歌伝説「ちあきなおみの世界」〜NHK

 あの「ちあきなおみ」さんが私達の前から姿を消してもう十三年が過ぎたようです。本当に月日の経

つのは早いものです。それにも関わらず、今もなお「ちあきなおみ」に対するアンコールが鳴りやまな

いのは何故でしょうか。

 そんなファンの思いをNHKが代表して「ちあき」さんにアンコールしてくれました。番組の終わり近く

幾つものライトが一斉に点灯し舞台を照らし出しました。そこには歌手のいないマイクロホンだけが

立っていました。客席からはアンコールの拍手が鳴り続けています。実はその拍手、NHKだけのもの

でなく私のような熱烈な「ちあきなおみ」ファンの心なのです。

 「ちあきなおみ」さんと言えば思い出すのは、太い眉毛と大きくカールした長いまつげ、そして鼻の

右側の大きな「ほくろ」です。グラマラスな体に長い豊かな髪の毛、体全体に女の色香を強く感じさせ

る女性でした。そして何よりも彼女の魅力はあの素晴らしい歌唱力でした。

 虚ろにも見える彼女の目は、彼女自身が歌の中の人物になりきっている時であり、私達自身もい

つの間にか彼女の歌の世界に引き込まれてしまいました。恐らく「ちあきなおみ」自身が歌の中の人

物になりきっていたのではないでしょうか。それが彼女の歌唱力であり、多くのファンを今も惹きつけ

てやまない彼女の魅力なのではないでしょうか。

 そして、歌い終わったとき、ふと現実に戻ってはにかむような微笑を見せ舞台から去ってゆくのです。

私が一番好きな歌と言えば歌手をやめる少し前に歌ってヒットした「紅とんぼ」という歌です。♪♪今

日でおしまい 店じまい 五年ありがとう 楽しかったわ  いろいろお世話になりました・・・   新宿

駅裏 紅とんぼ  想いだしてね 時々は♪♪この歌は新宿駅裏で「紅とんぼ」という小さな飲み屋を

していた女将が、店をたたんで故郷へ帰って行く情景を、「ちあきなおみ」さんが切々と歌ったものです。

 「ちあきなおみ」の歌は音符はついていても語りの世界です。「ちあき」さんは、この歌とともに私達

の前から忽然と消えてしまいました。この歌を歌っていた「ちあきなおみ」さんの事を思い出す度に何

かしら胸がジンとなり瞼が熱くなるのです。たとえ歌だけの世界にしても「ちあきなおみ」が歌えばそ

れだけで小さなドラマが生まれるのです。

 未だ新聞には大きな見出しで「ちあき」さんのCDが売り出されています。レンタルショップの歌謡曲

のコーナーにも「ちあき」さんのCDはちゃんと置いてあります。彼女が姿を消して十数年を経てもなお

ファンの心を捕らえて離さない「ちあき」さん、NHKならずとも心からもう一度舞台に登場してくれるこ

とを願ってアンコールの拍手を送り続けています。

紅とんぼ

吉田 旺 作詞
船村 徹 作曲

空にしてって 酒も肴も
今日でお終い 店じまい
五年ありがとう 楽しかったわ
いろいろお世話になりました
しんみりしないでよ ケンさん
新宿駅裏 紅とんぼ
思い出してね 時々は

いいのいいから ツケは帳消し
貢ぐ相手も いないもの
だけどみなさん 飽きもしないで
よくよく通ってくれました
歌ってよ騒いでよ しんちゃん
新宿駅裏 紅とんぼ
思い出してね 時々は

だから本当よ 国へ帰るの
だれももらっちゃくれないし
みんなありがとう うれしかったわ
あふれてきちゃった思い出が
笑ってよ泣かないで チーちゃん
新宿駅裏 紅とんぼ
思い出してね 時々は

                                     2006年3月28日掲載

追記

 思いがけないことに昨日、岡山の地下街で偶然にちあきなおみさんの「紅とんぼ」の歌と出会

いました。それは岡山駅改札口近くの紅提灯の店でした。店の前の看板には「どて焼」とあり、

添え書きには立呑処、串あげとありました。確か、ここにこんな店はなかったはずなので最近

出来たのでしょうか。私はしばらくその場所に立ってこの歌を聞いていました。時間が早かった

せいか店の中はまばらでした。確か大阪の梅田駅にもこんな店があったような記憶があります。

むろん、かかっていた歌は「紅とんぼ」だけではなく、「紅とんぼ」が終わると他の歌が流れ始め

ました。偶然とは言いながら何かしら、この歌とより一層因縁が深くなったような気がします。

                                     2006年4月9日追記

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