐竜の頭がプレートの形を成し填め込まれていた。
ゴゴゴゴゴ…
「きゃっ!?」
と、突然地鳴りとともに地面が揺れる。
「…あれは…!」
キシャーッ!
オォォォォーン!!
「トリケラ…プテラ!!」
四足で地面を砕きながら進む、トリケラトプス。
空を縦横無尽に飛翔する翼竜…プテラノドン。
「みんな……」
そして、2体の爆竜…否、操られた…暗黒爆竜…に続き、ティラノサウルスもその巨体を現した。
「…カクさん、やろうよ〜、“爆竜チェンジ”!」
美幸が声を上げた。
「爆竜…。ええ、やりましょう!」
その言葉に応じるカクさん。
2人同時にダイノブレスを掲げ、叫ぶ。
「「爆竜・チェンジ!!」」
ブレスを中心に光がほとばしり、2人の体を蒼と黄色のスーツが包み込む。
そしてその光はそのまま2人の頭まで至る…かに思えた。
バシィィィッ!!!
「!」
「!?」
光がヘルメットを形成しようとした瞬間、エネルギーが逆流し、それまで装着していたスーツも一気にはじけ飛んでしまう。
「はにゃぁぁぁぁぁ〜」
「カクさん、美幸さん!」
反動で吹き飛ばされた2人の元に、アオイが駆けつける。
「な、何故…」
「…残念ですが、お2人の体ではスーツの力に耐えられないとみなされたようです…」
ガァァァァァァァァッ!
その間にも、“敵”に操られた暗黒爆竜たちは街を破壊していく
「…そんな…」
変身できない事実を突きつけられ、愕然とするカクさん。
「何も…してやれないと言うのですか…。私たちを求めてくれた爆竜くんたちがあんなに苦しんでいると言うのに…私たちには何もするなと…!?」
「それは違いますっ!」
カクさんの言葉をさえぎってアオイが言った。
「ダイノガッツは、人類誕生のときから誰しもが受け継いだはずの力…。戦士として戦うほどの強さを持つ者は別にいると…」
そこまで言って、口をつぐむアオイ。いつの間にか、暗黒爆竜たちはアオイたちを攻撃のターゲットにしていた。
「こっちに…来る…!」
「はにゃ〜、どうすればいいの〜!?」
* * *
「も〜っ。“声”を追っかけてたらバイト三つもサボっちゃったよぉ…。クビになっちゃうだろうなぁ…」
「うーん。“解析くん2号”は途中でマシントラブル起こしちゃうし、“乗っけてくん4号”はエンストするし…。走るのだってそんなに得意じゃないんだからぁ…」
・
・
・
2人の少女が“声”を追いかけ、はばたき市に向かうその頃、アオイ、美幸、カクさんの3人は今まさに爆竜たちに襲われようとしていた。
ガオォォォォォッ!
オォォォォーン!
キシャァァァァッ!
闇色に光る暗黒爆竜の瞳が3人を捉える。
「くっ、万事休すか…!」
アオイが2人をかばいながら言った。爆竜たちはなおも3人に近づく。
「いたっ!」
「見つけたよっ!!」
と、声に導かれた2人の少女がやってきた。そのまま3人の所へ駆け寄り、美幸とカクさんからダイノブレスを外し、自らの左手首に装着する。
しかし、次の瞬間
ガァァァォォォォン!
オォォォォォォン!
二体の爆竜の足が、少女たちの真上に現れる。
「わわわっ!」
「きゃぁぁっ!!」
同時に地面に叩きつけられる足になすすべもなく踏み潰される2人。
「ああっ!」
「うっそぉ…」
「なんて…事だ…」
グルゥゥゥゥゥゥ…
ティラノが低くうなり声を上げる。
その光景に、呆然と座り込んでしまうアオイたち。
このまま地球は…アナザーアースは破壊されてしまうのだろうか?
パァァァァァァァ…!
