出動1回目
「俺がカーネルだ!」
前編
こんにちわ、もしくは、こんばんわでしょうか?僕は『共和国軍首都ヘリックシティ防衛隊』所属の少尉『ケイン・ヒタチ』です。
今回、僕が見てしまった、とある『凄腕の兵士』をご紹介したいのです。
まあ、一口に凄腕の兵士といっても様々な方たちがいます。
ヘリックシティ大統領の息子にして最前線で指揮を取られている『ロブ・ハーマン大尉』
史上最悪のゾイド、デスザウラー復活計画を阻止した共和国軍の英雄『トミー・パリス中尉』
『レオマスター』と呼ばれる共和国軍の老兵『アーサー・ボーグマン少佐』
名門シュバルツ家の名将『カール・リヒテン・シュバルツ中佐』
そのシュバルツ中佐の副官にして、ハルトリーゲル家の出身の『キルシェ・ハルトリーゲル大尉』
裏では良くない噂が飛び交う、ガイロス帝国軍摂政『ギュンター・プロイツェン元帥』
他にも、黒いオーガノイドを操る謎のガイロス帝国軍の少年兵『レイヴン』
同じく、白いオーガノイドを操り、数々の難戦を勝利に導き、今や共和国軍内部においてその名前を知らない者はいない共和国軍の英雄といわれる少年『バン・フライハイト』
まだまだ、出てきますよ・・・。
でも、僕が見てしまったその兵士は、前途の兵士とは確実に『異質な存在』でした。
その時僕は、偵察任務中に『ガイロス帝国軍のレドラー』を撃墜したとの情報を聞きつけ現場へ急行しました。
既に通信では、二機のレドラーが墜落して後で、そのレドラーを囲むようにゴドスが二機、生き残りの二名の兵士へ投降を呼びかけていたようでした。
その時には「これならもう現場へ行っても、僕の用事は無いな」と思っていました。
しかし、現場は思いもよらない事態へと急変したのです!
その時の状況の通信を傍受したテープがここにあります。
聞いてください。
「うわー!!!軍曹!!コイツは一体何者なんですか!!!助けて!!!助けてください!!!」
「・・・・・・・・・・・!!!」
「来るなー!来るなー!!」
「・・・・・・・・・・・!!!」
「来たー!!ココッ!コクピットに!!コクピットに!!軍曹!軍曹!!」
ガキャーン!!
「ヒイィィィィィィ!!!!」
「・・・!!!」
「うわーーーー!!!」
ドサッ!
ここで、通信が途絶えました。
急いで現場についたときには既に遅かったのです。
そこで僕が見たものは、半壊したゴドスとコクピットの防弾ガラスが砕け、コクピット剥き出しのゴドスがありました。
そして、更にそのコクピット剥き出しのゴドスの足元に下着だけで身包みを剥がされ縄で縛り付けられて半泣き状態の共和国軍の同胞でした。
その後、無事保護された両名は回復したのですが、その時の状況は「話したくない」と言い、硬く口を閉ざしたままだそうです。
そこで僕は、前途の通信から「何か情報は得られないのだろうか?」と思い聞き取れなかった部分を再生することに成功したのです。
それが、このテープです。
まずは、聞いてください。
「うわー!!!軍曹!!コイツは一体何者なんですか!!!助けて!!!助けてください!!!」
「うははははははははは!!」
「来るなー!来るなー!!」
「うははははははははは!!!」
「来たー!!ココッ!コクピットに!!コクピットに!!軍曹!軍曹!!」
ガキャーン!!
「ヒイィィィィィィ!!!!」
「いねい!!!」
「うわーーーーー!!!」
ドサッ!
皆さん、聞いていただけたでしょうか?
どうやら、相手は笑いながらゴドスのコクピットを上り、防弾加工されているコクピットを割り。
最後には「いねい!!!」の一言で兵士をコクピットから叩き出したのです!
