第六話 ディクセン大地に立つ!!
スペースコロニー・・・それは人類が、宇宙に増えすぎた人口を・・・・・やめよっと。(わかるでしょ?)
まあ、そんなわけでして・・・・舞台は宇宙・・・・。
地球では、今まさにゲッP−Xが戦いを始めようとしていた頃である。地球連邦政府崩壊に伴い、コロニーは、古くからの祈願であった、自治権をようやく手にする事が出来た・・・・
だが、宇宙は地球以上の戦乱に巻き込まれる事になった・・・・
自治権の取得に伴い、今まで勢力を潜めていたコロニー派閥の急進派や強硬派が、これを機に一斉に活動を開始したのだった。
やがてコロニーや月等の宇宙居住者同士での戦争が始まっていた・・・・。そして期間は短かったものの、激しい戦闘の末、コロニーは、選民思想の強く、人種差別を奨励する国家、『ソラリス』に統合されるにいたった。ソラリスは、独自の技術体系を有し、地球上で発掘されている兵器・・・『ギア』と同型の人型ロボットを兵器として使用した。その性能は地球で発掘されるギアの数段上の性能を有していた。
月はDN社に制圧されていた。DN社が月で発見した遺跡を中心に、月の主要都市及び周辺コロニーは完全にDN社の制圧下にあった。DN社の兵器・・・『バーチャロイド』は並のPTやギア以上に高性能で、場合によっては妨害電波の中でも正確な遠隔操作が可能で小人数でも大隊規模を運用する事もできた。
こんな状況下でも、ソラリスともDN社の侵攻を逃れていたコロニーもごく少数存在していた。それは自治権取得後も、地球に友好を示していた民主系と極東系コロニーであった。
その一つの極東系コロニー・・・・月からもソラリス周辺コロニーからも遠い場所にそのコロニーはあった・・・。
統合暦199年・・・・一隻の宇宙航行艦がそのコロニー「タカマガハラ」に入港したところから始まった。
「新造艦か?」
一人の男が、レーダーに偶然キャッチした宇宙戦闘艦をモニターで見ていた。男は金髪の髪を上に立てていて仮面をつけていた。その男の問いにとなりの老兵が答えた。
「解かりません。最大望遠ですので・・・レーダーに映ったのも索敵範囲限界付近でしたし。」
「あのフォルムは・・・TDFだな・・・」
「TDF?しかし・・・あそこの戦力は極東付近にしか、もう・・・・」
仮面の男は不敵に笑いながら、首を横に振った。
「正体不明の女性型機動兵器がTDFの残存戦力や我々に対する反抗組織等を集めている・・・との噂もある。それに・・・」
「それに?」
「極東に奇襲を仕掛けたソラリスの特殊部隊が謎のPTの前に撤退させられ、DN社の傭兵部隊が、『究極の力』の前に通信が途絶えたらしい。」
老兵は驚いた。
「本当ですか!!」
「ああ・・・。それにTDFが我々やゴルディバス軍に対抗する新型機を開発しているという未確認情報も入っている。大方、あれがそうなのかも知れん。」
「どうします?ジャーク将軍。」
ジャークはマントを翻し、後に振りかえった。そこは宇宙戦闘艦のブリッジだったからだ。
「偵察を出そう。ザッキュンを三機、あのコロニーへ向かわせろ!」
そのすぐ後、兜を思わせる赤い宇宙船から、三機の緑色の機動兵器が機関銃を構えてコロニーに向けて漆黒の宇宙を飛んだ。
「何よ、練習艦じゃない。」
コロニーの宇宙港に入ってきた軍艦を見てハルマは落胆していた。ゴルディバスに対抗するために極秘に開発されていた新型機を運用する為の母艦ともあろうものが、練習艦とは・・・。TDFがもはや極東にしか機能していない事は知っていたが、ハルマには納得がいかなかった。
「よう!どうした?天才少女。」
そこへ、浅黒い肌の若い男がやってきた。屈託の無い人懐こそうな笑顔を浮かべながらハルマに近づいてきた。彼はハルマの訓練校時代の唯一の理解者にして友人でもあるライード曹長だ。
「ライード・・・」