と、ティラノとトリケラの足元から光が漏れ出し、アオイたちを照らした。
「…?」
「んっくぅぅぅぅぅ…っ」
「むぅぅぅぅぅ…っ」
女の子の声とともに光が大きくなり、爆竜の足が少しずつ持ち上がっていく。
やがて光が収まり、その中心…足の真下から2人の少女が現れる。
いや、
既にその姿は少女ではない。蒼と黄色のスーツ…美幸とカクさんが纏うことの出来なかった…を纏い、戦士として、彼女たちは大地に立っていた。
「や…やったぁ!!!」
美幸が思わず喜びの声を上げる。
「くぅ…。ねぇ、目を覚ましてぇ!」
なおも踏み潰そうと力を加えるトリケラの足を持ち上げ踏ん張りながら黄色いスーツの少女が叫ぶ。
「あたしに話しかけてたのはどの子!? 早く正気に戻ってよぉっ!!」
蒼いスーツ姿の少女も必死に重圧に耐えながら叫ぶ。それと同時にベルトのバックルが輝き出した。
その輝きにトリケラが反応し、瞳を光らせる。
「お願い〜!」
黄色のスーツのバックルも同様に輝き出す。今度はその光にプテラが反応した。
ゴゴゴゴゴ…
と、黄色の戦士を押さえ込んでいたトリケラの足が離れる。
「??」
トリケラがその巨体を振るわせると、くすんだ緑色だった体が鮮やかなブルーへと変わる。
爆竜トリケラトプスの覚醒だ。
『助かりましたケラ!』
蒼い戦士のダイノブレスの目が赤く光り、トリケラの声がブレスから響く。
「…ケラ?」
突然左腕から聞こえた声にキョトンとなる戦士。
時同じく、上空に待機していたプテラの体にも異変が起きる。
体の色がまばゆい黄色へと変わり、爆竜プテラノドンが覚醒める。
「これが…ホントの姿なんだねぇ!」
本来の姿を取り戻したプテラに、歓喜の声を上げる黄色い戦士。
『…けど遅すぎ〜。ハラハラしたプラ』
と、こちらのダイノブレスからもプテラの声が発せられた。
「…プラぁ?」
ガァァァァァァッ!!
一瞬和んだ空気が、ティラノの咆哮によってかき消される。
「それより、はやくこっち何とかしてよぉ〜」
と、蒼い戦士が声を上げた。その頭上には未だティラノの足がある。
『おおっと、そうでしたケラ!』
トリケラが応え、雄たけびを上げながらティラノに突進する。
動きを止めたところを上空からプテラが頭を小突き、ティラノの体を吹き飛ばす。その隙になんとか逃げ出す蒼い戦士。
『後は何とかやってみますケラ』
「お、お願いっ」
自分のダイノブレスに声をかける。
「そうはいくか!!!」
突然、何処からとも無く声が響いた。
「…この世界にダイノガッツを受け継ぐものがいるとはな。…だが所詮、俺の敵ではない!」
「だ、誰!?」
空を仰ぐ。と、漆黒の夜空に赤黒い渦が現れる。
「暴れろティラノ! 破壊の限りを尽くすのだ!!!」
謎の声に応えるようにティラノが吼え、2体の爆竜たちの前に立ちはだかる。
ティラノを説得するかのように吠えるトリケラとプテラ。しかし、その声もティラノには届かない。
「誰ッ! 姿を見せなさい!?」
腰のホルスターに装備された拳銃…アバレイザーを抜き、渦を狙う2戦士。
バシィッ!
しかし、渦から発せられたビームが2人を捉え、炸裂した。なすすべも無く吹き飛ばされる戦士たち。
「うわっ」
「きゃっ」
「だ、大丈夫ですかっ!!」
あわてて2人の戦士に駆け寄るアオイ。と、赤い渦が大きくうねり、人の形を取る。夜の闇とたがうほどの黒き甲冑に身を包んだ騎士だ。
「…!」
その姿を見て、アオイが驚いて前へと出る。
「…その姿…。僕たち竜人族に伝わる“伝説の鎧”!」
「フッ…。この鎧は、いまや我々“エヴォリアン”のものだ」
抑揚のない声で言い放つ甲冑の騎士。
「お前は…。! まさか、僕の仲間たちを…!?」
「キサマにそんなものは必要ないだろうッ!」
アオイの声をさえぎり、怒りに満ちた感情をむき出しにする騎士。次の瞬間、猛スピードでアオイに突っ込んでいく。
「なっ…!」
そのまま力任せに投げ飛ばされ、フェンスに叩きつけられるアオイ。ペンダントがはずれ、ハーモニカのような形をした調度品が折れた鍵を露にした。
「フン…。変身機能を失ったか」
その鍵をみて、見下すように言う騎士。
「血祭りに上げてやる……!」
右足の鎧についた鞘から青銅色の刀剣を引き出し、アオイに突きつける。
「待って!」
「あたしたちが…相手だよっ!」
アバレイザーを刀剣状に変形させ、2人の戦士が騎士に向かっていった。
* * *
なんでもいいから…俺を止めてくれテラァッ!!!
