ガンダムSUZAKU・第3章:4機のガンダム
第3章
4機のガンダム


「さて、タケル君、君のこれからの事だが……」
 ブリッジでタケルとルシードが対話している。
「…艦長たちは、何の目的で戦っているんです?」
 それまで無言だったタケルが口を開く。ルシードはちょっと口をつぐんだが、すぐに答えた。
「今地球圏を脅かしている謎のMSの正体を追い、その目的を探る…では納得できないかな?」
「それは解ります。けど…」
 またも無言になるタケル。
「……もっとも、我々もえらそうな事を言っているが、結局は争い事に関する言い訳にしかならないんだ。だが我々も、考えている事は君と同じだ。この艦のメンバーは、みんな似たような過去を背負って生きているんだ……」
「…………」
 タケルは何も言わなかった。しばらく艦内に沈黙が走る。やがて…
「僕、さっきも言いましたよね。僕は、みんなの居場所や笑顔、みんなの“心”を守るために戦いたいんです。それがあの子の…カスミの為にもなるんだって…」
「……解った。我々は君を歓迎する。ようこそ、我が艦“ガンブレッド”へ!」
「ガンブレッド…」
「それでは、クルーを紹介しよう。先ず副長兼航海士のアヤカ=タチバナ中尉。君と同じ日本人だ」
「よろしくね」
 握手を求めるアヤカ。がっちり握手をかえす。
「観測手兼砲術士のジャッド=ダグラス曹長に、通信士のマクシミリアン=S=バーグラー伍長」
「援護射撃はまかせな!」
「マックスと呼んでくれ、言いにくいだろうからな」
「あ、ああ。よろしく」
「…と、ブリッジの面々はこれだけだ。あとは整備班がいるが、今は忙しそうだからシャイアンに着いてから声をかけるといい」
「シャイアン?」
 聞きなれない名前に、首を傾げるタケル。
「北米にある街だ。元々は旧地球連邦軍の基地があった場所だが、現在は一般の都市として機能している。まぁ、軍事施設もあるんだがね」
「そこへは、どんな理由で…?」
「ガンブレッドの整備をするんだ。軍事レベルの低下に伴って、戦艦がはいるドックも少なくなっているから」
 頭をポリポリ掻きながら、ルシードはそう言った。
「まもなく、シャイアンシティーに到着します」
 ジャッドがこちらに声をかける。
「解った。マックス伍長、艦内放送を頼む」
「了解」
「全クルーに告ぐ。我が艦はまもなくシャイアンシティーに到着する。各員、それぞれの仕事をこなしてくれ」

 はたしてガンブレッドはシャイアンシティーの軍事施設内にある戦艦ドックに入港した。
「よし。全クルーに告ぐ。これよりガンブレッドの整備が始まる。なにぶん人手が少ない。手の開いている者は整備班を手伝ってやってくれ」
 艦内放送を終えたルシードは、タケルに声をかけた。
「と、言うわけだ。軍属ではない君にも強要したくないが…」
「かまいませんよ、ルシード艦長。整備班のほうへ行ってきます。
 ……何かしてないと、辛いんで」
「…そうか、すまないな」
「いえ、それじゃっ!」
 そう言ってタケルはブリッジを出た。
「…いい子ですね」
 アヤカが呟く。
「ああ。しかし、我々はあの子を戦争に巻き込もうとしている……」
 握りこぶしを作り、ルシードは半ば苛ついたように声を絞り出す。
「ルシード艦長……」
「す、すまない。少し感情的になりすぎたようだな。…だが、我々は1日でも早く彼らの“日常”を取り戻さなければならない。彼や、ダイゴチーフのような人間を、つくらないために…」

