古来より、「戦隊」と名のつくものは、3人ないし5人いるのが相場である。

 …と、誰かが言ってた。

 最近は6人目の戦士とか流行ってるけどね…。

「あ、そうそう。仲間紹介しとくから★」

 …展開早っ。




          奉仕戦隊ヘタレンジャー@High School Edition

          Misson:01/その名奉仕戦隊




 ま、そりゃさ。

 ヘタレンジャーっつーくらいだから。

 他にメンバーの一人や二人いるとは思ってたけど。

「で、仲間って何人いるの?」

「ん? 一人」

「少なっ…つーかレンジャーも何もあったもんじゃねーな…」

「や、まぁ。仲間って言うか、これから強制的に仲間に引き込むからv(にっこり)」

 …まだメンバーにもなってないのかよ。

 つーか、笑顔でさらっと怖いこと言ってのけてる気がするのはボクだけなのか?





「着いたよ」

 と、田丸につれてこられたのは3−Bの教室。

「…上級生なのか?」

「うんv」

 うんv って…。

 同級生ならまだしも、先輩巻き込んでるのかこの娘は…。

 ガラガラッと、田丸が何の前触れも無く教室の扉を開く。

「やっほー、せ〜んぱいv」

 田丸に続き教室に入ると、一人の生徒が席に座り本を読んでいた。

 文学青年ってやつだろうか?文庫本片手に読書する姿が妙に絵になる。

「ん? ああ、まひちゃんか…」

 田丸の声に気づき、先輩と呼ばれた生徒がこちらを向く。

 ふと、ボクと目線が合い、互いに軽く会釈する。

「あ、紹介するね。クラスメートの炎部紅蓮くん」

「…始めまして。炎部です」

 あたりさわりのない自己紹介にとどめる。

「で、こちらは紅月先輩」

紅月吾郎です。まひちゃんとはちょっとした知り合いでね。結構付き合いも長いほうなんだ」

 聞いてもいないのに、紅月先輩は田丸との関係を教えてくれた。

「はぁ、なるほど…」

「で、そういえば何の用だったのかなまひちゃん。言われたとおり、ここで待ってたんだけど」

「あ、そうそう」

 思い出したかのように田丸が呟いた。

「っとね、話せば長くなるんだけど…」


      ・・・・・・・・・・・・


「ヘタレンジャーにならない?」

 ぐあ、直球。

 しかも全然話長くねぇ…


「…ふむ。なるほど」

 紅月先輩は、手にしていた文庫本を閉じ、少し考えるような格好を取った。

「で、僕にそのヘタレンジャーとやらになってもらいたいと。そういうわけだね」

「そv」

 いや、まんま復唱してるだけだし先輩。

「…わかった。いいよ」

 …即答かいっ!?

「あは★ さすが紅月先輩、話が早いね」

 早いとかそう言うレベルか、こういうの?

「じゃ、今日から先輩は、ヘタレブラックね。うん、決まりv」

「ヘタレブラック…。と、言うことは君がレッドかな?」

 と、ボクを見る紅月先輩。

 もとい、ヘタレブラック。

「え? あ、はい…。そう言うことになってます」

「そうか。ま、今後ともよろしく頼むよ」

「…こちらこそ」

 差し出された手に、ボクも手を重ね、しっかりと握手をした。

「さて、と」

 ふと、またもや唐突に田丸が口を開いた。

「?」

「じゃ、あと一人。よろしくねv(にっこり)」

「へ?」

「2人じゃ物足りないもん。それに、戦隊ってのは3人ないし5人が相場なんでしょ?」

 どっから仕入れた、そんなネタ…。

 …2人だけのも無い事は無いけどね。

「…あ、いっけない! もうこんな時間!」

 突然、自分の腕時計を見て驚く田丸。

「ま、そう言うわけだから。早いところ3人目見つけといてね〜v」

「って、お、おいちょっと田丸!?」

 言いたいことだけ言ってとっとと教室を飛び出す田丸。

「あー、それからそれから」

 …戻ってきた。

「?」

「紅蓮くん、田丸なんてよそよそしすぎるから使用禁止! 『姫』って呼んでねv じゃっ(にっこり)」

 有無を言わせぬとっときの笑顔を最後に、田丸…『姫』は廊下の向こうへと消えた。

「…先輩」

「ん?」

「つか、なんでまたあんなあっさり決めちゃったんです? ヘタレンジャーになる・って」

「…そうだね…。なんて言うか…。逆らえないんだよね、彼女には」

「逆らえないって…先輩でしょう?」

「そうなんだけどね。…ま、いいじゃないの」

 …いいのか?