止めてくれっテラ! 時間が無ぇんだ!
“エヴォリアン”によって操られている、ティラノの声が。
その声が奇跡を起こした。
ティラノの声を聴くことの出来る資質…ほむらのダイノガッツが覚醒し、意識が光に包まれる
何だ…? この光…。
熱い…熱いすぎるぜ…。
…なんかよくわかんないけど…
熱くてなんか…ワクワクするぜ…!!
と、ほむらの意識がティラノの“声”を聞く。
早くっっ! 時間が無ぇんだ!
意識が完全に覚醒し、目覚めるほむら。
ティラノの声が、今度こそはっきり聞こえた。
俺をっ 止めてくれテラァァァァァァッ!!!
* * *
「うわあっ!」
甲冑の騎士の斬撃がまともに炸裂し、吹っ飛ぶ戦士。
ガァァァァァッ!!!
その向こうではティラノがトリケラとプテラを尻尾でなんなくいなしていた。
キシャーッ!
オォォォーン!
体制を整え、応戦しようとする2体の爆竜。だが、ティラノに踏まれ、思うように動けない。
バンッ!
と、不意に無人のビルの屋上の扉が開く。
革ジャンを着込み、頭には包帯…。ほむらだ。
屋上を走り、フェンスにまで近づく。と、ティラノと目が合った。
「…お前か? あたしを呼んだのは!?」
ほむらに向かって吠えるティラノ。
「安心しろっ、も〜大丈夫だからなっ! …うわっ、っつーかお前止めに来たんだから止まれッつの!!?」
大口開けて突っ込んでくるティラノにツッコミを入れるほむら。
「あ…あの人はっ!」
アオイが屋上のほむらを見つける。
「ねぇっ! そこにいる人!!」
蒼い戦士が呼びかける。その声に反応し、振り向くほむら。
「これ…これをっ!」
赤い恐竜のプレートがはめこまれたダイノブレスを掲げ、ビルにむかおうとするアオイ。だが
バシィッ!
不可視の衝撃が地面を走り、足を止める。
「そうは…させない!」
騎士がブレスを渡すことを阻むために立ちはだかる。
「それを貸してッ!」
戦士の言葉に、アオイが頷いてブレスを託す。
「いくよっ…受け取ってーーーーー!!!」
渾身の力を込めてはるかビルの屋上へとブレスを投げる蒼い戦士。
ほむらも手を伸ばし、受け止めようとする。
ぱしっ
やがて飛んできたブレスがほむらの左腕に収まった。
「よしっ」
ガッツポーズをとるアオイ。が、それもつかの間、後ろから騎士に羽交い絞めにされる。
「ハァッ!!」
騎士が右腕をほむらに向ける。その指先から衝撃波が走り、ほむらの体に命中した。
「うわっ、うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
吹き飛ばされ、屋上から落ちるほむら。そこへティラノが飛び込み、ほむらの体を一口にしてしまう。
「ああっ!」
「嘘ッ!?」
「そんなぁ〜〜〜!!?」
美幸が悲痛な叫び声を上げる。
「ハハハ…残念だったなァ…。 ティラノ! 残りの奴らも抹殺しろッ!!!」
騎士がティラノに指令を下す。のしのしとアオイたちに近づくティラノ。
空間が戦慄に包まれる。
ガァァァァォォォォォッ!
ティラノが吼え、尻尾をドリルのように回転させる。
「!」
しかし、その標的はアオイたちではなかった。
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
ティラノの尻尾攻撃をまともに受け、吹き飛ばされる騎士。
「なっ、何故だっ…!?」
と、ティラノの緑色の巨体に変化が表れた。聖なる輝きに包まれ、その巨体は真紅に染まる。
「ティラノ…!」
アオイたちの見守る中、覚醒した爆竜ティラノサウルスの口から光が漏れだす。その大きな口が開かれると、中から真紅のスーツに身を包んだ戦士が現れた。
「うわぁ…」
「…どうやら、間に合ったようですね…」
物陰で様子を見ていた美幸とカクさんもほっと胸をなでおろす。
「…よかった…。これで3人揃った…!」
涙ぐみながらアオイが呟いた。新たに登場した赤い戦士に合流すべく、蒼と黄色の戦士もティラノの元へ走りよる。
『ばっきゃろぉっ! もう少しで喰っちまうとこだったテラ!』
赤い戦士…ほむらのダイノブレスからティラノの声が響く。
「大丈夫っつったろ? ま、あとはあたしたちにまかせときなって!」
昔からの親友の肩を叩くかのように、ほむらはダイノブレスを軽く叩いた。
『頼むっテラ!』
「オッケー。ほんじゃま、行くか!」
ポンッと手を叩き、ティラノの口から飛び降りる。ちょうど駆け寄ってきた蒼い戦士と黄色い戦士と目が合い、サムズアップを繰り出す。
今ここに、ダイノガッツを受け継ぐ3人の戦士が誕生したのだ!