 その頃、タケルはガンブレッドから降りて、戦艦ドックに来ていた。整備班の面々と合流する為だ。
「えーっと、どこにいるのかな……」
 小走りにドック内を探索するタケル。と、ようやくタケルの視界に見覚えのある姿が見えてきた。
「あ、いたいた」
 と、そちらのほうも気付いたのか、手を振ってきた。
「おお!こっちだ、こっち」
「ルシード艦長に言われて、手伝いに来ました」
「お、そいつぁ助かるな。…っと、その前に俺らのこと紹介しねェとな。よおっし、全員、いったん作業中止!整列しろっ!!」
 チーフの一声に、作業着に身を包んだ男達がぞろぞろと集まってくる。
「よし、先ずぁ俺からな。ガンブレッドのチーフメカニックのダイゴ=シングウジだ。よろしくなっ」
「君が、あのMSのパイロットかい?さっきは僕たちを助けてくれて有難う。僕はイチタロウ=マユズミ。ファルコンって言う戦闘機のパイロットもやってるんだ。この二人は同じくメカニック兼パイロットで、名前はリック=ハワードとアレン=マクドガルだ」
「リック=アレンビーだ。ホントにMSを動かしたのか〜。凄ぇな、アンタ」
「アレンです。あの時はホントに有難う。来てくれなかったら今頃死んでたよ」
     …………
「と、こんな所だァな」
「…って、4人だけですかぁ?」
 あまりの人数の少なさに驚くタケル。配備されてる機体が少ないからと言うのもあるだろうが、いくらないんでもすくなすぎるんじゃないだろうか?
「なははは…。しょうがねェんだ。もともと俺らが追ってる“アンノーン”だって、その目的は明らかにされてるわけじゃねェ。そんなわけわからねーモンに費やす人員は、無いんだとさ」
「…………」
 あらためて、軍という組織の全様を理解した感のあるタケル。
「ま。もっとも、現状ウチの隊は配備されてる機体が少ねェしな。コレだけで充分事足りてんだ」
「へぇ…」
 感心するタケル。彼らの“プロ意識”と言うものがふつふつと伝わってくる感じだ。

     グオォォォォォ……

 と、ドック内にクレーンアームの音が響く。先の戦闘でスザクが撃破したアンノーンMSの残骸を回収してきたのだ。
「お、来たな…」
「あれ…アンノーン……ですか?」
「おうよ。…今までコイツらに関する情報は皆無だったからなァ。アレを調べて、とりあえず何かのたしになるかなってな」
「なるほど…」
「そーいうこった。オラ、手伝え!俺はイチタロウとアンノーン機の調査をすッから、おめぇはリックとアレンと一緒にファルコンの整備をしててくれ。それぐらい出来るだろう?」
「はい!」

「リックさん。1号機の整備、終わりました」
「解った。ほんじゃ、次は3号機を頼む」
「はーい」
 二人の整備員にまじりながらだぶだぶの作業着姿のタケルが奔走する。元々機械いじりが趣味なタケルとしては、久しぶりの安らぎの瞬間なのかもしれない。
「手際良いな、タケルくん」
 アレンがタケルに声をかける。「ホラ」と言って、タオルをタケルに投げる。
「顔、かお」
 アレンに言われて、始めて自分の顔が油で黒くなっていることに気付くタケル。
「少し休憩しよう。3号機も君のおかげであらかた整備が終わったしね」
「ああ、後はスザクだけだ。とりあえずお前がいねェとシステムすら起動できないからな」
 いつの間にか、ダイゴとイチタロウ、それにリックもやって来ていた。
「はい、解りました」
 タオルで汗と油を拭い、ファルコンから降りるタケル。イチタロウが入れたてのコーヒーをタケルにすすめる。
「…ンにしても」
 ふと、ダイゴが口を開く。
「ふぇ?」
 ロールパンをほおばりながら、タケルが答える。
「あのガンダムスザクってMS…。見た目、旧宇宙世紀時代のMSとあんまり変わらねェが、中身はトンでもねェ技術が組込まれてやがる。どーやらあの機体、適格者を自分で見極めて、その上でそいつをパイロットとして登録。その後はたとえ誰が乗ろうが何しようが絶対に機能しねェ。…まるで意思持ってるみたいだぜ、あのMS…」
「意思を……」
 無口になるタケル。改めて自分の乗ったMSの能力に驚きを感じていた。
「あーゆーのがもう2,3機ありゃあ、ちったぁ俺らの戦力も変わるんだろうがなァ…」
「なぁに言ってるんスかチーフ。あんなのが複数体あったりするわきゃないでしょーに……」
 ダイゴの言葉にリックが笑いながら返す。そのやり取りを聞きながら、タケルはコーヒーをすすった。
 と、タケルの記憶にあのヴィジョンのことが浮かんだ。
「……あのMSが……」
「あ?どーした、タケル?」
「ちょっ、すいません。ブリッジに行ってきますっ!」
 そう言って、タケルはドックを後にした。

「…そうか……」
「装甲の特徴はガンダリウム合金に酷似していますね。しかし…」
「地球、コロニー双方にそれを生成する技術は残っていない……と」
「ええ、センターコムの回答もそうなっています」
 一方、ブリッジではルシードとアヤカがアンノーン機の調査結果について会話をしていた。
「あと、機体の両脚に4本ずつ、腕パーツに2本づつのラインがありました。前回の戦闘で新たに出てきたMSは頭部パーツや武装が弱冠異なっていたものの、基本性能及び大まかな外装は全く同じ物です。つまり、この2種類のMSは同種類と見てほぼ間違いありません」
「ふむ…状況に応じての武装変換か…」
「以後、このMSをTRMS−12“ハングドマン”と呼称します」

     プシューッ

 と、入り口が開き、作業着姿のタケルが飛びこんできた。
「艦長、ルシード艦長!」
「タケルか、どうした?」
 ドックから走ってきた荒い息を整え、タケルは口を開く。
「あのっ、ガンダムが…」

     ズガガァアアアン…!

