寒釣の袖伝ふ雨島煙る   勝利

 今回で3回目となった山口の釣りだったが、期待とは裏腹に雨にたたられ、その上、海水の

温度が高く、本来の目的であったメバルは、ほとんど釣れなかった。

 雨は朝から降っていた。今回の釣りコースは、もう何度か行き来したところだ。船宿の外に出て

みると、雨が降っていて、ひんやりとした空気は肌を刺すようだ。港までは車で行き、船に

乗った。明けやらぬ空は暗く、視界のほとんど効かないような真っ暗な海を走った。この船には

レーダーや自動操縦装置も付いて、自分で走行位置を確認しながら、目的地に向かって走る。

従って、海が暗くても運転には、ほとんど支障がないようだ。

 港から一時間ばかり走ると、目的の場所に着く。この頃になると、やっと空が白み始める。

前回は船首に長時間座っていて、すっかり腰を痛めてしまった。そんな訳で、今回は船の

真ん中に座らせて貰った。慣れない仕掛けで、糸を垂れない内からもつらせてしまった。

最初におもりを付け、糸をほどけば、もつれないのだという事を教えて貰い、再挑戦する。

 餌は生きエビ。釣り糸を垂らしてまもなくだった。底をとれたという感覚が十分でなかったので、

底にひっかけたのではと思ったのだが、そうではなかった。大きな魚のようだ。竿が重たく

リールを巻くのがやっとだった。水面近くまで引き上げると、船頭さんが網を持って来て

掬ってくれた。大きなカワハギだった。こんな事が場所を変えて、もう一度あった。都合二匹、

これだけで土産になりそうな大きなカワハギだった。後は小さな鯛、そしてメバルが数匹と

他の大半はギザミだった。少し当たりがあるとギザミがかかっている。本来、ギザミは夏の

魚だそうで、やはり水温が高いので良く釣れるのだという話だった。T君は釣ったギザミを

みんな海に戻していた。他の仲間は釣れないと言いながらも結構メバルを釣っていた。

 どうも底から少し上がメバルのいるところらしいのだが、なかなか、その感覚がつかめない。

結局、目的のメバル釣りには、ほど遠い釣果のまま、この日の釣りは終わってしまった。

 お天気は引き返すまで雨で、12時頃、一度だけ日差しのようなものが見えただけだった。

あとはずっと雨だった。島影も霧に隠れて、見えなくなったり、また、少し見えたりを繰り返して

いた。船は深いところから岸近くの浅いところと、少しずつ場所を変えながら、次第に港近く

にまで戻っていた。小畠港は目と鼻の先だった。

 帰りは一気に港を目指す。雨合羽を着ていたのだが、袖口から入った水が冷たい。体も冷え

切っていた。みんなの口も重く早々に着替えを済ませ、小畠港を後にした。寒くても天気の

良い方が釣りは楽しい。最悪となった今回の山口の釣りパート3だった。


 常宿にしている「海月」(かいげつ)の目の前には海が広がっている。周防灘である。狭い海峡を

挟んで向かい側に島がある。この島は大島(屋代島)という。瀬戸内海にあっては大きな島である。

 今は小畠との間に橋が架かっており、車で行き来が出来る。橋には歩道が付いており、自転車

でも徒歩でも島に渡ることが出来る。私はまだ一度も島に渡ったことはないのだが、島は観光地と

なっており、山頂には展望台もあるようだ。

 今回、少し早く着いたので、明るい内にと思い、橋を歩いてみた。橋の上から眺める海は意外に

潮の流れが速く、橋脚のところでは渦を巻いていた。冬の夕暮れは早く、橋の中央付近まで行くと

周辺は暗くなってしまった。やむなく、向こう岸にまではたどり着くことが出来ず、途中で引き返した。

 通勤時間帯でもあって、島に渡る車は橋の中央付近から渋滞していた。歩道橋ですれ違ったのは

自転車の二人連れだけだった。歩いて渡るような人はいなかった。対岸の島にも手前の小畠側にも

家の明かりが点々と灯り美しかった。明日は天気になれば良いのだが。

掲載が諸般の都合で遅くなりました。                     2001年2月24日掲載

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