「爆竜たちをォ…やすやすとは渡さん!」
怒り心頭の騎士がよろよろと三人の前に現れる。相当のダメージを負っているにもかかわらず、その悪意は未だ健在だ。
「!」
応戦すべく、ファイティングポーズをとるほむらたち。と、彼らの纏うスーツのバックルが輝き出した。
「なに、何っ?」
「呼んでるんだ…。荒ぶる“ダイノウェポン”がっ!」
アオイが叫ぶ。それと同時にバックルから光がほとばしり、戦士たちの武器…ダイノウェポンが解き放たれた。
「うおっ、ホントに荒ぶってるよ…!」
ほむらの言葉通り、まるで意思を持っている…否、まさしく意思を持つダイノウェポンが戦いを予感してか飛び跳ねる。
「戦ってくれっ。…ダイノガッツの、ほとばしるままにっ!!!」
「うおっしゃあっ!」
紅き戦士、ほむらが長い棍…ティラノロッドを手にする。
「まっかせて!」
「いっくよー!」
黄色の戦士が二本の短剣、プテラダガーをとり、蒼い戦士は巨きな盾…トリケラバンカーを右腕に装着した。
「小癪な…ッ! “バーミア兵”!」
ダイノウェポンを構える戦士たちを前に、騎士は握っていた右手を開く。その掌には無数の小さな人型がうごめいていた。
騎士がそれを放り投げると、その小さな人型はたちまちむくむくと肥大化、白と黒の異形となって3人の前に立ちはだかった。
ゾルル、ゾルル……
ゲルル、ゲルル……
「行っくぞぉっ!!!」
ほむらが叫び、3人はバーミア兵の群れへと突っ込んでゆく。
ティラノロッドが、トリケラバンカーが、そしてプテラダガーが次々とバーミア兵たちをなぎ倒してゆく。
「な、何か凄くないか、コレって!!?」
ほむらが思わず感嘆の声を上げる。
「驚くのはっ、あとあと!!」
「ここからが、本番だもんっ!」
それぞれの武器を振り回しながら、蒼と黄色の戦士が叫ぶ。
「でりゃっ、うおりゃっ! …せぇのぉ…いよいしょぉ!」
気合一発、ティラノロッドの先端を白いバーミア兵に突きつける。
先端のティラノの口がぐわっと開き、バーミア兵に喰らいつきあっという間に食べてしまった。
「…お見事っ!」
その戦いっぷりにはカクさんも思わず声を上げる。
「えいっ、えいっ、このぉ……いっけぇぇぇぇ!!」
トリケラバンカーの先に付けられた角が黒いバーミア兵の体にマトモに当たり、吹き飛ばされる。
そのまま歩道橋にぶつかり、めり込むバーミア兵。
『ああっ、街を壊しちゃだめだケラ!』
「判ってるよぉ、それくらい!」
ブレスから発せられたトリケラの声に、反論する蒼き戦士。
その隙を狙い、騎士が戦士に迫っていた。
「!」
「はぁっ!!」
騎士の指から光の帯が走り、それはロープ状に変化して蒼き戦士の身体に巻きついた。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…はぁぁぁっ!!」
そのまま力任せに振り回され、建造物に叩きつけられる。
「きゃあぁぁぁぁっ!」
想像を絶するダメージを身体に受け、倒れこむ戦士。
「大丈夫かっ!?」
蒼き戦士のもとに駆け寄るほむらと黄色い戦士。倒れた仲間をかばう体勢をとり、騎士と対峙する。
「憤ッ!」
騎士の仮面の目元にある飾り石から光が放たれ、その衝撃が3人を撃つ。
「きゃあぁっ!!!」
「はわわわわ…。このままじゃやられちゃうよぉ〜」
美幸がアオイにしがみつく。
「大丈夫…。ダイノガッツの戦士たちは、敗けないっ!!」
かたくなに戦士たちを信じるアオイ。その瞳には、一片の疑いすらない。
「くっそぉぉ…」
傷ついた身体を何とか起き上がらせようとするほむら。しかし、蓄積したダメージがそれを阻む。
「キサマ等など、俺の敵ではないッ!」
不敵に口を開く騎士。
『怒れっ、怒れ! ダイノガッツを込めろっテラ!!』
と、ほむらのダイノブレスからティラノの声が響く。