後は容易に想像できます。
その後は、乗っ取ったゴドスでもう片方のゴドスを殲滅したようです。
しかし、最後は良いとしても問題は前途の『笑いながらゴドスのコクピットを登り 、防弾加工されているコクピットを叩き割る』所です。
とても人間技とは言えませんよ。
僕は、その時『新手のオーガノイド使い』と思っていました。
ですが、どうも違ったようなのです。
好奇心からその事件に関した情報を諜報部の友人から詳しい情報を聞き出すことが出来たのです。
まず、最初に砕かれた防弾加工ガラスの調査結果ですが、銃や鈍器では無く『素手で壊された』です。
信じられますか?
しかし、信じられないのはこれだけではありません。
乗っ取られたゴドスの腿の部分の冷却チューブから『タオルの後』が検出されたそうです。
これは何を意味するかは後で説明いたします。
続いて、乗っ取られたゴドスのコクピットからは『多少ではあるがシートが濡れていたこと』と『当初のパイロットとは違う体毛が検出』されていたそうです。
シートの濡れに関しては、パイロットがその時の恐怖心から失禁したものだと思いましたが、そうではないようでして、どうやら相手が濡れていたようなのです。
しかし、これだけではありません。
現場から数メートル離れた場所でお湯の入ったドラム缶が発見されたのです。
以上の主な結果から推測しますと、奴は『冷却チューブに濡れたタオルを貼りつけ、それを足がかりに笑いながらゴドスのコクピットによじ登り、コクピットに到達するや否やガラスを渾身の一撃で粉砕し、ゴドスを奪取、そして、もう一機のゴドスを撃退』したようなのです。
更に付け加えると奴はコクピットから検出された毛で判断した結果、奴は『全裸』だったのです。
最後に前途のドラム缶から推測するとどうやら奴は『風呂上り』であったのです。
今でも信じられませんよ。
このような暴挙に出られる人間がこの世に存在していることを・・・・。
それでですね、別の諜報員の友人から聞き出したんですけど、この暴挙に出た人物の名前が判明したのです。
『ガイロス帝国軍第13.5独立部隊隊長兼山岳基地司令』
そして、その名は『カーネル・ヴリュッケン大尉』
またの名を『奇跡(ムチャ)のカーネル』
後編
人影が見える、荒野を三人の男達が荒野を歩いている。
しかし、その光景は普通では無い。
内二人は負傷しているようだが、問題は無い様なのだが少々困った表情をしている。
その理由は、先頭を歩く30代後半のグラサンをかけた中年が全裸であることだ・・・。
「なあ、オッサン・・・何処まで連れて行くつもりだ?」
背の高い青年士官候補生が全裸の中年に話しかけた。
「オレのねぐらだ。」
全裸の中年はニヤニヤしながら、残り少ないタバコを吹かしながら答えた。
もう一人の青年士官候補生が少し、不安げな表情をしながら相方に話しかけた。
「なあ、リューン・・・この男は格闘家か何か?」
リューンは難しい顔をしながら返事をした。
「いや、あの戦い方からするとそれ以上に凄いオッサンかもしれないぞ。」
「そうかぁ?そうには見えないが・・・。」
「ドイン、もしかするとあのオッサン・・・宇宙人かもな。」
「まさか・・・。」
「しかし、こうして俺達を助けてくれたんだ、敵では無さそうだぜ?」
「だけど、油断は出来ない・・・。」
二人がボソボソと話していると全裸の中年は二人に話しかけた。
「お前達、これからどうするつもりだ?」
ドインは、士官候補生としての当然の答えを返した。
「はい、まずは近くの友軍の基地に連絡したいのですが。」
中年は、ニヤッと笑いながら答えた。
「おう!それなら問題はねぇ!」
「あるのか?オッサン!」
明るい表情で、リューンが中年に話した。
そして、中年は笑いながら答えた。
「おお!あるぜ!強力な友軍の基地がよぉ!!」