「贅沢言うんじゃねえよ〜。ただでさえ、TDFにはもう金が無いんだし・・・・宇宙軍なんて壊滅したも同然なんだぜ。」
暗い話題ながら、笑いながら話していた。そのどんな時でも絶やさない笑顔がハルマは好きだった。彼のおかげで煙たがれ続けた訓練時代も乗りきって来たのだった。
「そうね・・・無いものねだりは、良くないわね。」
ハルマも笑顔で返した。それを見て、ライードも白い歯を見せて笑い返す。宇宙港に若い二人の笑い声が響いた。
練習艦のブリッジから、その光景は目にできた。陸軍と宇宙軍の制服を着た男女が笑顔で向かいあって笑っていた。ブリッジでそれを見ていた練習艦の艦長は微笑しながら見ていた。
「若者はいい・・・。どんな時もああして笑っていられるのだからな・・・」
艦長は思わず呟いた。艦長はもう頭に白いものがはっきりとしている初老の紳士風の男性だった。そこへ伝令役の兵士が現れた。
「報告します、ベイツ艦長。停泊完了と同時に、本日ニホン標準時13:00を持って、新型機動兵器九機の搬入作業開始します。これが目録です。」
兵士は紙のファイルを手渡した。この時代に紙のファイルとは珍しいが、これは重要かつ機密性の高い書類だからだ。補給目録と言えど、今回搬入するのはただの兵器や補給物資ではない。TDF極東本部から直々に命じられた最新鋭の機体なのだから、慎重にならざるを得ないのだ。
「ふむ・・・なるほど『ディクタンク』三機、『ディクキャノン』三機、そして『ディクセン』三機か・・・・」
ベイツ艦長は目録に記されている新型機の項目を見渡していた。そして目録を兵士に返した。
「搬入作業予定は、どうなっている?」
兵士はその問いに背筋を伸ばして答えた。
「はい!現在コロニー内のパイロット候補生と当艦の候補生により搬入を開始します!」
「うむ・・・・ところでキミは軍に入ってどれくらいになる?」
艦長は兵士に尋ねた。
「はい!半年であります。」
「ディクセンが量産されるようになれば、キミのような若者が前線に立つこともあるまい・・・」
そう言った後、練習艦は停泊を完了した。
───コー・・・コー・・・。シュノーケルから空気が漏れるような音を立てながら、三機の機動兵器が静かにコロニーの外壁へ近づいてきた。宇宙悪魔帝国の宇宙ビーストの中でも主力量産型として、地球側からもその名は知れ渡っている程の機体。『SM−06・ザッキュン』である。
見た目は他のビーストとは異なり、かなり地球の機体に近い外観である。胴体はベーゴマのようになっていて足は無い。ベーゴマの軸に当たる部分が着陸脚なのだろう、完全に宇宙と空戦を意識した機体だ。そこに人間同様の二本の腕がついており、肩には強固そうなトゲ付きの肩当、反対の肩には逆L字型の盾が付けられている。そしてひし形の頭部は中央にレールがあり、ピンク色に光るモニターカメラが印象的だ。装備している武器は、円盤型ドラムマガジン式の機関銃『120mmザキュマシンガン』だ。
三機のザッキュンは、コロニーの外壁に取り付くと、一機が外壁に取り付けられた回転式のハンドルを回した。これはコロニーの外壁作業する時の為の作業用ハッチだ。ハッチが完全に開くと三機のザッキュンはゆっくりと、コロニー内へ進入して行った。
───ビィィン!!コロニーの中へ侵入した三機のザッキュンはピンクの目を輝かせて、開閉式シャッターに姿を隠していた。
「アスレンダーは万一に備えてここに待機だ。俺とジーンズでコロニー内を偵察してくる。いくぞジーンズ。」
「はっ!テニム曹長。」
一機のザッキュンから中年の兵士が指示を出した。一機のザッキュンを残し、二機のザッキュンが低空でコロニーの斜面を滑るように進んで行った。
やがて二機のザッキュンは森林エリアに見を隠した、深い緑色に塗装されたザッキュンには絶好の隠れ場所だ。動きを止めたザッキュンから兵士二人が身を乗り出し、双眼鏡でコロニー内を見ていた。
「曹長。別に変わった様子は無いですね・・・民間人も普段通りみたいですし。」
