世界の右傾化に思う

 ヨーロッパ各国の右翼政党の進出には、目を見張るようなものがあります。オーストリアの選挙で右翼政党が政権の座に

着いた時には、ヨーロッパ各国から冷ややかな嘲笑さえ聞こえてくるような感じでした。

 しかし、政治好きのフランスにおいてさえ右翼が政権を伺うような勢いを見せ始めて以来、右翼を見る目が変わってきま

した。シラク嫌いで左翼政党支持派のフランス人達もこぞってシラクに投票し、かろうじて民主主義国家の体面だけは保った

ようです。

 その後もオランダの選挙で右翼政党が大躍進をしましたし、ドイツでもロシアでもネオナチと言われる集団が活動を活発化

させていると聞いています。ネオナチなるものの存在はかなり以前から一部若者の風潮として何度もマスコミなどにも取り

上げられていました。しかし、多くは若者特有のファッション的なスタイルであったり、はやり病のように言われてきました。

 しかし、これらが手を結んで政権を伺うようになってくると、単なる若者のはやり病のようには言ってはおられません。

スキンヘッドにナチスの鍵十字、独特のスタイルの敬礼、何故か若者を中心にこのスタイルが受け入れられているようです。

 その背景には色んな問題が複雑に絡んでいるのでしょうが、原因の一つにはヨーロッパの今日的な事情もあるようです。

ヨーロッパは中近東やアフリカからも近く、こういった開発途上国から大勢の労働者が流れ込んで来ています。全体の

景気が良いときには問題にならなかった事でも、悪くなると雇用不安が出てきます。自分達の仕事が外国人に奪われたと

思うのも無理からぬことかも知れません。

 だからといってロシア国内で頻発しているように、有色人種の排斥だとか傷害や殺人には絶対に賛成できません。

諸問題を解決するためには政策的な取り組みが必要です。彼らをして国民の不満票を投じさせないためには、雇用不安

解消や外国人労働者の犯罪に対する取り締まり強化など、政府の真剣な取り組みが必要なのではないでしょうか。

 右傾化の傾向はヨーロッパのように顕著な形で現れなくても、私達の身近に足音もなく忍び寄っています。歴代の政府が

出せなかったような危険な法案が次から次へと出されています。小泉内閣は行政改革を旗印にしていたはずなのですが、

いつの間にか有事三法案や個人情報保護法案などと言った憲法にも抵触するような法案を国会審議にかけてきました。

正に戦前の軍国主義一歩手前のような感すらあります。つい最近では閣僚が核武装すら肯定するような発言をしています。

 アメリカではブッシュはテロ対策と称して軍事力を世界各国に展開し更に広げようとしています。いまアメリカの議会を

中心として、ブッシュは昨年のテロをどこまで知っていたのかが問題になっています。もし確証を握っていて、それを

許したとしたらとんでもない話です。太平洋戦争前、アメリカの世論調査では88パーセントもの国民が海外派兵に反対

でした。その意識を変えるために日本軍の真珠湾攻撃を知っていて阻止しなかったと言われています。

 ブッシュが今回のテロを知っていてそれを許したとしたら真珠湾攻撃の時と手口がそっくりです。こんな猿芝居めいた

事を平気で演じる事の出来る政府なのです。ブッシュは非常にファッショ的で好戦的な人物のように見えます。もし、今回

のテロがやらせだとしたら、アフガンへの出兵や虎視眈々とその機を窺っているイランやイラク攻撃の目的は何なの

でしょうか。武器を握った戦争好きが西部劇を演じるように勝手に武器を振り回しているように思えてならないのです。

 今や世界は抑制の利かない危険な時代に突入したような気がしてなりません。これが私の杞憂に過ぎないことを

ただ祈るばかりです。

                                                  2002年6月8日掲載

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