その言葉に奮い起こされ、戦士たちが立ち上がる。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ…!」
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ…!」
3人の咆哮が夜の街に響く。怒りの力が強いダイノガッツを呼び覚まし、彼女たちのスーツに新たなる力を与える。スーツに込められたダイノガッツがはじけ、爆竜の顔をもした仮面が文字通り“咆哮”する。
同時に両脇の白抜きの紋様が肥大化し、それは鋭利な武器となる。
それは“牙”であり、“角”であり、“翼”となった。
「!!?」
「行くよっ!」
最初に飛び出したのは黄色い戦士だ。プテラダガーから生じた“翼”で空を飛び、足で騎士を掴み、浮かせる。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇいっ!」
そのまま騎士の身体を目の前に建っていた電話ボックスに叩きつける。
「ぐわっ!」
「まだまだっ!!」
倒れこむ騎士に向かい、四つんばいのまま突進する蒼き戦士。
肥大化した“角”ごと騎士に体当たりし、引きずり回す。そして停まっていた車めがけ一直線に突っ込んでゆく。
「どりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
騎士が車にぶつけられたのと同時に猛スピードで疾走るほむら。騎士の足を引っつかみ、ジャイアントスイングの要領で力任せに振り回す。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
バキィィィィィ!!!
騎士の身体を建物にぶつけ、一気に投げ飛ばすほむら。
「がああっ!!?」
よろよろと立ち上がる騎士。度重なる連携攻撃が、騎士に確実なダメージを与えていた。
「鎧が…!?」
右肩の砕けた鎧。彼女たちの予想外の力に、戦慄を覚える騎士。
「そりゃあっ!」
それに追い討ちをかけるかのごとく高く跳び、四肢から生じた“牙”を騎士に喰らわせる。
「ぐほあっ!!」
衝撃を受け止めきれず、吹っ飛ぶ騎士。
「へへっ、どんなもんだいっ!!!」
拳を突き出し、ビシッと決めるほむら。
「…いやはや。見事なアバレっぷりですねぇ…」
カクさんが感嘆の声を上げた。
「アバレ…?」
その言葉に美幸が反応する。少し考えた後、ふわりと笑みがこぼれた。
「よぉぉぉっし! ユニット名決めたよ!!!」
「“アバレンジャー”!!!」
「おぉぉぉっ!? いいんじゃねぇかソレ!」
「うんうん、悪くはないよねぇ〜」
「シツレンジャーみたいでカッコいいよ!!」
美幸のつけた名前に、思い思いの反応を示すアバレンジャーの面々。
紅き戦士、アバレッド。
蒼き戦士、アバレブルー。
黄色き戦士、アバレイエロー。
「ぐぬぅぅぅ…これほどまでの力とは…! キサマら一体…?」
「爆竜戦隊、アバレンジャーだっ!」
ほむら…アバレッドが高らかに叫んだ。
ゴゴゴゴゴゴ……
と、突然地面が大きく揺れる。
「えっ、なに、何なの?」
またも予想し得なかった出来事に狼狽する面々。
グオォォォォォォーーーーーーン!!!
空を破らんばかりの咆哮がこだまする。
思わず振り向くアバレンジャー。
「な…なんだぁ!!?」
はるか街のはずれから、ゆっくりと“何か”が近づいてくる。
先ず見えたのは巨大な、そして長い首だった。
「何、あれっ!!?」
驚きながらも、美幸たちをかばいながら迎え撃つ体勢をとる3人とアオイ。
雷のような咆哮を発しながら、長い首を持った“それ”は、やがて爆竜たちをも凌駕する巨体を彼らの眼前に晒した。
「ま、まだいたの…!?」
少しずつ近づく巨大な影。
アバレンジャーの身体を、戦慄が駆け抜けた……。
To Be Continued…