雄山雌山に登る

山頂で記念撮影。肝心のリーダーのKさんがカメラマンだったので写っていない。

名峰の山頂広く天高し

尾根遙か図鑑片手に花野ゆく

 岡山県の県境近く大佐町に雄山・雌山はある。雄山雌山と言う名前からして山に関する何か言い伝えがある

のかも知れない。9月17日久しぶりにリュックの会に誘われて雄山雌山に登った。いずれの山も標高千メートル

あまりの山である。(正確には雌山が1067メートル、雄山が1153メートルである)

 メンバーのリーダーであるKさんも三年ぶりに来たとかで登山口までの記憶は定かでなかった。こんな道だった

ろうかと遠い記憶をたどりながら、それでも何とか登山口までたどり着いた。山あいの田圃では稲の刈り取りが

始まっていた。登山口までの道は杉や檜の林の中であった。手入れが十分でないこれらの植林は、先の台風の

後でもありかなり荒れていた。道には折れた枝や枯れ枝がたくさん落ちていた。

 手入れの行き届かないこれらの山林ではあっても植林は中断されることもなく続いているようだった。登山口

近くの畑には檜の苗がたくさん植えられていた。これ以上に売れもしない杉や檜を育ててどうしようと言うの

だろうか。あくことなく不毛の挑戦が続いている日本経済によく似ていた。

 登山口近くの空き地に車を停めて登山を開始した。台風の後遺症は想像以上にひどく、山道には大きく雨水

でえぐられた溝がたくさん出来ていた。早や、このあたりでは秋の気配が感じられ、ツリフネソウや萩の花、

女郎花(オミナエシ)等がたくさん咲いていた。やがて道は開けたところから薄暗い杉林の中へ入って行き、

なだらかな登り道が続いていた。山林は昼でも薄暗く、先ほどまで雨が降っていたかのように湿気が充満して

いた。道のほとりにはミズヒキソウが可憐に咲いていた。

    

登山口にはこんな標識と地図があった。

    

人工林の手前には檜の苗を栽培していた。右の写真は牧場だろうか広い草原が広がっていた。

    

花芒が風に揺れていた。そしてマルバハギも咲いていた。

    

ゲンノショウコには赤花と白花がある。

    

これはイタドリの花と実だ。

    

左がオミナエシ(女郎花)の花と右はヤマシロギクの花。

 登山家のMさんは、みんなにコーヒーを飲ませたいと言ってペットボトルに山水を汲んでいた。雨後の小さな

流れが至るところに出来ていた。この辺から急な坂道になってきた。そして足下はかなりぬかるんでいた。細い

山道だった。足を広げて十分に踏ん張ることが出来なかった。何となく蒸し暑い。そんな悪条件の中をぬかるみ

に足を取られないように注意しながら登っていった。

       

左はチカラシバの穂先、右は狭い急な坂道を一列になって登る仲間達。 

    

ツリフネソウの群落とアップの写真。

    

山ホトトギスの花とヤマシロギクの花のアップ。

 どこまで行っても平坦なところがない急な坂道ばかりだった。私はすでに大量の汗をかいていた。そして、水物

を詰め込んだ背中のリュックが肩に食い込んで重かった。この頃からデジカメで花を写しながら登るという余裕

がなくなってきた。そして、今まで経験したことのないようないやな気分に襲われていた。このままでは倒れて

しまいそうだった。心臓は激しく動悸を打っていた。山頂まではまだ遠かった。一休みしてスポーツドリンクを

飲んだ。この甘さがいやでたくさんは飲めなかった。今はただの水かお茶が無性に欲しかった。それでも水分

補給をしたからか幾分楽になった。また、歩き始めた。おそらく急激な脱水症状になりかけていたのではない

だろうか。

 道は杉林からカラマツ林へと変化しながら続いていた。登山口付近からたくさんのヤマグリが落ちていた。

それらの多くは中身がなく空であった。どうやら山に住む動物たちが食べ散らかした痕のようだった。誰かが

猿ではないかと話していた。器用に空だけを残して食べていた。猿かも知れない。

 先頭からかなり遅れてやっと雌山の山頂に着いた。ここは山頂と言うより雄山への登山口と言った方が良い

ような場所だった。ここからはアップダウンのある山道が続いていた。しかし、先ほどのような急な坂道では

なかった。家内が見るに見かねてリュックの中の飲み物を引き取ってくれた。リュックが急に軽くなった。途中

からはリーダーのKさんが持ってくれた。みんなの親切がうれしかった。

    

雌山の山頂、とは言いながら雄山への登山口に過ぎない。

    

雌山山頂付近での写真とホソバノヤマハハコの花。

 こうして雑木林や杉、檜の林と抜けてやっと雄山の山頂にたどり着いた。山頂は広く開けていた。しかし、雲が

かかっていて周辺は見えなかった。かなり強い風が吹いていた。草原にシートを敷いて思い思いに弁当を

開いた。山水を汲んで一足先に登ってきたMさんはコンロに火を付けてお湯を沸かしていた。また、リーダーの

Kさんはリュックの会恒例のみそ汁作り始めていた。飲み物が並び、お弁当のおかずや焼き鳥などが並んだ。

登山の後の何よりも楽しいひとときであった。今回は総勢20人だった。かなり広い山頂だったが、みんなが

腰を下ろすと狭く感じられた。

    

雄山山頂にて。山頂には枯れた大木が黒いシルエットのように立っていた。

山頂にはヨツバヒヨドリの群落があった。

    

山頂からの景色は中国山地の山また山の連続だった。ここは鳥取県との県境でもある。

 山頂からは視界を遮るようなものは何もなく360度の展望だった。しばらくすると雲が切れ周辺が見え始めた。

周辺はこの山より低い山が幾重にも連なっていた。その内、薄日が差し始めた。山頂は急に明るくなった。

よく見ると秋の花がたくさん咲いていた。しばらくして、また、雲が覆い始め暗くなってきた。こんなことの繰り返し

だった。こうして強風の中とは言え、楽しい昼食は終わった。汗が十分乾き切っていない背中が冷たかった。

 体が冷えて来ない内に山を下りることにした。私は腹一杯になったら急に元気が出てきた。水分の補給も

十分だったようだ。帰り道は意外に楽だった。一番困ったのは雌山からのぬかるんだ急な坂道だった。ステッキ

を頼りに一歩一歩慎重に山を降りた。途中、何度も足を滑らせて転んだ人もいたようだった。

やっと平坦な道に降りてきて足取りも軽くなった。

 みんな登山靴もズボンの裾も真っ黒だった。ストレッチ体操をして車へ乗り込んだ。帰りは千屋温泉に入り、

千屋牛の焼き肉を食べ、体も気分もリフレッシュして帰途に着いた。ご苦労様でした。運転をしてくれたMさん

ありがとう。ほんとうに楽しい登山でした。

    

雄山雌山への途中休憩した絹掛の滝と近くに群咲いていた彼岸花。

                                                      2004年10月3日掲載

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