分筆の登記の申請において提供する地積測量図の取扱いについて

 

1 本取扱いの趣旨

分筆の登記を申請する場合において提供する分筆後の土地の地積測量図について

は,新不動産登記法(以下「法」という。)の施行後においても,1筆の土地ごと

に作成しなければならない(不動産登記規則(以下「規則」という。)第75条第

1項)ことは従前のとおりであるが(旧不動産登記法第81条ノ2第2項),分筆

前の土地が広大な土地であって,分筆後の土地の一方がわずかであるなど特別の事

情があるときに限り,分筆後の土地のうち1筆の土地について規則第77条第1項

第5号から第7号までに掲げる事項(同項第5号の地積を除く。)を記録すること

を便宜省略して差し支えないとされた(不動産登記事務取扱手続準則(平成17年

2月25日付け法務省民二第456号民事局長通達。以下「準則」という。)第7

2条第2項)。

分筆の登記の申請において特別の事情がある場合を除き,分筆後の土地のすべ

ての土地について地積の求積方法等を明らかにする趣旨は,地図(法第14条第1

項)の精度及び正確性を維持するとともに,地籍の明確化を図り,もって,登記さ

れた土地の区画の正確性を確保するためには、分筆後の土地のすべてについて地積

の求積方法,筆界点間の距離及び筆界点の座標値を明らかにすることが必要不可欠

であるとする基本的な考え方によるものである。

2 特別の事情

準則第72条第2項の規定は,分筆の登記の申請において提供する地積測量図は,

本来,分筆後の土地のすべてについて地積の求積方法等を明らかにすべきであるが,

極めて例外的に,特別の事情があるときに限り,分筆後の土地のうちの’筆につい

て明らかにすることを要しない取扱いを明らかにしたものである。この「特別の事

情があるとき」を例示すると,おおむね次のとおりである。

(1)分筆前の土地が広大であり,分筆後の土地の一方がわずかであるとき。

(2)地図(法第14条第1項)が備え付けられている場合であって,分筆前の地

積と分筆後の地積の差が誤差の限度内であるとき。

(3)座標値が記録されている地積測量図など既存の資料により,分筆前の地積と

分筆後の地積の差が誤差の限度内であるとき。

(4)道路買収などの公共事業に基づく登記の嘱託が大量一括にされ,かつ、分筆

前の地積と分筆後の地積の差が誤差の限度内であるとき。

 

なお,上記の場合のほか,登記官において分筆前の土地の筆界が確認できる場合

であって,かつ,@分筆後の土地の一方が公有地に接し,境界確定協議や境界明示

に長期間を要するとき,A隣接地の土地の所有者等が正当な理由なく筆界確認のた

めの立会いを拒否しているとき又はB隣接地所有者等が行方不明で筆界確認のため

の立会いができないときについても,特別の事情があると認められる場合があるこ

とも考えられる。これらの場合には,これらの事情(上記Aの場合は,立会い拒否

が正当な理由に基づかないことを認めるに足りる具体的事情)を規則第93条に規

定する調査に関する報告において明らかにする必要がある。

3 分筆の登記を申請する場合において,分筆前の地積と分筆後の地積の差が,分筆

前の地積を基準にして規則第77条第4項の規定による地積測量図の誤差の限度を

超えるときには,併せて地積の更正の登記の申請をする必要があるが,このときの

地積の更正の登記の申請には,分筆の登記の申請をする場合において提供する地積

測量図を援用することができることは,従前の取扱いのとおりである。

 

トップページにもどる