二人の表情が明るくなる。
しかし、二人は中年に向かって言う。
「こんなところに基地なんてあったか?」
丁度その頃、とある基地の衛兵が双眼鏡で三人の人影を発見した。
「ん?」
もう一人の衛兵が話しかけた。
「どうした?」
そう言うと、衛兵は荒野に向けて指をさした。
「見てみろ、あそこに人影だ!」
「あっ!ありゃ、大尉だ!」
「大尉がご帰還だ!ハッチ開け!!」
「また、全裸で帰ってきたよ・・・。」
「全く、前ぐらい隠せよなあ・・・。」
「怪我人を連れているようだ、救護班を三番に向かわせよう。」
「おいオッサン、本当にあるのか?この辺にあることなんて聞いたこと無いぜ。」
リューンは、少し不安げな表情で中年に話す。
「確かに、士官学校で教えてもらったが、この辺りには無いはずだ。」
士官学校では成績は優秀なドインも不安げな表情をして呟く。
しかし、中年はお構いなしに前を突き進む。
だが三人の前には大きな山しかない。
山を見上げてリューンは言った。
「でっけえ山だなあ・・・。」
「うん・・・。」
山を見上げている二人に向かって、中年は立ち止まって二人に話しかけた。
「おう、着いたぜ!ここだぁ!」
そして、中年は山に向かって叫んだ。
「けぇったぞー!」
中年が叫ぶと、突如大きな物音と共に中年の足元から何かがせりあがってきた。
「なんだ!なんなんだ?」
士官候補生の二人がその光景に驚いた。
すると、そこから大きな搬入口が姿を現した。
「そうか!地下基地か!!」
その中から、数機の帝国軍の量産型ゾイド『レブラプター』が姿を現た。
「レ、レブラプター?」
リューンが驚く。
「何で、最新型が?」
驚きを隠せ無い二人に、レブラプターから降りた救護兵がやってきた。
二人を尻目に一人の少女が中年の元にやってきた。
「おう!ヨシノちゃん!お二人さんご案内だ!」
するとヨシノと呼ばれた少女は飽きれた顔で返事をする。
「黙れ全裸中年、服ぐらい着て帰って来い。」
そう言われると中年は少し反省したようなそぶりを見せたが、すぐに言い訳をし始めた。
「仕方ねえじゃんか、お客さんのレドラーが俺の服の上に落ちてきたんだからよー。」
しかし、ヨシノは表情を変えずに反論した。
「言い訳は聞かん!お前、一人で出かけて服を着て帰ってきた事があるか?」
「しょっちゅう全裸で帰ってきたように言うなよ、一度だけ帰ってきたじゃねぇか。」
ヨシノは飽きれた顔で中年に叱った。
「黙れ!あの時はタオル一枚で『コマンドウルフ』に追われていたのは誰だ?」
「俺だ!でも、あの時は、俺だけじゃあねえぜ!」
「ああ、コマンドウルフのパイロットもな・・・、でも!原因を作ったのはお前だろうが!」
治療を受けながらその会話を聞いていた士官候補生二人は思った・・・。
「なんで、全裸になったんだろう・・・。」
中年との会話を適当にあしらい、ヨシノは士官候補生の二人に話しかけた。
「おい、お前達、怪我の方は大丈夫なのか?特に、そこの背の高いほう」
ヨシノはリューンに向かって指を指した。
「ええ、問題はないです。」
そして、ヨシノはリューンの顔をまじまじと見つめてこう言った。
「ふむ、頬の傷が少し深いようだが・・・、本人が言うのならば問題ないだろうな。」
「ええ、この位問題はないです。」
「チッ・・・。」
ヨシノは口を鳴らした。
いかにもつまらなさそうな顔をしていた。
「・・・・。」
確実に年下思われる女性なのだが、この時リューンは少々の恐怖を感じた。
「何何だ、この基地は・・・。」
ドインが不思議そうに格納庫と思われる所を見渡すと、奥の通路から綺麗な女性士官が現れ、公衆の面前で堂々と服を着替えているカーネルに話しかけてきた。
「大尉、また無断で出かけていたんですか?」
「大尉ー!?」