 そのタケルの言葉をさえぎり、辺りに巨大な轟音が響き渡る。
「艦長!」
「敵襲かッ!!?」
 ブリッジのモニターに現れたのは、見なれた人型だった。
 間髪いれず、ジャッドが大声で叫ぶ。
「機影確認、アンノーン機です!数は…数は20!」
「20機だと!?…奴らめ、偵察はもう終わりと言うことか…!」
 ルシードが吐き捨てるように言った。
「艦長、ハングドマンタイプだけじゃないみたいですよ!」
「どういうことだ、ジャッド!」
「新型MSの存在を確認、高機動飛行タイプと思われます!!」
 モニターを見ると、なるほど今までに見たことも無いMSが画面に現れていた。 「ルシード艦長、シャイアン司令部から通達。ガンブレッド隊の援護を要請しています」
「言われなくても…!タケル君、悪いが出てくれるか?」
「了解!」
 タケルはそう言って、ドックへ向かおうとした。
「タケル君、ちょっと待って」
 と、それをアヤカが止める。
「な、なんですか?」
「ちょっとついてきて」
 アヤカに引っ張られ、タケルはそれに従った。

「…ったく、遅っせぇなあのヤロ。スクランブルサインは出てるんだぜ」
 一方ドック内では整備班が出撃準備に追われていた。
「…しゃあねぇ。とりあえずファルコンだけでも出すぞ。イチタロウ、準備はいいかッ!?」
『OKです。ファルコンチーム、いつでも出撃できますよ』
 無線ごしに、イチタロウの声が響く。
「ようっし、言って来い!」
『了解!ファルコン−1、出撃!!』
『ファルコン−2、同じく出撃ィ!』
『ファルコン−3、出撃』
 爆音を残し、3機の戦闘機が空中に舞った。
「いいか、今回は20機のアンノーンが相手だ。無理して落とされんぢゃねェぞ。シャイアンからも応援来っから、全力出してけよッ!!」
『『『了解ッ!!!』』』
 無線から3人の戦士の声が届いた。
「ダイゴチーフーッ」
 と、ガンブレッドからようやくタケルがやってきた。だぶだぶの作業服にかわり、軽装の宇宙服姿だ。
「よーやく来やがったか…。お、そのノーマルスーツ、よく似合ってんじゃねーか」
「そ、そーですか…」
 頬を軽く赤らめて鼻の頭をコリコリ掻くタケル。
「アホ、テレてるヒマがあったらとっととスザクに乗りやがれ!おめーがいなかったから満足に整備は出来てね−が、弾薬の補充はしといた。思う存分やって来い!!」
「了解!」
 コックピットに飛び乗り、メットをかぶり、パネルに手を触れる。システムの機動だ。
「コール・スザク・スタンディング・バイ!」
 スザクのマシン・ハートに魂が宿る。タケルの操作でスザクはカタパルトに固定された。
『ようっし、準備完了だ。行ってこい、タケル!』
 通信設備からダイゴの声がコックピットに広がる。
「了解!タケル、ガンダムスザク、行きますッ!!!」
 タケルのその言葉と同時に、カタパルトからスザクが射出された。

『ファルコン−2、こちらファルコン−1。現状はどうだ?』
「こちらファルコン−2。シャイアンのファルコン部隊との強力で3機撃墜に成功。ファルコン−1及びファルコン−3もこっちに合流したほうがいいと思うぜ」
『解った。これからアレンとそちらに向かう。ファルコン−3、いいな?』
『ファルコン−3、了解』
 さて、タケルより一足早く出撃していたファルコンチームはシャイアンの戦闘機部隊との共同戦線をはっていた。
 ハングドマンのとの過去の戦闘で、生半可な兵器が通じないとふんだ軍部はファルコンに新型ミサイルを搭載した。その威力は絶大で、連携によりハングドマン陸戦型を3機粉砕するに至ったのだ。
『こちらシャイアン・ファルコン部隊長。強力を感謝する、イチタロウ=マユズミ殿』
「いえ、困った時はお互い様です。…それより、来ましたよ!」
 イチタロウがトレードマーク(?)の細目をやや歪ませる。流石にフタケタにまで増えた敵を相手にするのは始めての経験のようだ。
「やーれやれ。ウジムシみてェにわいてきやがって…」
 リックが悪態をつく。
『ぼやくな。今は目の前の事態を収拾することを考えろ』
「あいあいっ」
 そのときだ。

     ドオォォオォ…!

