2000年10月6日(金)〜7日旅行(土)

「岩を打つ水の流れや秋の声」  勝利

 四万十川は日本最後の清流と言われている。清流と言われるものは決して四万十川だけでは

ないと思うが、これだけの大河であって清流というものが少ないからかも知れない。

四万十川はそれほど水量が豊かでかつ清流であった。

四万十川にかかる有名な沈下橋の一つ

(増水の時には水の中に沈んでしまう)

 秋の初め、紅葉はまだこれからだという日であったが、私達は両備バスが企画した大洲、滑床、

四万十川の川下りツアーに参加した。一緒に旅をしたのは毎年グループで旅行を楽しんでいる

している仲の良いメンバー5人であった。観光バスはほぼ満席であった。

しまなみ海道の最後の橋「来島大橋」

 今回の旅は一泊二日、第一日目はしまなみ海道を通って大洲に向かった。大洲は古い城下町である。

町並みは戦災に遭ったことがないらしく、古い家並みが軒を連ねている。落ち着いた雰囲気の町である。

町の中を大きな川が流れている。肱川である。肱川にはすでに漁期を終えた鵜飼い船や、屋形船が

河原に列を作って繋がれていた。

大洲「肱川」の河原に繋がれた鵜飼い船と屋形船

 町の大半は御影石によって路面舗装がされており、いかにも城下町らしい雰囲気を醸し出している。

「おはなはん通り」を歩いてみた。ここは両サイド古い蔵屋敷が建っており、白壁が落ちかけたその姿は

倉敷とは異なった感じで、それはそれで風情があって良かった。

おはなはん通りの白壁の土蔵

「白壁の崩れ寂しく秋深し」  勝利

 観光のシンボルとも言える「おおず赤煉瓦館」には小さな中庭があり、ここで記念写真を写した。

赤煉瓦館の前には車屋(人力車)の看板が下がった家が建っており、雨戸を下ろしたままであったが、

赤煉瓦と車屋と言う取り合わせがいかにも古きよき時代を彷彿とさせるような雰囲気であった。

この町並みを見ていると一瞬、明治か大正時代にタイムスリップしたのではないかというような

錯覚さえ覚える。町全体が大変静かでどっしりと落ち着いている。

      

