奉仕戦隊ヘタレンジャー@High School Edition

 先人、曰く。

 『昔から平和なんてのは唐突に乱れるもんさ』(By スヴェン=ボルフィード)

 言い得ている。

 なんて事を、ふと思ったりしてみた。

「…と、言うわけで今日から貴方はヘタレンジャーねv(にっこり)」


 ・・・・・・・・・・・・


 ……なんじゃ、そりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!




          奉仕戦隊ヘタレンジャー@High School Edition

          Misson:00/誕生!? ヘタレンジャー




 いや、なんつーか…

 いろんな事を端折はしょり過ぎてる気がするのはボクだけなのだろうか?




「…炎部くん?」

 朝。教室に入り鞄を机の上に投げ出したところで、ふと一人の少女に声をかけられた。

「?」

 にこにこと屈託の無い笑顔で近づいてくる少女。

「あーっと…田丸…だっけ?」

 おぼろげな記憶を頼りに応える。

「うん、田丸まひる。つーかクラスメイトの名前くらい憶えなさいよ」

 無理だ。

 つい昨日の始業式で同じクラスになったヤツの名前なんぞ、いきなり憶えろというのが無謀というものだ。

 …いばって言うことでもないが。

「…で、なんか用?」

「あー。いや、用って言うほどのものでもないんだけどねー」

 …なら呼び止めるなよ。

「っとさ、炎部くん」

「何?」

「……と、言うわけで今日から貴方はヘタレンジャーねv(にっこり)」




 や、だから。

「貴方には素質があるわ。貴方なら立派なへたれになれる。私が保証するからv」

 いや、そんなもん保障されても。

 つーか何、ヘタレンジャーって。

 エヴォリアンの侵略を防ぐべく戦うアナザーアースの戦士たちか?

 ……ってそりゃアバレンジャーか。

「ね、ヘタレンジャーになって?」

「…やだ」

「あらら。否定的なお答え」

 いや、しごく普通のリアクションだと思うが。

「ダメ?」

「ダメ」

「どーしても?」

 上目遣いで懇願してくる田丸。

「どーしても」

「…しょーがない、か」

 諦めたかのように、田丸が呟く。

「ごめんね。今回はおとなしく退くわ」

 それだけ言うと、何事も無かったかのように、くるっときびすをかえし、自分の席へと戻っていった…。





 しかし、平和の崩壊は、これから始まったわけで……





「ね、ヘタレンジャーなろうよv」

「ならないと後悔するよ〜?」

「ヘタレンジャーヘタレンジャー☆」


 休み時間のたび、果ては昼休みにまで「ヘタレンジャー」。

 なんなんだ、一体。

 わけ解んねーよ、まったく……。



「どう?ヘタレンジャー、なる気になった?」

 放課後である。つーかいい加減しつこいなぁ…

「くどい」

「つれないなぁ…」

「あのなぁ…。って言うか、なんでボクなんだよ? それこそ男子だってたくさんいるじゃんか」

「…………」

 ふと、田丸が口を噤む。

 静寂。

 いつのまにか、クラスメイトはみな教室を出ていて、ボクと田丸しかいない。

「…田丸?」

「…か、いなかったから……」

「えっ?」

「貴方しか、いなかったから……」

 なに、何の話?

「…やっぱり、迷惑だよね…」

 さっきまでの笑顔が消え、ふとさびしげな表情を見せる田丸。

「……ゴメンね。変なことに巻き込んで……」

 かろうじて微笑むと、そのまま立ち去ろうとした…

 その瞳には…

 …涙?

 彼女の瞳から、一筋の涙がつーっと頬を伝っていく。

「…待てよ」

 呼び止める。

「…?」

 ピクっと、その場で留まる田丸。

「…なんで、ボクを選んだんだ?」


 ・・・・・・


「……関係ないでしょ? もう、いいから…さ。それじゃ…」

「……」


 ………ああっもう!


「…解ったよ」

「……?」


なるよ。なってやる。ヘタレンジャーってやつ…!


 突然のボクの発言にキョトンとした表情で田丸が振り向いた。

「…へ?」

「なるっていったんだよ。…ヘタレンジャー」

 おだやかに、そしてしっかりと言葉を伝える。

「うそ…」

「こんなことで嘘ついてどうするんだよ」

 やるっきゃないでしょ。

 女の子の涙まで見せられたんじゃ、ね。

 なんつーの? ここで退いたら男がすたる、って言うかさ。

「…ありがとうっ!」

 ぱぁぁぁっと笑顔に戻り、田丸がボクに抱きついてきた。

「…礼を言われるほどでもないって」

 やさしく呟きながら、田丸の頭にぽふっと手を乗せる。




     コトン。




 …コトン?

 床に響く物音にふと視線を下に向ける。

「……目薬?」

 目薬。

 点眼薬。

 小瓶。

 …待てよ?

 …もしかして…っつーかもしかしなくてもっ。

 目の前の田丸に視線を向ける。

「……。てへっv」

 てへっv じゃないっ。

 …ようするに、目薬さしてウソ泣きしてたってことか。

「く…くの……」

「……。まさか、今更言ったこと撤回するなんて…言わないわよね?(にっこり)」

 うぐっ……

「と、言うわけで。今後ともよろしくねv 炎部紅蓮クン。もとい、ヘタレッドvv」

 ダメだ。

 なんつーか、勝てん。

 ううっ、笑顔がまぶしいぜ。



 ま、もう決めたからな。

 ヘタレンジャーだかヘタレッドだかなんだか知らないが、やってやろーじゃないか。

 少なくとも、ボクがそうすることで、彼女の笑顔が保障できるわけだし。



 あーあ。やっぱボク、女の子の笑顔には、とこっとん弱いのね……。

 それとも、それが田丸だからなのか?

 どっちにしろ、早くもヘタレ炸裂してるなボク…。






  Open Your eyes,For the next HETARANGERS….


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