爆竜戦隊アバレンジャーDGE Evolution:01

 夜…。未だ眠る気配の無いビル街に、“それ”は突如現れた。

     ガオォォォォォォン!!!

 大地を踏みしめる足音、そして、空を切り裂かんばかりの咆哮を轟かせ、町に現れた巨大な生物。
「か、怪獣だ……!!!」
 誰かが言った。
 そして、“怪獣”は、その巨体を振り回し、周りのビルを破壊し始<た。
 賑やかだった町は、一転して地獄絵図と変わる。
 その牙でコンクリートの壁が砕かれ、その爪で窓ガラスを突き破り、回転する尻尾は、アスファルトをえぐる。

     キィシャーァ!!
     オォォォォォーン!!

 と、別のところからも吼え声が聞こえた。今度は空を飛ぶ怪獣と、三本角の怪獣が現れる。
「…恐…竜…?」
 逃げ惑う人の群れの中、誰かが呟いた。
 そう。
 怪獣たちは、確かにかつて地球上に君臨していた生物“恐竜”によくにていた。
 今から1億数千年も昔に、滅んだ“はず”の恐竜に――――――




 アバレアバレアバレまくれ Get up(ゲッタップ)
 アバレアバレ突き進め

 正義の名を今 汚すのは誰だ?
 裂けた空からやってくる
 心をかきたてるダイノガッツ  熱い夢がをむく

 太古の記憶 目覚める時に
 刻まれた使命が今 になる

 アバレた数だけ強くなれる
 アバレた数だけ優しさを知る
 アバレアバレアバレまくれ Get up(ゲッタップ)
 アバレアバレ勝利するまで

 爆竜戦隊アバレンジャー!
 アバレンジャー!





 爆竜戦隊アバレンジャーDGE 〜Dino Guts Evolution

 Evolution:01『アバレ爆竜大進撃!』





 一方、その頃…。
「うわっ!?」
 空中に“時空の扉”が生じ、そこから一人の青年がビルの屋上に落ちてきた。
「痛ててて…」
 立ち上がり、辺りを見回す。先程までいた世界とは、明らかに異なる世界。
「ここが…アナザーアース…」
「早く見つけないと…。この世界の、ダイノガッツを持つ戦士たちを…!
 青年はそう言うと、屋上を飛び出し、街中へと走って行った…

         * * *

 青年が現れた街…はばたき市から少し離れた場所にある、もえぎの市。
 比較的静かな街の中で、爆音が響く。
「けほっ、けほっ…。う〜ん、失敗しちゃった〜」
 爆風に巻き込まれ、煤だらけの少女が顔を出す。
 ピンク色の髪が印象的な、眼鏡の少女。
「何を間違ったのかな〜…」
 鼻の頭にずり落ちた眼鏡をくいっと持ち上げ、思案にくれる。
 そんな姿が妙に可愛らしい。少し着飾れば10人中6人以上は振り向きそうだが…。
「そっか〜。ギア比設定し間違えてたんだねー。だからエンジンに余分な負荷がかかっちゃったのか〜。納得、納得v」
 どうやら、恋愛より機械いじりのほうにご執心のようで。

               …お…い…私を……めて…
               …めて…ちょ……い…!

「!?」
 ふと、作業に移ろうとする手が止まる。彼女の耳…というより、頭に直接、声が聞こえてきたのだ。
「な…なに…?」
 突然のことに、一瞬パニクる少女。今度は、自分の意思で声を聞き取ろうと…いや、感じ取ろうとする。

           お願い…私を…止めて…
           止めて…頂戴…!

 まだ微かにだが、今度ははっきりと聞こえた。
「止めて、って…?」
 すぐには理解できなかった。だが、彼女の胸に、言いようの無い焦燥感が生まれる。
「…行かなきゃ!」
 そのまま、眼鏡の少女は家を飛び出した。
 ……煤まみれの部屋を残して。

         * * *

 もえぎのからさらに離れたひびきの市。
 謎の巨大恐竜たちの大進撃が、報道特別番組として急遽オンエアされていた。
「はにゃ〜。すごいよー。怪獣映画みたいー!!」
 テレビの前で歓喜の声を上げる少女。やけにボリュームのある紫色のロングヘアーと、底抜けに能天気…もとい、元気いっぱいな笑顔の持ち主だ。
「見てみたいな〜…。あー、でもはばたき市か…。ちょっと遠いよね〜…」

               ……か…私…止め……!

