「ホタルの里を訪ねて」  由加山系  上峠地区

 ほんの少しだけ時間があったので、久々に家内と二人で散歩に出かけました。行き先は車で10分ほどのところ、

由加の上峠というところです。夏になると、この辺り一帯は「蛍の里」といわれ賑わうところです。

 可憐な光を点滅させて楽しませてくれる蛍も、幼虫の時は成虫からは想像もできないようなグロテスクな体をして

います。そして肉食なのです。蛍の幼虫はカワニナという巻き貝を餌にしています。昔、カワニナはどこの川にも

いました。しかし、何時の頃からか姿を見ることがめっきり少なくなりました。川が洗剤等、生活用水で汚染され

初めてからです。そんなわけで今では汚れていない川にだけカワニナが生き残り、それを餌にして成虫になった

蛍が飛び交っているのです。

  

整備された小さな水路には右の写真のようなカワニナがいっぱい住んでいる

 ここ児島の上峠地区は四方を山に囲まれた谷あいの小さな集落です。大小のため池から水を引き、階段状に

なった棚田を作っています。蛍の幼虫やカワニナが住んでいる小さな水路は、これら棚田に水を引くためのもの

です。何年か前に倉敷市が「蛍の里」として整備をしました。細い水路は石垣で整備され、水際には水生の植物

が植えられています。また川の畔には細い道があり、その季節になったら蛍を見ながら散歩できるようになって

います。

    

山と山に挟まれた小さな集落、上峠地区、蛍の里として整備はされているが、荒れた田んぼも多く過疎地でもあるようだ

小さな流れに沿って道がある。蛍の里の説明が書かれた案内板が立っている

 私達が訪れたのは10月の末でした。従って、夏の夜の賑わいはなく田圃には刈り取られた稲が干してありま

した。今では珍しくなった風景です。畑の中で中年の女性が野菜の手入れをしておられました。話しかけてみると

烏骨鶏の餌にする菜っぱを取りに来たのだと話しておられました。たくさんあるから持って帰りなさいと勧められ、

白菜や春菊などを抱えきれないほどたくさん貰いました。聞けばご主人が亡くなられて一人では田圃も作れない

ので畑にしたのだと言っておられました。そう言えば周辺にもたくさん放置されたままの田圃がありました。

    

今は珍しくなった収穫が終わった稲を干している稲架(はざ)、あちこちの田んぼに見られる

 やがて水路は途切れ少し広い道に出ました。農家の庭先や畑には柿がたわわに実っています。その柿を狙って

カラスが集団で飛び回っています。途中、柿を採っている夫婦に出会いました。カラスに取られそうなので大急ぎで

取っているのだとのことでした。熟し柿です。庭先には椎茸が干してあり、畑に捨てられたオガクズのような固まり

からは小さな椎茸が芽を出していました。尋ねてみますと椎茸を栽培しているとの事でした。見て行きなさいと気軽

に勧められビニールハウスに入ると湿気と温度でむっとします。

    

農家の手前に広がる田んぼも放置されセイタカアワダチソウが茂っている、小さな道沿いには柿が重たげに枝を垂れている

 ハウスの中には棚がたくさん並べられ、オガクズを固めた菌床がたくさん置いてありました。ここではドングリの

木に菌を植える方法ではなく、オガクズを固めたものの中に菌が混ぜ込まれているようです。これだと、ほだ木の

ように重くもなく移動も楽で安定した収穫が得られるようです。椎茸栽培もここまで進歩したのかと感心したもので

した。今日収穫したばかりだとの事でほとんどつみ取られた後でした。それでも、いくつかは大きくなり始めたもの

もありました。私達は乾燥した椎茸と生椎茸を分けて貰いました。おまけに収穫したばかりの熟し柿も貰いました。

    

椎茸栽培のハウス内、右の写真のような菌床に次々と椎茸が顔を出す

    

強者どもが夢の後、夏には樹液にカブトムシやクワガタが群がった事だろう

道は池のほとりで分かれている、左は由加の桜園地、右は木見の方へ

 丁重にお礼を言って、その家から更に奥まで歩きました。道縁の木にはアケビがたくさん重たげに垂れ下がって

います。収穫が終わった栗の木もあります。ドングリの木の股には夏の間カブトムシが寄ってきたと思われるような

跡も残っていました。ここまで来ると自然は本当に豊かです。

 この集落も高齢化のためか放置された田圃や畑がたくさんあります。従って、せっかく整備された散歩道も周辺は

荒れ果ててススキや葛が鬱そうと茂っています。このまま放置すればそのうち道もこれらに覆い隠されてしまいそう

です。水路にはたくさんのカワニナがいます。蛍達の繁殖には困らないような餌の豊富さです。

 私達の家の近くに、こんな良い散歩道があるとは思いがけない発見でした。今度は弁当でも持って、もっと奥まで

歩いてみようと考えています。

あちらこちらで見かけた草花

  

左は不明、中の写真は溝ソバの花、右はシオン

  

左はツリガネニンジン、中と右の花は不明

  

左はアザミ、中は不明、右はカタバミ

  

このような実りも豊かだ

  

左は生け花等に使われるナス科の植物のようだが何だろう、赤い実はカラスウリ、右は山柿

  

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