暑いので寒い時期の話を。


  高校二年の冬、私は北海道へ修学旅行へ行きました。私は岡山県でも南部に住んでいて、冬でも雪は滅多に見ることができません。だから「雪が降っている」と考えるだけではしゃいでいました。朝早くに学校へ集合し空港へ出発。空港へ着くと班ごとにならんで搭乗券をもらい、予定より早いけど危険物を持っているかどうかをチェックするセンサーをくぐりました。このセンサーは金属に反応するので、身に付けている金属は取らなければいけません。先生は生徒がセンサーにひっかからないようにするため、何度も何度も私たちにこう言いました。
身に付けている金属ははずしなさい!男子はベルトもとりなさい!




・・・・
ベルトも?


なんでもベルトのバックルとかいうやつが金属だから反応してしまうんだとか。先生のこの言葉で一斉にベルトをはずしている集団は朝の空港では浮いていました。注意して金属を体から離し、いざセンサーへ。順番にくぐっていくと・・・・・
ビー−−


センサーひっかかってるし。
あんなに慎重に金属をはずしたのに?男子はベルトまでとったのになんで?とみんなで話していると先生が「あー忘れてた。小銭もポケットから出しなさいね〜」と新たな指示をだしました。ベルトより先に言ってやれよ男子がかわいそうだろ。小銭を出した後はひっかかる人減りました。
いろいろあったけどなんとかみんなセンサーをくぐり搭乗し、飛行機は北海道へ向けて離陸しました。飛び立つ時の圧力を楽しみ飛行機が安定飛行になったとアナウンスが聞こえた時、みんなが言った言葉は「あ〜墜落しなくて良かった」でした。テロなどの影響でとても心配していて、私も本気で遺書でも書こうかと思ったくらいです。少しホッとした私は偶然にも窓際の座席だったので外の景色を堪能しました。             なんとか無事に北海道へ着き、私たちは旅館へ向かうバスに乗るために空港の出口へ移動しました。生まれて始めての北海道。こんにちは−14℃の世界!かかって来いパウダースノー!いざ外に出てみると・・・・・なんかあんまり寒くない。確かに岡山より空気は凄く冷たいけど、ガタガタ震えるほどではなかったんです。バスガイドさんの話によると「本日はとても暖かい日で・・・・」というわけらしく、しばらくの間
「北海道の寒さはこんなもんじゃなくってよ?」というニュアンスがたっぷりふくまれた観光案内を延々と聞かされました。ガイドさんの地元魂に負けじと私たちも岡山の名産品などを教えてあげ、せまいバスの中でお互い地元愛をおおいに示し岡山愛VS北海道愛という静かな戦いを繰り広げていました。勝者はいません。お互い満足したからいいんです。バスに乗ったとたんにこれですよ。まったく旅館に着くまでにも新たなバトルの予感がします。
(実際は再び新しいバトルがおこることはありませんでした。)
先頭ページ