メル友
高校1年の夏に携帯電話を買ってもらってからというもの、よく男友達から
「誰か紹介してくれ」というメールをもらいます。
誰かを紹介しろとか言われてもこういうのははっきり言ってたらちは苦手。というか嫌。
「紹介してくれ」とお願いしてくる男友達ははっきりとは言いませんが絶対に可愛い子を望んでいます。
「えー普通の子でええよ!マジで!メールしてくれる子!」
こんな言葉は大嘘なんですよね。
普通の子=ブスじゃない子=
かわいい子
という妙な方程式が彼らの頭の中にはできてるんです。だって「じゃあたのめそうな友達いるからたのんでみるね」
ってメールしたら必ず
「その子ってかわいい?」と訊いてきます。
メールができればよかったんじゃないのかおい。
「その子ってかわいい?」と訊かれたらとりあえず
普通の子だよと答えています。
普通がいいんだろ?普通が!
それにしても、今まで「誰か紹介してくれ」というメールをしてくるのはみんな男友達なんです。
女友達でこんなメールしてきた人は一人もいません。逆に「紹介してあげようか?」と言われたことはあります。
あまりにも誰か紹介してくれメールが激しいのである友達に相談してみました。
「男友達から誰か紹介してくれっていうメールが多いんだけど何で女の子からはそんなメールこないんだろうね」
私がこの相談を持ちかけた友達はバイトを始めてから彼氏ができはじめメル友の紹介もバリバリこなし、
現在の彼氏は前の彼氏と
別れて1週間後に友達に紹介してもらってゲットしたという強者です。
彼女なら答えてくれるはず!いや、彼女にしか答えられない!
気になる返答は!?
「あー。男って寂しがりやだからねーーー」
お・・・大人ーーーー!!
まさかこんな
熟女のような答が返ってくるなんて思ってもみませんでした。同じ年とは思えない。
しかもなんだか
遠い空を見つめながらちょっと
寂しげな微笑を私に向け、ため息なんかついちゃってます。
もしかして訊いちゃいけないことだったのかな?
男の話はまずかった?
私がオロオロしていると
「ふふっ。気にしないでね。ごめんね・・・」と
寂しげな微笑のまま謝りだす始末。
ごめん。訊いた私が悪かった!
私は彼女の
触れてはいけない何かに体当たりしてしまったようです。これ以上は
正常な会話ができそうになかったので
適当に相談を切り上げようと思いましたが
「本当に大丈夫だから・・・」という彼女の言葉に
逆らえずそのまま話を聞きました。
相変わらず
遠い空を見つめたままさらに彼女は続けます。
「寂しがりなくせにかっこつけてるんよ。たらちにかまってほしいのかもよ?相手してあげね」
・・・すいませんもう
姐さんって呼んでもいいですか?
(
ねえ)
この後も次々と飛び出す大人発言に、たらちは成す術もなく彼女の
トリップに巻き込まれないようにしながら聞き入るのみでした。
数十分にわたる姐さんの
「メル友紹介のススメ」は、いつの間にか
「恋のステップ1・2・3」になっていましたが
濃密な空気の中、大変参考になる意見を聞くことができました。
姐さんからのアドバイスは
今までにメル友持ったことのある女の子を紹介してあげたほうがいいということなので
最近特に
誰か紹介してくれメールを激しく送ってくる
K君を(姐さん曰く)
寂しがりやbPに決定し、
メル友を紹介してあげることにしました。
紹介するつもりの女の子は今までにメル友を持ったことのある子で
目がパッチリ、
色白、
明るいという男の人があこがれるであろう
3大要素を兼ね備えている
体重58sの元
柔道部のおちゃめさんです。
・・・・何か問題がありますでしょうか?
彼女のおちゃめは半端じゃありません。冗談で肩をつつけばお返しにわき腹への
エルボーでぶっ飛ばされ、
腕相撲をすれば
秒殺されたうえに彼女の握った部分が
青あざになり、一日シャーペンを貸せば握力によって
しなって返ってきます。
まさに
プリティ&
パワフル。
私の理想の女の子です。
おっと、まずは彼女にメル友になってもらえるようにお願いをしなきゃ。電話しよっと。
プルルルルー
たらち「もしもしTちゃん?いきなりで悪いんだけどちょっとお願いがあるんだー
」
Tちゃん「あぁ?なに?ばりっ
」
たらち「あのねー私の男友達がメル友欲しがってるんだけど・・・頼んでもいいかなぁ?
」
Tちゃん「ばりっ・・・
あーええよええよ。うち前にメル友おったし慣れとるから。ばりっ
」
たらち「わーありがと!ところでさっきからなんかバリバリ聞こえるんだけどなにか食べてるの?
」
Tちゃん「うん。
でっかい醤油せんべい。じいちゃんのお土産なんよ
」
たらち「そうなんだ!これから男友達のアドレス送るからね。
じゃあね!」
・・・彼女になら安心してK君をまかせられる。
きっと強い男にしてくれるでしょう。
こんな素晴らしいメル友を用意してもらえるなんてK君は果報者です。
(生贄です)
あとはK君からの
誰か紹介してくれメールを待つのみです。
(楽しみです)
あ、メールきた。
K君<なー誰かメールしてくれる子いない?
ふっ。何も知らない子羊が・・・・・。
待ってましたよK君。
いや本当に。
こちらの準備は万端です。君の願いは叶えられるんだよ。
たらち
>メル友になってくれる子見つけたよ!
K君
>え!まじで?ありがとな(^0^)どんな子?
たらち
>えーっとね、目はぱっちりしてるよ。
K君
>それから?ほかにはなにか特徴ある?
たらち
>色白で明るい子だよ。
K君
>まじで?!めっちゃいい子じゃが!他には?
たらち
>スポーツをやってたの。
K君
>いいな!俺もスポーツ好きだし。気が合いそう。どんなスポーツ?
たらち
>柔道
・・・・なぜ返信が無くなるのかな?K君?
今さら「遠慮します」とか言ってきても私は聞く耳持たないのでよろしく。
なぜK君からの返信がさっぱり来なくなったのか
まったく分りませんが優しい私は気の利いたメールを彼に送ってあげました。
たらち
>テレなくてもいいよ!その子には
K君のメアドはもう知らせてあるからv彼女からメール送ってくれるように頼んであげるねvv
これでもK君からの返信はありません。
無駄な抵抗はやめなさいK君。君は完全に包囲されている。
まぁいいでしょう。どうせ彼に
逃げ道はありません。念願のメル友をゲットしたK君は今幸せの絶頂にいる
はずです。
いやぁーそれにしてもたった一人の寂しがりのために身を粉にしてメル友を探してあげるなんて私って結構いい奴だったんですね。
友達の力になれてとっても嬉しいですv
ビバ★メル友