voice_00:No title
夢……
夢を……見ていた…
まだ幼い俺がいる夢。
それは遠い、小さかった頃の記憶が成すものなのか。
それとも、自分の能がつくりだした幻影に過ぎないのだろうか……。
とにかくそこに、まだ小さく、幼い“俺”がいた。
周りは何もなく、白一色の世界。
俺と一緒に、同い年くらいの女の子がいる。
夢の中で“俺”は、その“女の子”と遊んでいた。
名前すら知らない、“女の子”と……。
不意に、女の子が泣き出す。
綺麗な瞳から、大粒の涙がぽろぽろとこぼれる。
その涙をぬぐうこともせず、ただ、涙を流す女の子。
―――なんで、ないているの……?
俺が問うと、女の子は泣きやみ、変わりに寂しげな笑顔を俺に向けた……。
・・・・・・
そして、いつもここで目が覚める。
決して真相を知ることのないままの夢。
あの子は、何故泣いていたのだろうか。
今度こそ聞こう。そう思っても、いつもあの場面で目が覚めてしまう。
解っているのは…
いつも夢の最後に見せる、あの寂しげな微笑み……。
枕もとの時計を眺める。7時半を示す、長針と短針。
今日もまた、一日が始まる。