「…はにゃ!?」
 と、突然頭の中に声が響く。思わずキョトンとなる少女。

           お願い…私を…止めて…
           アオイさんに…会って……!!

 また聞こえた。いまだ経験したことの無い出来事に、少女の思考はショートしかけていた。
「何、なに!? …アオイ…さん? 会えって…??」
 混乱する頭をぶんぶんと振り、深呼吸をする。
「なんかよくわかんないけど〜。アオイさんに会えばいいんだね!」
 理解してるんだかしてないんだか。ともかく自分で勝手に納得し、少女は長い髪をなびかせ家を飛び出した。

      キキーッ
      ドーン!

「はにゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
 …が、何の偶然か、通りかかったダンプカーに撥ね飛ばされる。
「@♯※♪$Δ&〜〜〜〜!!!」
 はたして、彼女は会うことが出来るのだろうか……?

         * * *

 同じ頃、はばたき市にてまた一人、謎の声を聞いた人物がいた…。
 報道番組の中継クルーが、荒れ狂う恐竜たちの様子をリポートしている。
「こちら、現場です。ここ、はばたき市にて、謎の怪獣たちが暴れております!いったい、あの怪獣はいかにして現れたのでしょうか……」
「…滅多なことを言うものではありませんよ……」
 と、人ごみの中で、茶色いスーツに身を包んだ紳士が呟くように言った。

「…トリケラトプスは元来おとなしく、自分から乱暴はしないのですよ。…それを映画の凶悪怪獣のように…」
 まるで自分のことのように、憤然とリポーターの発言に講義する。

               …けて… ……止めてくださいっ…
               助け……

「?」
 急に聞こえてきた声に、男性は一瞬驚く。

           早く…アオイさんのもとへ…!
           早くしないと…世界が…ッ!

「…世界が?」
 その意味を完全に理解するには、まだ時間が必要だった。
 だが、それよりも強い何かが、彼を…紳士を突き動かしていた。

         * * *

「毎度、ありがとうございました〜っ♪」
 家の玄関に元気な声がひびく。
 キィ…と門が開き、小柄な少女が顔を出す。
 二つにくくられた長い髪が、少女の動きにあわせてぴょこん、と跳ねる
「よし、これで出前終わりだね」
 空になったおかもちを軽く降って、大きく伸びをする。
「んーっ。後はこれもって帰って、今日のバイトは終了っと♪」
 勢いよく駆け出そうとしたその時…

               止め…… 私を…めてく…
               頼む!…私…

「わ、な、何々?」
 びっくりして、危うく手にしていたおかもちを落としそうになる。
「…?」
 どこからともなく声が聞こえ、辺りを見回す少女。だが、声を発するような人やものはどこにも見当たらない。
「今の…どこから…」
 気のせい…?

           私を止めて…止めてくれ…!
           頼む、止めて…くれ…!

 否、気のせいではない。
 今度ははっきりと聞こえた。
「なんかよく分からないけど…!」
 言うより早く、体が動いていた。
 一度、きょろきょろと周りを見る。行き先を定めて、ダッシュ。

 ・
 ・
 ・

「あ〜。いけないいけない」
 戻ってきた。
「おかもち、お店に戻しておかないとね♪」
 独り言をつぶやくと、先程とは反対の方向…バイト先の店へと走っていった…

         * * *

 ビルが立ち並ぶ摩天楼に、ゆっくりと緑色の巨体が現れる。
 そのおおきな体に似合わず、機敏な動きで街を破壊していく。
「……ティラノ!」
 少し離れたところにいた鎧姿の青年が気づいて声を上げた。
 そう。その姿は白亜紀後期、地上の王者であった、ティラノサウルス・レックスに酷似していた…。
「やめるんだティラノ! 目を覚ませッ!!」
 逃げまどう人々の群れをかきわけ、青年がティラノサウルスの前に飛び出す。

    グロォォォォ…

 しかし、ティラノサウルスはその言葉に耳を貸そうとはしなかった。
 かわりに上体を振り上げ、大きな頭を青年にぶつける。
「うわあぁぁぁぁぁぁっ!!」
 頭突き攻撃をまともに受け、吹き飛ばされる青年。
「ぐわっ…。…爆竜たちよ…正気に戻ってくれっ…」