「君だって同じだろう? 彼女には逆らえないって点では」

「…まぁ」

 確かに。

 どうにも、彼女に逆らえなくなってく自分がいるのはなんとなく解っていた。

 なんでなのかは、まだ解らないけど。

「…………。田丸…姫って、いつもあんな感じなんスか?」

「さぁ、どうだろう」

 ……おいおい。


      −*−*−*−*−*−*−


 次の日。

 ボクは“3人目”を探すべく、校内を回っていた。

「う〜ん。私はもう心当たりはないから。がんばって探してv(にっこり)」

「すまないね。僕も特に心当たりは無いんだ。こっちでも探してみるけど、あんまり期待しないでくれよ」

 案の定…と言うか、二人に聞いたら帰ってきた答えは↑これだし。

 …心当たりなんてボクにもないっつーの。

「つーかそもそもへたれってなんなのさ…」

 昼休み、思わず愚痴りながら教室の自分の席で溜息をつく。ちなみに、姫はいない。

「…何があったんだ、シケた顔してよ」

「あ?」

 頭上で聞きなれた声がした。視線を真上に持っていくと、そこには…

「…亮か」

「おう、亮だ」

 砕牙亮。中学来の親友…と言うべき存在である。腐れ縁とも言うが。

「一緒にメシ食おうぜ」

 そういって、どさっと購買部で買ってきたであろう菓子パンをボクの机の上に置く。

「つーか、わざわざ違うクラスにまで来んでも…」

「ま、いいじゃねーか。旅は道連れ、足は靴擦れっつってな」

「言わん言わん」

 やれやれ。まったくこの男は…。

 ……ん?

 まてよ?

 コイツなら…ひょっとしてひょっとするかもだ。

「亮」

「ん? ふぁんは?」

 焼きそばパンを頬張りながら聞き返す亮。

「…飲み込んでから喋ってくれ」

「……っと。何だよ、紅蓮?」

「ヘタレンジャーにならんか?」



 ・・・・・・・・・・・・



 ぐあ、直球過ぎた。

「……」

 2つ目の焼きそばパンをくわえた亮の目がテンになる。

「…なんだ、そりゃ」

 ま、至極当然な質問だわな。

「や、なんだって言われてもな…」

 考えてみりゃ、結局ヘタレンジャーってなんなんだ?

 と、頭をひねっていた亮がふと何かに気づいたかのように手をポンッと叩く。

「あぁ、アレだ。アタック・バンデット・レジスタンススーツ来て戦う正義のヒーロー…

「アバレンジャーだそりゃ」

 …なんでボクと同じようなネタが出てくるんだ、お前はっ。

 つーか同レベル!?

「やはりと言うか…コイツ…」

 所謂ところの“へたれ”の素質を持っているとでも言うのか、この砕牙亮なる男は。

 思い起こしてみれば、亮とつるんで3年近く。常に感じていた違和感…。

 それが、これだと言うのか…?

 否!

 間違いない。ヤツは…亮にはへたれにあるべき“何か”があると見たッ!!!

 ……何かってなんだよ。




「で、彼がそう?」

「ああ。砕牙亮・ヘタレブルーってね」

「まさか友人を売るとはね…」

「…人聞きの悪いこと言わんでよ姫…」

 放課後。

 あのあと“至極あっさり”ヘタレンジャー参加を承諾した亮を、姫と紅月先輩に会わせていた。

「うん。いい感じv へたれの素質ありそうじゃん。ナイス人選ね、ヘタレッドv」

 …だから、へたれの素質って何なのさ?

「ま、よろしく〜」

 で、亮のヤツ早くも順応してるし…。

「さて、これで名実ともにヘタレンジャーになったわけだが…」

 と、紅月先輩が口を開く。

「…ところで。“何”戦隊なんだ?」

 ……あ、そういえば。

 ヘタレンジャーって名前は聞いていたが、戦隊まで聞いてなかった。

 ……戦隊になるほど人間がいなかったからかも知れんが。

「んふぅ…v」

 その疑問に、姫が怪しい笑みを浮かべる。

 あ、“妖しい”か。

「?」

「…奉仕戦隊・ヘタレンジャー! これで決まりでしょ、ねっ?(にっこり)」


 ・・・・・・・・・・・・


 ってなわけで。

 ボクたちの物語はここから始まる。

 どのような結末になるのかは……


 姫のご機嫌しだい…かと。






  Open Your eyes,For the next HETARANGERS….
















「…なぁ、紅蓮」

「ん? どーした、亮?」

「…俺ってへたれだったの!?」

 ……

「へたれじゃないのか?」









「……マジで?」


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