石原東京都知事が大手銀行に対し独自の課税をするとか、ディーゼルエンジン車から排出される排気ガス規制に

乗り出すとか、まだ緒についたばかりながら、次々と新しい政策を打ち出している。

この人の得意とするパフォーマンスだけかと思っていたら、議会に於いては満場一致で可決したと報じられている。

かつて美濃部東京都知事を初めとして各地に多くの革新知事や市長が誕生した時代があった。

まだ自民党が単独で政権を維持していた頃の事だ。せっかく誕生した革新都政や県政も中央省庁やそれぞれの地方

議会が圧倒的に保守で固められており、ほとんど何も出来ず、中央に対し革新の旗を振っただけで終わってしまった。

革新とか地方の時代と言うものが、まだ時期尚早であったのだろう。

何度となく中央省庁の壁を破ろうとするのだが、その都度ごり押しとも思えるような中央の圧力に屈してきたのが、

今までの日本に於ける地方自治の実体であった。その原因は財政が常に絡んでいたからに他ならない。

地方自治とは名ばかりで、金は常に中央に握られている。

そして、俺の言うことを聞かないやつには金はやらないぞ式のやり方で、中央の考えを押しつけてきた。

地方自治体に於ける首長の実績は、目に見えるものの方がわかりやすいから、そのための金が必要となってくる。

勢い下げたくもない頭を下げて、中央に頼み込んでお金を出してもらうようになる。

あるいは中央に太いパイプのあるものが有利となる。

中央も自分の子飼いの知事にはあつく振る舞い、自分に楯突くものには冷たくあしらってきた。

徳川時代の譜代大名と外様大名の違いのようなものである。

私は本当の意味での地方自治でなければ、私たち自身の生活は良くならないと思っている。

私たちの身近にあるのは国ではなく、県であり市町村なのである。

最近になって急速に、東京都を初めとする地方自治体に変化が現れている。

高知県では全国に広く呼びかけて、自分たちの県政を良くしてくれる人を自分たちの手で作り上げてきた。

橋本知事である。とかく噂になりやすい人だが、それなりに実績も上げ、常に何かをやろうと努力をしている。

一つには橋本さん自身のものの考え方もあるのだろうが、やはり県内の人に限定せず、広く人材を求めた高知県民

の先見性に負うところが大きいのではないだろうか。

先日、和歌山県知事は原子力発電所の建設を事実上断念した。原子力の危険性は先の東海村の事故を見ても

明らかなように、一度大きなトラブルが発生すると収拾がつかなくなってしまう。

北欧諸国では原子力発電をやめようと真剣に考え始めている。

今何をなすべきか、それは責任ある立場に立つもののもっとも必要とされる判断業務である。責任あるものの仕事は

これに尽きると言っても過言ではない。その決断を下すにはそれなりの考え方と信念が必要だろう。

私は和歌山県知事は大きな決断をされたと評価している。

吉野川河口堰の住民投票は劇的な反対票で、事実上白紙撤回せざるを得ないような状態となった。

住民の勝利である。

国は必要のないものまで作って大型投資を行ってきた。それに真っ向から反対し、住民の意思を通したのである。

この結果に基づいて市長も住民の意思を尊重すると、今までの考え方を撤回する発言をしている。

今、地方の時代が始まろうとしている。政府は中央省庁を縮小し小さな政府をと言っているのであるから、本当に

中央を小さくして、地方に権限も金も渡して貰いたい。中央が全ての機能を握るというような、中央集権的な考えは

改めるべきだ。

中央が仮になくても、地方自治さえしっかりしていれば、住民の生活はいささかも支障を来すことはない。

飛躍しすぎかもしれないが、地方を強化して連邦政府にしても良いのではないだろうか。

大阪に太田知事が誕生した。太田さんは岡山県で副知事として勤めた経験もある人だ。地方自治のなんたるかも

十分熟知しているに違いない。今後に期待したい。

そして我が岡山県の石井知事も地道に良くやっておられる。前知事が残した大きな借金の中で、財政を立て直すべく

日々がんばっておられるようだ。青空知事室といって県内を巡回して地域住民の意見を聞いて歩いておられる。

これが一部の県民や選ばれたものだけの意見の場になってしまわないように、広く意見を聞いて貰いたい。

今、地方から新しい時代が始まろうとしている。今や中央政府や政治は末期的症状だと言わざるを得ない。

ましてや先の越智発言に至っては、本末転倒も甚だしい。

国が財政難に直面している原因の多くは、金融建て直しのために莫大な金をつぎ込んだからだ。

だからこそ厳しく行政指導をして、ずさんな経営体質の金融機関を監視しなくてはならない。

にもかかわらず、事もあろうに何が行きすぎがあったら言って来て下さいだ。

いったい、どちらを向いて政治をしているのだ言いたくなってくる。

これは、はからずも本音が出たと言うべきであって、この立場の人たちは国民の代表であることを完全に忘れてしまっている。

先の橋本首相はロッキード事件の被告人であった佐藤さんを大臣に選らんだ事で、その責任をとって辞めざるを得なかった。

しかし、その責任よりは今回の越智発言に絡む問題の方がはるかに大きい。小渕さんはすぐにでも総理大臣を

辞めなければならないほどの重大時だと私は思っている。

このように中央に巣くう問題の根は深いわけで、このまま進めば私たちの生活はどうなっていくのか全く検討がつかない。

そんな不安と危惧を抱く昨今である。一日も早く地方から改革の根をしっかりと下ろしていかなければ、国民の

生活は守れない。                                   2000年4月25日掲載

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