「そうだな・・・軍艦が入ってきたんだ。軍の施設を見てみよう・・・・」
二人は、宇宙港の近くにある軍施設に双眼鏡を向けた。そこには軍の建物が見えた。その一つに軍の宿舎が見えた。その宿舎の一室に一人の少年の姿があった。
「ナカト!ナカト〜!!」
金髪の女性が部屋のインターホンに向かい大きな声を出す。しかし返事は無い。女性はドアに触れた、鍵は掛かっていなかった。
「ナカト君。入るわよ・・・」
士官候補生用の狭い部屋の中で、一人の少年が情報端末に向かいキーボードを叩いていた。
「ナカト君・・・ちょっと・・・」
女性が入ってきた事にようやくナカトは気がついた。
「なんだ・・イエールか・・・どうしたんだ?僕は今日は非番なんだけど・・・」
イエールはため息をついた。
「やっぱり・・・指令、聞いていなかったのね・・・」
「指令?」
「本日、練習艦『ラズベリー』が宇宙港に到着、パイロット候補生はニホン標準時13:00に新型機搬入を命ずる・・・。てっ、昨日トンプソン教官に言われたばかりでしょう?」
ナカトはハッとした。
「いっけねえ!忘れてた!!」
「それなら早く、着替えてねっ。」
イエールはナカトに向けウインク一つすると、部屋から出ていった。数分後、着替えたナカトは大急ぎで格納庫へ走った。
「んん?曹長あれを!!」
「どうした!!」
彼等が見たのは、宇宙港へ向かう斜坑エレベーターに乗ろうとしている機動兵器だった。まだ完全に完成していないのか、上半身だけや、外装が取りつけられていない機体もあった。
「まだ、完成していないようですね・・・」
「そうだな・・・大方、さっき入港した軍艦の中で組立てる予定なのかもしれん。このコロニーには自治権があるから、TDFは滞在期間が定められているからな・・・」
「では、今日か、近日中にその期間が終わると?」
ジーンズという兵士は曹長に言った。曹長は頷いた。
「それで、慌てて未完成品をあの軍艦に搬入しているのかもしれん・・・・」
曹長は黙って軍施設を見ていた。その横でジーンズは思わず呟いた。
「やるなら、今しかない・・・」
その言葉に、ギョッとする曹長。
「我々は偵察が任務なんだぞ!!」
だが、ジーンズは反論した。
「でも、あの機体が完成したら、我々にとって脅威になります!!」
「お前!命令違反を犯すのか!!」
耳を貸さず、ジーンズはザッキュンを起動させた。
「ジャーク将軍だって、戦場で出世したんだ!!」
「おい!やめるんだ!!ジーンズ!!」
ジーンズのザッキュンは静止する曹長の言葉も聞かず、飛び出して行った。慌てて曹長も後を追う。
「何?ジーンズが無断で出撃した?」
戦闘艦のブリッジでジャークはアスレンダーの報告を受けていた。
「それでテニムは、援護に行ったのだな?解かった、お前は取れるだけの写真を取って帰艦しろ。」
モニターでは敬礼するアスレンダーが映っていた。
「テニムに新兵が押さえられんとはな・・・・」
コロニー内は戦場と化した。突然のザッキュンの攻撃の前に、未完成の機動兵器達は次々と破壊されていく、パイロットが乗り込んだ機体もそうでない機体もである。
無論、コロニー内のTDFも応戦した。だが、宇宙軍が壊滅同然のコロニー仮駐屯部隊では、満足な兵器など無く、無残に破壊されていった。
停泊中の練習艦ラズベリーのクルーも応戦に出たが、やはり強大なザッキュンの前に成すすべも無くやられていく。無論多数の犠牲者や負傷者も出ていた。
そんな中、ハルマは仮駐屯部隊の兵士に食って掛かっていた。
「ワイズダックがあったハズでしょう?何で出さないの!!」
ワイズダック・・・・TDFの陸軍が保有する二足歩行型の空挺用の機動戦車であった。勿論、コロニー内用に火力が押さえられたタイプがこの仮駐屯地には訓練用として、配備されていたハズである。
