釣り船の思い出

 レジャーボートを持った友人がいます。彼が釣り船としてレジャーボートを買ったのは、ずいぶん昔の

事です。先日も乗せて貰いましたが、かなり痛んでいました。屋外に置いたままで雨風にさらされている

のですから無理もありません。

 この舟には色んな思い出があります。そんな思い出を書いてみます。この舟は、本来がレジャーボート

ですから喫水が浅く、大きな波が来ると上下だけでなく左右にも大きく揺れます。また、魚を釣る時には碇を

降ろして釣ります。そのままですと流されてしまうからです。一般に漁師が持っている遊漁船は、安定良く

するために喫水が深くなっています。また、魚を釣る時には潮の流れの方向に舳先を向けてエンジンを

かけたままにしています。こうしておかないと船が流されてポイントが変わり、また、仕掛けが海底に引っか

かってしまうからです。

 しかし、レジャーボートはガソリンエンジンですから燃料の消耗が激しいのでエンジンをかけたままという

わけにはいきません。そんなわけで釣り場所に着いたらエンジンを停止し碇を降ろすのです。水中にある

とはいえ碇はかなり重い物です。その上、深い海底から引き上げるのですからとてもきつい作業です。また、

船は流されていますからいざ引き上げようと思うと、碇を沈めた場所まで移動しなければなりません。こんな

作業を不安定な船の上で繰り返し行うわけですから大変な重労働なのです。

 さて、釣りとはいいながら素人の釣りですから、毎回、釣れるわけではありません。釣れない時には、

わかめを採り、島に船を着けてワラビ狩りをした事もありました。また、潮が引くのを待って潮干狩りをした

こともありました。

 ある時は、餌であるイカナゴを集魚灯で集めて取ろうと思ったのですが、暗くなって集魚灯を点灯しても

まったく寄ってきませんでした。おまけに他の餌を港に置き忘れて来たのです。仕方なく近くの島(六口島)

に舟を着け、民宿に頼んで冷凍のイカナゴを分けて貰いました。しかし、生き餌では釣れる魚も冷凍の

イカナゴではまったく釣れませんでした。

 夜も更けてきて港にも戻れなくなり、近くの漁港に船を係留し船倉で仮眠をとることにしました。初夏とは

いえ夜は冷えます。船倉にあった新聞紙を体に巻き付け、男三人が川の字になって体を丸めて寝ました。

小さなレジャーボートですが舳先にある船倉は意外にも広く、少し窮屈でしたが三人が何とか横になることが

出来ました。なつかし思い出となりました。

                                                2004年6月13日掲載

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