 近くで爆音が響く。みるとシャイアン部隊のファルコンが今まさに撃墜されたところだった。
「な、なんだァ!!?」
『落ち着けリック!来たぞッ…新型だ』
 イチタロウの声の調子が落ちる。粉塵の向こうから浮かび上がったのは、茶褐色の機体――ハングドマン――ではなく、紫色の装甲を纏ったMSだった。
「ケッ、なんて悪趣味なカッコしてやがる…」
 相変わらずリックが悪態をもらす。が、その躰は小刻みに震えていた。
「気をつけろ、リック、アレン。やっこさん、いよいよ本気できたみたいだ…」
 イチタロウの頬を冷や汗がつたう。と、ファルコン−1――イチタロウ機――の通信機に、聞きなれた声が飛び込んできた。
『イチタロウさんっ』
「タケル君かっ!?」
 ファルコンのメインモニターにガンダムスザクの姿が映し出される。サイドモニターにはタケルの顔が浮かび上がった。
『大丈夫ですかッ!?』
「こちらは大丈夫だ。気をつけろ、新型は今までのとは一味違うぞ」
『はいっ』
 紫色のモビルスーツが、今度は照準をスザクに定めた。
「…!」
 バーニアが火を吹き、超高速でスザクを射程に捉える。
「くっ!」
 すんでの所でスラスターを噴射し、攻撃をかわす。
「速い!なんて奴だ」
 タケルが戦慄する。ハングドマンとあまり武装は変わらないが、機動性能ははるかに上回っている。
『タケル、聞こえるかッ』
 と、ガンブレッドからの通信が届いた。
「マックスさん?」
『いいか、新型のMSは5体。後はみんなハングドマンタイプだ』
「ハングドマン?」
『今までキミが戦ってたMSだ。さっき正式にコードネームが決まった。そんなことより、あの紫色の機体を撃破してくれ。ファルコンチームは引き続きハングドマンの迎撃を頼む。こちらも整備が終了次第戦線に出る』
「了解っ!!」
 タケルは改めてスクリーンを確認する。現在確認できる新型の姿は2。後はハングドマンタイプが数体いる。
「イチタロウさん、僕が新型を引きつけます。後のメンバーでハングドマンをお願いします!」
『解った。こっちはまかせろ!』
 タケルはグレネードランチャーをかまえ、新型MSに向けて撃った。
 しかし、いとも簡単に回避されてしまう。
「やっぱり速い…。スピードだけで言ったらスザク並かっ」
 MSの反撃!ビームライフルがスザクを捉える。
「このっ」
 シールドで防御する。ビーム兵器程度なら、しばらくは持ちそうだ。
 と、コックピット内を警戒音がかけぬける。スザクの周囲にマックスの言ったMSが全機、つまり5機がいる。どうやら射程内に捉えられたようだ。
「しまった…囲まれた」
 タケルが小さく舌打ちする。そのうち、MSの1機がビームライフルを放つ。
「ちっ!」
 かわすタケル。が、間髪いれず他のMSに狙い打ちされる。

     ダァァァン

「うわっ!」
 背後を取られる。このままではいくらスザクと言えども危険だ。
「ど、どうする……?」
 その時だ。

     ドォォォン!!!

 タケルの背後から光が飛び出し、敵MSにむかっていった。しかし、その攻撃もかわされる。
「何だ?」
 タケルが振り向くと、そこにはガンブレッドの姿があった。
『ちぃっ、外しちまったか。腕落ちたかなァ?』
 通信機の向こうで、ジャッドがボヤく。と、それに続いてルシードが通信機の前に立つ。
『タケル君、大丈夫か?』
「はい」
『新型MSの解析結果が出た。これから送る』
「了解。ルシード艦長、イチタロウさんたちの援護にいってあげて下さい。ここは僕が何とかします」
『解った。ジャッド、頼むぞ』
 その言葉を残し、ガンブレッドは方向転換した。
「…よし、行くぞッ!!!」
 バックパックのバーニアを吹かせ、タケルが敵MSに突っ込んで行く。
「はぁぁぁぁぁっ!!」
 腰のビーム・サーベルを抜き、MSに切りかかる。