「ムチャ言わないで下さい、少尉!格納庫なんて真っ先にやられましたよ!それに陸戦用のワイズダックでザッキュンを相手にするなんて無謀ですよ!!」
言われた通りだった。純粋な陸戦兵器であるワイズダックには満足な対空装備は殆ど無い。そこでライードがハルマの肩を叩いた。
「無いものねだりは良くないって、自分で言ってたろう・・・ハルマ。」
ハルマは頷いた。だが、身体が震えていた。
「情けない・・・何も出来ないなんて・・・・何が天才よ・・・何が・・・」
ナカトは走っていた。格納庫に向かうはずが、港に向かって走っていた。ナカトは運が良かった・・・遅刻しなければ、真っ先に破壊された新型機や同じパイロット候補生達の様にザッキュンの攻撃で運命を共にしていたかもしれなかったからだ。
「早く、港へ・・・」
懸命に走った。道には破壊された建物や軍人・民間人関係無く死体が転がっていた。
「これが・・・戦場・・・・」
ナカトは始めて本物の戦場に立っている事を感じていた。やがてナカトは港へとたどり着いた。そこでは生き残った兵士達が民間人を練習艦へと非難させていた。そんな中、ナカトは負傷した民間人の少女を見つけた。慌てて駆け寄る。
「大丈夫か?」
「だ・大丈夫・・・です・・・でも・・・」
少女は震えていた。ナカトが変に思い回りを見ると、多数の民間人の死体が散乱していた。
「と、父さん・・・・母さん・・・・」
少女はガタガタ震え始めた。ショックで叫ぶことも出来ないらしい。ナカトは少女を抱え、走った。そしてすぐに、軍の車が民間人を乗せているのを見て、少女を預けた。
「大丈夫、キミは強い子だろう・・・・?」
ナカトは自信無さげにだが、少女を励ましていた。ふと回りを見るとPT運搬用のトレーラーの前で自分たちの教官が他の兵士に指示を出していた。
「そうだ!ディクセンが最優先だ!!民間人は後回しにしろ!!」
ナカトは教官に駆け寄った。
「教官!!」
「?ファーランド候補生、何をしている。はやく練習艦へ行け!」
「教官は、人より機動兵器の方が大事なのですか!!」
教官はナカトを横目に兵士に、運搬車を持ってくるように命じた。後ろにあるPT用のトレーラーに寝かされた機動兵器を運ばせるつもりらしい。
「早く行け!いいな。」
そう言い残して教官は運搬車へと走って行った。その時、ナカトの頭上に影が差した。ナカトは振りかえるそこには・・・・
「!!」
ザッキュンがいた機関銃をエレベーターの方へ向けている。
「これが・・・ザッキュン・・・」
ザッキュンは機関銃を発射した。素早くナカトは耳をぐ。破壊されるエレベーター、吹き飛ばされる未完の新型機と運搬中の軍人。
「くそっ!!宇宙悪魔帝国め!!見ていろ!!」
ナカトはトレーラーに寝かされている新型機へ走り、はしごを伝って、丁度人間でいうと腹部の辺りに開きっぱなしのコクピットを見つけた。コクピットを覗き込む・・・・無人だ、誰も乗っていない。だが、計器が点滅しており、ナカトはこの機体がすでにスタンバイ状態であることを知った。
「こいつ・・・動くぞ・・・」
ナカトはコクピットへ滑り込んだ。簡単に機体の様子をチェックする、訓練で何度も行ったいたので自然と身体に身についていた。
「すごい・・・三倍以上のエネルギーゲインだ・・・いける・・・」
そう言いナカトはハッチを閉じた。視界が有視界からモニターに切り替わる。操作に支障は無かった、訓練でのシュミレーター通りだった。
「武器は・・・頭部のバルカン・・・・銃は・・・無いか。フィクサーキャノンも付いていない・・・コイツも未完成って事かよ・・・」
その時、ザッキュンがこちらに気付いた。機関銃を構えてこちらにやってくる。
「もう、よすんだジーンズ!!」
ジーンズのザッキュンの肩を曹長の機体が掴む。
「何を言ってるんです。ここで叩かなければ敵はますます・・・」
「!?」
ジーンズは見た。トレーラーに寝かされた機体・・・ディクセンの顔に光が宿ったのを・・・