士官候補生の二人には信じられなかった。自分達を助けてくれた恥も品性の微塵も無いサングラスをかけた全裸の中年、そんな人間が大尉だと言う事に・・・。
唖然とする二人に女性士官が話しかけた。
「あら?貴方達・・・帝国の士官候補生?」
やっとまともな士官に会えて嬉しいのか、二人は姿勢を正し敬礼し、大きな声で返事をした。
「ハッ!自分は!ガイロス帝国軍第一士官学校一期生のリューン・マック候補生であります!」
「ハッ!同じく!自分は!ガイロス帝国軍第一士官学校一期生のドイン・ファスト候補生であります!」
大きな声の二人に対し、女性士官も自己紹介を始めた。
「私はココ、山岳基地の副指令をしている『レイン・テリア』中尉です。」
レインがそう言うと、着替え終わった中年が士官候補生二人の肩を持ち話始めた。
「どうだ!美人だろ!!」
いきなりの質問に躊躇しながらも二人は、正直に答えた。
「ハイ!」
中年の質問に対し、レインは少しテレながら中年の額をポンッと叩いて言う。
「いやですね、大尉。」
「良いじゃねェかよ、本当なんだから。」
その光景は一瞬だが少しばかりナイトクラブみたいだった。
「すげぇんだぞ!中尉はあの『オーガノイド』の使い手なんだぜ!!まあ、こっち来いや!!」
そう言うと、中年はゾイド格納庫へ二人を連れて行き彼女の乗るゾイドを紹介した。
その彼女のゾイドは全身を赤く染め、両肩に装備された大型のシールドが特徴的な恐竜型の大型ゾイドだった。
「凄い・・・これは何と言うゾイドでありますか?」
中年が上官だと理解して敬語で質問をする。
「おう、コレはな『ジェノザウラー』をベースにしたゾイドで、格闘戦を重点的に改造した『ジェノグラップラー』だ!しかも、彼女のオーガノイドとゾイドの合体を考慮した強化形だ!!」
士官候補生二人は、ただただ呆然と赤いゾイドを見上げていた。ふと回りを見ると、同じような黒い恐竜型ゾイドがもう一機、置かれていた。さらに格納庫内を見渡せば、特殊部隊が持っていそうな改造ゾイドがズラリと並んでいた。正規のゾイドのほうが少ない位だ。
「まるで・・・改造ゾイドの見本市の様だ・・・」
中年は笑いながら士官候補生二人になれなれしく話し始めた。
「おう、それだけじゃねえ!ちゃんとお前等のゾイドも用意してある!」
士官候補生二人は顔を見合わせた後中年の方を向いた。
「え?」
中年は二人の事を気にも止めずに、手短な場所にあった受話器をとって言う。
「おい!俺だ!外線繋げ!電話だ電話!」
受話器の向こうから質問が聞こえてきた、しかし中年は恐い顔をして受話器に怒鳴りつける。
「何?相手?いちいち聞くな!摂政だよ!『プロイツェン』にきまっとろうが!!ホラ!早く繋げや!!ゴルァ!」
士官候補生二人は、またお互いの顔を見合わした。
「なあ、ドイン・・・今・・・プロイツェンって言ったよな・・・。」
その意見に対しドインもリューンに言った。
「それに付け加えて、摂政って言ってたことは・・・。」
士官候補生二人は口をそろえて叫んだ。
「ほっ!本国!?本国総司令部!?何で!?」
その言葉が響き渡った直後、中年の怒鳴り声が聞こえてきた。
「おお?プロイツェンか?・・・・何?違う?准将?そんなヤツに用は無ぇ!!プロイツェンだよ!!プロイツェンだせや!!ゴルァ!!!」
怒鳴り声がピークに達した時、ようやく相手が代ったらしいがどうやら、プロイツェン摂政では無いようだ。
その補佐官が出てきたようだ。
「ざけんな!ゴルァ!!これ以上怒らせんな!!プロ公だせや!プロ公!!!」
ついに、上官中の上官の名前を略し始めた、もう手が付けられない。
「なに?皇帝がくたばったから葬式でいない?ざけんな!!ジジイ一人くらい問題ではねえだろう!!さっさとだせやゴルァ!!!」
この時点で、中年は普通なら軍法会議ものである、しかし中年の怒鳴り声はとまらない。