         * * *

「ねーちゃんねーちゃん。ティラノサウルスってめっちゃかっこいーね!」
「おー、そうだな。まさに恐竜の王者って感じがするぜ」
 ところ変わってまたまたひびきの市。
 町の中心部から少し離れたところにある『赤井果樹園』。その裏の住居の一室から楽しそうな声が聞こえる。
 お世辞にもキレイとは言えそうに無い部屋。着替えやらおもちゃやらが散乱している部屋は、当事者にとっては居心地のいい部屋なんだろう。
 少なくとも人を招き入れるような部屋にはなっていないが。
「…ねーちゃん」
 ふと、布団に寝転がっていた男の子が呟く。
「んあ?」
 その声に、姉と呼ばれた少女…一見少年のようないでたちだが、ねーちゃんと呼ばれたあたり、やはり少女なのだろう…が首をもたげる。
「なんだ、もう眠いのか?」
「そーじゃなくって…。ねーちゃん、なんか聞こえない……?」
「何が?」
「なんか…ライオンみたいな、かいじゅうみたいな…よくわかんないけど、大きな声…」
 男の子が言葉を続けようとしたそのときだった。

        ドガアァァァァァァァァン!!!

 大きな音と揺れが、部屋にとどろく。
「!?」
 とっさに少女が男の子…弟の頭に掛け布団をかぶせ、揺れで落ちてくるものからかばった。
「な、何が起こったんだぁ!!?」
 幸い、落ちてくるものは無い。…というよりは、落ちるべきものも最初から床に散らばってるからなのだが。
「ほむら〜、太陽! だ、だいじょうぶか〜?」
 階下からドタドタと音を立てながら誰かが上ってきた。
「あぁ、あたしたちは大丈夫だよ。じっちゃんこそ」
 じっちゃんと呼ばれた老人は、2人の安全を確かめ、ほっと胸をなでおろした。
「おぉ。無事で何よりじゃ。なんか知らんが、このあたりに避難勧告が出されての。とにかく、わしらも非難するぞ。準備せい」
 老人の言葉に、2人はうなづき、ともに階下へと降りていった。


「……うそぉっ!?」
 表へと出たほむらは、我が目を疑った。
 何があったのか、ガレキと化したひびきのの街。
「なんてこった…」
「避難場所はひびきの高校じゃ。他の人たちももう向かっておる。わしらも行くぞ」
 老人がほむらたちを促す。
「…あっ」
 と、男の子が小さく声を上げた。
「どうした、太陽?」
 ほむらが問いかけると、太陽と呼ばれた男の子が家へと指を向けた。
「…サービスエースがまだだよ」
 太陽の指差す方向に、鎖が繋がったままの愛犬…サービスエースがいた。
「いっけね、忘れてた。…じっちゃん、太陽を頼むっ」
 そう言って、ほむらは自宅へと引き返す。
「悪ぃな、サービスエース。すぐ連れてくからな!」
 少し手間取ったが、なんとか鎖をはずす。サービスエースが自由のみになったのを確認して、ほむらは避難場所である学校へと向かった。

      ガオォォォォォォン!!!

「!?」
 突如、地響きのような音が頭上から聞こえ、ほむらは思わず上を見上げる。
「な、なんじゃありゃあぁぁぁぁ!?」
 緑色の巨体を揺らしながら、ティラノがほむらを睨み付けている。

           止め…ッ 俺を……!
           止めて…くれ…ッ!

「…はっ!?」
 頭の中に声が響く。
「…まさか…お前か??」
 ティラノの目を覗き込みながら、ほむらが呟くように言った。


      ガオォォォォォォッ!!

 ティラノが再び雄叫びを上げる。大きく体をひねり、回転する尻尾をほむらに向けて繰り出した。
「…!!」

      バキィィィィィ!!

 ドリルのように回転した尻尾はほむらの近くの大地をえぐり、そのままほむらの体を宙へと持ち上げた。
「うわああああああああああっ!!!」
 そのまま勢いに任せ、破壊を続けるティラノ。
 やがて、動きを止めたティラノは、尻尾のドリルで地面へともぐっていった。
 まるで何か苦しみから逃れるかのように……。





 To Be Continued…


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