「うわあああ!!!」
ナカトは叫びながら、トリガーを引いた。ディクセンの頭から機銃弾が飛び出した。無論闇雲に発射したので当たりはしなかったが、敵をひるませるには十分だった。
そしてディクセンは、左足をトレーラーから地面へと降ろし、ゆっくりと上体を持ち上げた。
「立ってくれ・・・立てよぉ・・・」
そして・・・ついに立ちあがった。そして胸の隅のダクトから勢い良く空気が噴き出し、目が光った。ディクセンの顔はヘルメットを被った人間を思わせる造形で、目に当たる部分はゴーグルになっているが、その奥で確かに鋭い二つの目が光った。
「そ・曹長!!敵の新型が動き始めました!!」
「引くんだ!ジーンズ!!」
ジーンズは指示に一瞬従おうと思ったが、立ちあがったディクセンを見て意思を変えた。
「いや・・・まだよく動けんようです。やります!!」
「やめるんだ!」
機関銃をディクセンへ突きつけながら近づいて行った。
「へへへ・・・、手柄さえ立てちまえばこっちのもんよ・・・」
「うおお!!」
ナカトはディクセンの左腕を突き出させた。左腕には小型シールドが直付けされている。ディクセンのシールドがザッキュンの頭部にめり込む。
「うわあああ!!」
頭部を損傷したザッキュンが吹き飛ぶ。思わず悲鳴をあげる。
「大丈夫か?ジーンズ。」
「はい、曹長・・・」
もう一機のザッキュンが手を貸す。
「退くぞ。いいな!アスレンダーの所まで飛べるか?」
「何とか・・・」
そしてザッキュンは背後を向いてフラフラと飛びあがった。
「逃がすものか!!何か武器は・・・?」
武器表示モニターを見る。そこには盾の裏に二本の棒が赤く点滅表示されていた。
ディクセンは走りながら、盾から棒を一本抜いた・・・抜いた棒から光の柱が伸びてきた・・・レーザーサーベルだ。
「わあああ!!」
眼前の機関銃を撃つザッキュンを無視してジャンプし、一気に詰め寄る。そして・・・・背後からザッキュンを横一文字に切り裂く。
着地と同時に、ザッキュンは爆発した。すさまじい爆風が周囲を襲う。その勢いでなんとコロニーの外壁に穴が開いてしまった。開いた穴からいきおいよく真空中へ何もかも吹き飛ばされる。
「わああああ・・・・・」
ナカトは気付いていなかったが、ナカト達、候補生の教官も、運搬車ごと真空へと吹き飛ばされて行った。
「次のザッキュンが爆発したら、コロニーの空気が無くなる・・・」
ナカトはディクセンにサーベルを正眼に構えさせた。
「どうする?コクピットだけを狙えるのか・・・」
ディクセンの眼前にはもう一機のザッキュンがトゲ突きの肩当を突き出して突っ込んできた。
「よくも!ジーンズを!!」
それが曹長の最後の言葉となった。突っ込んできたザッキュンの胴体中心にピンク色に輝く光の剣が刺さっていたからだ。
「やったのか・・・」
ナカトは呆然とただ立っているだけだった。足元には胴を貫かれたザッキュンが倒れていた。
「これが・・・本物の・・・戦争・・・」
「テニム・ジーンズ両名からの反応、途絶えました・・・」
「アスレンダーは?」
「無事、コロニーから脱出しました。」
ジャーク将軍は、しばらく黙ってから呟いた。
「ザッキュン二機を、やすやすと撃破・・・・TDFの新型を侮ったか。」
そして静かに口を開いた。
「見とめたくないものだな・・・・自らの、若さゆえの過ちというものにな・・・」
次回予告
ザッキュンを退けたディクセンの前に、又もや危機が迫る!!通常の3倍のスピードを持つ赤いザッキュンが、ナカトのディクセンに襲いかかる!!新型兵器フィクサーキャノンは果たして間に合うのか?そして、突如現れた謎の機動兵器!!迎え撃つハルマは絶対絶命の大ピンチ!!
その時現れた、謎の宇宙戦艦。そして、謎のコスプレ美少女軍団の正体は?
次回、サイバーロボット大戦、第七話 『銀河最強のお嬢様!!』
次回も、余計にすげえぜ!! 「キミは時の涙を見るかも?」