「ええかげんにせえよ!!ゴルァ!!さもねぇと、てめえのところの最高機密を共和国に流すぞ!ゴルァ!!」
ついに、脅迫が出てきた、この時点でスパイ容疑は逃れられない。
でも、怒鳴り声は止まらない。
「おうおう!信じられねぇんなら言ってやろうか!?ゴルァ!!おい、そこの整備兵、食堂に貼りつけてある最高機密文章をFAXに流せ!!」
指名された整備兵は驚いて中年に話した。
「え?あれそうだったんですか?」
「おう!そうだよ!さっさと流して来いやゴルァ!!!」
「送信先は….」
「聞こえんかったのか!?共和国最高指令部だ!!炊事場の緊急連絡帳に書いているだろうが!!」
「ハッ!了解!!」
整備兵はおびえながら走って行った。
すると、中年は受話器に向かって不敵な笑みを浮かべながら話し始めた。
「聞こえたか?ホラ、走って行く音が聞こえるだろう?ココから食堂まで約3分掛かる、どうする?なあ、どうするよ?」
この時点で国家反逆罪確定だろう、でも中年のトークは止まらない。
「まだ、信じられねえのか?そうだな、内容は『D』といえば良いかな?」
受話器の向こうからおびえたような声が聞こえる、どうやら脅迫は効いた様だ。
「なに?指令室から話せ?顔が見たい?ざけんな!こんなモンは電話で十分だ!!わかったんならさっさと変われや!!ゴルァ!!!」
すると、受話器の向こうから候補生の二人には演説等で効いたことのある声が微かに聞こえてきた。
候補生二人の顔が青ざめる・・・。
「間違い無い、摂政・・・ほっ・・・本人だぁぁぁ。」
そんな事はお構いなしに中年の激トークが始まる。
「やっと来たか、回りくどいことしてんじゃねえ!!さっさと本人がでりゃいいんじゃゴルァ!!!」
向こうからも怒鳴り声が聞こえる。
しかし、中年の方が上だった。一介の大尉の分際で摂政に怒鳴り散らしている。
「おう!やっと本題に入れるぜ!!たった今から貴様のところの士官候補生二人を貰うからな!!ええな!!何?『誰と誰だ』だと?そんなん自分で調べろやゴルァ!!!んじゃな!!」
ガチャン!!
用件はたった数秒で終わった・・・、しかしその前に国家レベルの大問題が起きていることは言うまでもない。
たった二人の士官候補生の引き抜きに国家レベルの大問題を起こした中年、コイツはもう、恐れを知らない鬼であることには間違いではない。
しばしの沈黙を破るように中年は、青ざめてこの世の存在では無くなりそうな士官候補生二人に話しかけた。
「おう!これでお前達は俺の部下だ!!」
ドインが事切れそうな声で言う。
「あ、あの・・・辞令が着ていないのですが・・・・。」
中年はドインの肩を叩いてこう言った。
「おう、そうだったなあ!」
そう言って中年は適当な場所にあったカレンダーの裏側に辞令を書き始めた。
「ハイ!」
カレンダーの裏側に、非常に達筆に書かれた辞令が士官候補生二人に手渡される・・・。
安心した中年は更に言った。
「よかったなあ!摂政のご推薦付きだ!!」
明らかに違う。
「これでもう、士官候補生じゃあねえ!!今日からお前等は少尉だ!!」
無理矢理である。
「おっと、これを渡さないとな!!」
中年のズボンのポケットから少尉の階級証を取りだし、士官候補生二人に手渡した。
ただし、共和国軍の階級証である。
「・・・・・・・・。」
士官候補生、もとい新米少尉二人は既に言葉を失っていた・・・・。
それでも、中年のトークは止まらない。
「悪りぃな!共和国軍のしかないんだ、しばらくそれで我慢してくれや!!」
なぜある?
新米少尉二人の心のツッコミは中年に届くことは無かった。
そして、中年は大声で自己紹介を始めた。
「俺がカーネルだ!!」
その頃、共和国軍総司令部・・・・・。
「D定食の・・・献立表・・・・?」
「内容は、ライスとハンバーグとサラダとたくあん・・・?」