     ギュウゥゥン

 だが、やはりかわされてしまう。
「くっ、このぉ!」
 振り向きざまにバルカンを撃とうとしたが、目の前にMSが急接近し、タケルは一瞬ひるんだ。
「……!」
 そこに敵MSのビーム・ソードがスザクに襲いかかる!
 ビーム・ソードが一閃し、スザクは空中でのけぞった形になる。
「うわぁぁぁぁっ!」
 敵MSのカメラ・アイがふてぶてしく光り、ビームライフルを構える。止めを刺す気だ。
「くうッ!!」
 バーニアを急噴射させ、どうにか体勢を整える。しかし……。
「こ、このままじゃ狙い撃ちにされる…。もっと、もっと速く…」
 その時、コックピットのスクリーンに文字が浮かぶ。
「ん…?」

     ―――CHANGING SYSTEM―――
     ―――FIREBIRD MODE―――

 それと同時に、手もとのモニターにガンダムスザクの変形シミュレーション画像が現れた。
「変形…するのか?」

     ガガガガッ…!

 敵機の攻撃は執拗に繰り返されてくる。
「…。考えてるヒマは無い、か…」
 そう呟き、タケルはパネルのキィを叩く。
「チェンジングシステム、ファイアバード・モード!!!」
 すると、スザクが変形を始め、飛行形態になった。
「これなら…いけるか?」
 タケルは試しに加速してみた。
「…おわっ」
 ものすごいスピードだ。あっという間に敵機の間をぬい、後ろを取った。
「いけるっ。…このぉッ!」
 トリガーを引く。機首の両脇に装備されたビームレールガンが放たれ、一挙に2機を撃破する。
「よし!これなら!」
 敵機のライフルがスザクを捉える。だが、そのスピードについてこれない。
「落ちろッ!!!」
 ビームレールガン掃射!その砲撃にまたも2機の敵機が粉砕される。
「あと…1機!」
 だが、その残りの敵機は、突然踵を返し、戦線を離脱して行った。
「…………」
 突然の事に、タケルはただ呆然とそれを眺めていた……。

「…逃げられた、か……」
「すみません…」
 戦闘が終わり、ここはガンブレッドのブリッジ。あのあとすぐにタケルはガンブレッド隊と合流し、残りのハングドマンタイプをファルコン部隊とともに殲滅したのだ。
「いや、謝ることはない。結果的にはここを守ることが出来たのだからね。それより…」
「?」
「戦闘前に君が何か言おうとしたが、なんの話だったんだい?」
「あ、そのことなんですけど……」
 タケルは少し躊躇しながら、
「実は…これはあくまでぼくの推論みたいなものなんですけど、ガンダムスザク以外に、モビル・スーツがあるかもしれないんです」
「モビル・スーツ?この地球にか?」
 ルシードが怪訝な顔でタケルに問う。
「はい、すくなくとも、地球圏にあるんじゃないかって…」
「なぜ、そう思う?」
「それは…」
 タケルは、今までスザクに乗っていた時に脳裏に浮かんだ4体のMSのヴィジョンのことを話した。
「…………」
 口をつぐむルシード。やがて、アヤカがその沈黙を破った。
「…情報が無いわけじゃないみたいですね」
「どう言うことだ、タチバナ中尉?」
「…アンノーン型のMSが地球圏に現れた頃とほぼ同時期に、一部地域でMSらしき機影の目撃情報があったんです」
「アンノーンタイプ以外の?」
 ルシードの言葉に、アヤカがうなづく。
「ええ。…コレを見てください」
 アヤカがそういうと、モニターに静止画像が映った。巨大な人型の姿だ。
「…これは?」
 タケルが問う。
「ついさっき、シャイアンから入手したの。謎の人型って事でね」
「うむ…どことなくだが、スザクに似てなくも無いな……」
「これ、何処の写真ですか!!」
 タケルが、やや興奮しながら聞く。
「ええ、ニューヨークシティーよ。言ってみたい?」
「そ、そりゃあ!…僕の他に、MSに乗って戦っている人なら、力になりたいし」
「…ふふ。そういうと思ったわ。よろしいですか、艦長?」
「否定する理由はなにもないよ。よし、ジャッド」
「了解!進路固定。目的地、ニューヨークシティー」
 ガンブレッド隊は、一路、ニューヨークシティーへと向かった。

 To Be Continued…


次回予告(Byタケル)

 ニューヨークシティーで出逢った一人の少女。その不思議な魅力に、少しずつ惹かれていくタケル。
 そのとき、ニューヨークシティーに現れたアンノーン。ガンブレッドとも連絡が取れない中、タケルは一人故障したスザクで応戦する……。
 次回、超機動伝説ガンダムSUZAKU。第4章『荒野の少女』
 生命の翼を天に広げ、少年達は伝説となる…


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