左は「おおず赤煉瓦館」、右は石畳の古い家並み

 臥龍亭に続く道も、その周辺の道もみんな石畳の道であった。臥龍亭は肱川のほとりに建っている。

恐らくは肱川の景観を意識的に取り入れた建築であろう。明治の豪商が贅を尽くして建てた建築である。

わびさびといったものが建物の中にも、周りを囲む庭にもふんだんに取り入れられている。

奥まった庵は川沿いの崖にせり出すように建てられており、窓から眺める眼下の肱川の流れは絶景である。

臥龍亭の庭と庵の一角

 おはなはんはNHKのテレビドラマで有名になった人である。生涯を強くたくましく生きた明治の女性である。

ドラマはここ大洲が舞台だった。おてんば娘のおはなはんが桜の大木に登って周辺を見回していると

いう初めのシーンがとても印象的であった。主演の樫山文枝はこのテレビドラマがきっかけで一躍人気スター

になった人である。以降も舞台で数限りなく、おはなはんを演技し続けている。町の中にもおはなはんに

ちなんだものをたくさん目にすることが出来る。

 余談になるが観光を終えて観光バスに戻る途中、同行した人の口から地震情報を聞いた。岡山県も

大きな揺れを記録したといういう事だった。さっきから電話をしているが繋がらないと言っていた。

バスガイドはここでも揺れたと言っていたが、私達は歩いていたせいか、全く何も感じなかった。

のんきなものである。その後バスで移動中、携帯電話で何度か接続を試みた末、やっと会社に繋がった。

被害はなかったとの事だった。この日は防災訓練の予行演習の日で、地震を想定しての防災訓練であった。

急遽、訓練は中止してみんな場内の点検に走り回っているとの事だった。家にはその後、繋がった。

今まで経験したことのない揺れだったとの事であった。幸い家の方にも被害はないとのことであった。

みんな胸をなで下ろして旅を続けることが出来た。

 大洲を後にしてバスはこの日の宿泊地「滑床渓谷」向かった。滑床渓谷は有名な観光地である。

しかし、倉敷からはあまりにも遠いので同行者の誰も行ったことはなかった。バスは川沿いの道を進む。

かなり山奥のようだ。大型の観光バスはホテル近くにまでは入れないとのこと。従って、ホテルが

手配してくれた車に乗り換えた。そして更に山奥に入っていった。ホテル周辺はきれいに整備されており、

パンフレットで見たよりも、きれいな赤い屋根瓦の山小屋風の建物が建っていた。森の国ホテルだった。

 着いた時間が早かったので、夕食や入浴時間までの間、近くの渓流を散歩してみることにした。

ツアーガイドからは足下が滑りやすいので、散歩にはくれぐれも気を付けてくれとは行っていたのだが、

道は良く整備されていた。道は滑床渓谷沿いに、かなり奥深くまで続いているようだった。

私達は時間を見て、適当なところでUターンをした。山の夕暮れは早く、周辺は既に薄暗くなりつつあった。

 深く切れ込んだ谷から山の方を見上げると、わずかながら紅葉が始まっているようだった。

滑床とはよく言ったもので、川底は大きな岩が長い年月の間に削られて、まるで岩作りの滑り台のように

つるつるになっていた。大きな岩があちらこちらに散在しており、川の流れの激しさを感じさせるような

景色であった。正に、ここは大河「四万十」の源流であった。

滑床の流れは速く急であった

「滑床の紅葉映して水早し」

「源流といふ滑床の水澄みて」

「滑床の夕闇せまり秋の声」  勝利

 入浴後はホテルから少し離れたところにあるロッジでの食事であった。やまめ等の川魚をメインにした

しゃれた料理であった。一応、和食と言うことで注文したのだが、和洋を折衷にしたような料理の仕方には

このホテルなりの工夫が見えて好感が持てるものであった。おいしい料理、お酒、酔いが回り始める頃には

心地よい疲れが眠気を誘いそうになってくる。

 一夜明けると、周辺は妙に騒がしくなっていた。窓の外には思わぬ珍客達が来ていた。近くに住む

山猿達だ。そう言えば部屋には絶対に窓を開けないで下さいと書いてあった。私達が外に出てみると、

親子ずれの猿たちもいる。彼等は餌をねだりに来ているようだ。いっこうに人を恐れる気配はない。

ホテルの中では猿が部屋に入ったと言って大騒ぎをしていた。窓を開け放していた人が居たらしい。

早朝、部屋の外に訪れたお猿さん

 そんな猿騒動の後、散歩に出かけた。昨日歩いた道を更に上流まで歩いてみた。滑床渓谷は自然が

長い年月をかけて作り出した岩の彫刻であった。木々の緑や紅葉と渓谷の作り出すコントラストが

素晴らしい。何枚もシャッターを切った。大きな一枚岩のどこにそんな隙間があるのだろうと思うような

ところからも水が湧きだしていた。そんな小さな水の流れが、やがてまとまった大きな流れとなって

急斜面を流れ下っている。川の深いよどみは澄み切っており、底まで見えている。

よく見ると川魚がたくさん群れ泳いでいる。思わず釣り好きな仲間からは、竿を持ってくれば良かったと

いうつぶやきが漏れた。それ位、魚はたくさんいた。この周辺の山は海抜1000メートル級の山で、

木々も多く、水の枯れることはないようだ。

大きくえぐられ、かつつるつるになった滑床渓谷の河床

 バスの出発は早かった。昨日、観光バスから乗り換えたところまで下りて、ホテルの人達の笑顔に

見送られて滑床を後にした。ここからは宇和島の町を抜け、宇和島の海を右手に見ながら走った。

日本でも伊勢湾に次ぐ真珠の生産地ということで、たくさんの真珠筏が湾内を埋め尽くしていた。

四万十に向かう途中の宇和海の穏やかな湾内

「打連れて杖をたよりの秋遍路」  勝利

途中のトイレ休憩は一カ所だけ。走りに走って、海沿いの道から再び山の中に入り、昼近くになって

やっと四万十川に着いた。途中、お遍路さん姿の人やヒッチハイクかと思わせるような姿の人を

何人も見かけた。みんな霊場巡りをしている人達だとの事だった。

なっとく丸という四万十川の観光屋形船

 四万十川には何艘かの屋形船があった。この屋形船に乗っていったん下流に行き、沈下橋の下をくぐった。

そこからUターンをして、少し上流まで行って戻ってくるというコースだった。屋形船には昼食が付いていた。

弁当を食べながら船頭さんの四万十川の話を聞いた。船頭さんはこの地で生まれ、この地で育った人だった。

土佐訛が何とも心地よい旅情を誘う。船は「なっとく丸」という面白い名前が付いていた。

      

左は四万十川の代表的なながめ、右はなっとく丸の船頭さん

 上流でいったん船を下り休憩をする。子供の頃に戻って足下の石を拾って川に石を投げて楽しんだ。

何段水の上をはねたと言っては喜んでいた。こうして昼食時間を入れ、約一時間余りの楽しい時間を

過ごした後、船着き場に戻ってきた。この上の道沿いには、なっとく丸の経営する小さな土産物店がある。

ここには幻の魚と言われている「アカメ」の剥製が展示されていた。これは小さい方だと言うことだったが、

とても川魚とは思えないような大きな魚で、どう猛そうな顔が印象に残った。

今や幻の魚となってしまった怪魚「アカメ」

 こうして、この観光最後の目的である川下りを楽しんだ後は、ひたすら瀬戸大橋を目指した。与島に

着いた時にはすっかり日が落ちてしまい、瀬戸大橋のライトアップがロマンチックな雰囲気を作り出していた。

与島を後にして、バスは児島に着いた。ここで私は仲間達と別れ、バスを下りた。乗車も一番で、

下車も一番だった。一泊二日の短い旅ではあったが、楽しい旅であった。滑床渓谷や四万十川には

機会があれば、是非、又、行ってみたいと思っている。特に、紅葉の季節や新緑の頃は最高では

ないだろうか。みなさんにも是非お勧めしたい観光スポットである。

                                               2000年12月9日掲載


  今回の旅行の関連リンク

                   愛媛県大洲市

                   宿泊した「森の国ホテル」

                   滑床渓谷のある松野町

                   清流四万十川(四万十川財団)

                   四万十の風(四万十の四季を写真で紹介)

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