備前焼の楽しみ方

 北大路魯山人の言葉で 「備前焼は鑑賞陶器にとどまらず日常生活にもっと使って良さを知る」というのがあるそうですが、ほんとに、この一言に尽きると思います。
そして眺めるとき、使うとき、何かほっとして心の安らぎとゆとりが生まれてきます。
備前焼は、花を生けると水が腐りにくく花が長持ちし、お茶やお酒・・そしてビールが旨くなるんです・・・ここでは私が実際毎日使っている備前焼から備前焼の見方について紹介します。



 まず備前焼が好きな方と嫌いな方、これは好みですから仕方ないのですが、結構はっきりとしているようです。また、備前焼は高そうだというイメージがありますね、確かに他の焼物や器に比べてチョット高いと思います。しかし、作られる過程や備前焼の特性である、割れにくい、飽きがこない、使うほどに味がでるなどから考えると当然のように思われます。とくに窯変の入ったものは使うごとに渋さや輝きが変わりいっそう魅力的になりますよ。それでは、まず手ごろな茶碗や湯飲みコーヒーカップからひとつ手に入れてみてはどうでしょうか?ほんとに離せなくなりますよ。



胡麻(ゴマ)
 釉をかけて焼いたような白い模様は、松割木の炎や灰が流れるとき、作品に降りかかってできる模様です。窯の内の温度差で灰の溶け具合が異なり「流れ胡麻」「カセ胡麻」「黒胡麻」等数種のものがあります。
胡麻の定着には少なくとも10日以上割木を焚き続けなければいけないそうです。
流れ胡麻大壷

 

桟切(サンギリ)
 「窯変花入れ」は、色んな窯変が出ていて面白い作品です。灰色っぽいところが桟切りです。意図的に行う場合は、炭を落とし入れ炭を燃焼させることにより、その部分を酸欠すなわち還元状態にします。さび色・青色・灰色や金彩や銀彩もこうして取れます。
窯変花入れ


ぼた餅
 「窯変花入れ」や下のお月さんが並んだようなお皿の赤く抜けたような部分を「牡丹餅(ぼた餅)」といいます。作品としてみる場合は、この部分を「月」桟切り部分を「雲」と観立て鑑賞します。これは日頃私が使ってるお気に入りの皿なんですが皿や鉢の底に、赤褐色、金や銀の襷が気に入ってます。チョット湿らせたお皿に料理が盛られてくるとわくわくします。

灰かぶり
 窯の床部分に細い作品が入る程度の溝があるんですがそこに寝かせて焼成します。床に接した下の面には自然の桟切りができ、上の面にはブツブツした半溶け状態の灰が降り積もり表面がぶつぶつ状態になります。場所が狭く数点しか置けないことから珍重されます。


緋襷(ヒダスキ)
 作品に藁を巻いて焼成すると、藁の跡が緋色の襷となって現れます。登り窯では「サヤ」や他の作品の中に入れて炎を遮断して焼成しなければならなく、以前は貴重な作品のひとつでしたが、今では、ガス窯や電気窯で、作られることが多いようです。


 備前焼で盛って食べて注いで飲んで、そして飾って・・・・今度はちゃんと料理をのせますね。良く備前のとっりとぐい呑みで酒を飲むとワンランク上の酒になるといいますね。魔法の器のようですが、ほんとに旨いんです。そして悪酔いしない(でも、飲みすぎた場合は保証できません)また、このコーヒーカップも私のお気に入り、同じコーヒーを普通のカップと備前のカップに分けて飲み比べてみるとすぐ解かります。いやな苦味と渋みがなくなり、味がマイルドになるのがわかります。
これも、岡山の大学の研究室で「これは遠赤外線効果」だと実証してましたね。


備前ビアマグの話
 備前焼のビアマグで飲むビールは、ガラスのコップで飲むのと違います。備前焼の場合、ガラスと違い熱が外へ逃げないから、熱い物はさめにくい、冷たい物は温くなりにくい、もう一つは釉薬の塗ってない焼き締めのビアマグは、表面に小さな細孔(凸凹)があるためビールにきめの細かい泡ができ、それがビールのうまみ成分を覆って外に逃がさないんです。
備前焼のビアマグは、日本の陶器の中では一番焼き締めてある焼き物なので、その分、表面の粒子は特に細かく、とってもクリーミーな泡立ちになります。値段の方は少し高めになりますが、窯の中で何日も焚き続けられ焼きしめられた備前焼は強度も違います。安いがすぐ割れてしまいそうな陶器を買うくらいなら思い切って備前焼のビアマグを手に入れる方が経済的かもしれません。


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