アフリカの大地溝帯は、今もなお、活発な活動を続け、大陸は大きく東西に引き裂かれて

います。この大地溝帯に、壮大な人類の歴史が刻み込まれています。3月22日付けの

朝日新聞を読まれた方も多いと思いますが、ここに改めて、この発見の意義を見つめ直し

てみたいと思います。

 400万年とも350万年とも言われている人類の進化の歴史には、今なお不明な事が

たくさんあります。進化のミッシングリンクと言われている、猿の仲間から人類の祖先が、

いつ頃、どのようにして枝分かれをしたのか分からないからです。この不明な部分を埋める

のは、地道な発掘調査以外にはありません。今なお、地球の息吹を感じさせるような、大きな

地殻変動が生じているところに、人類の直接の祖先が誕生したというのは実に興味深い事です。

 大きく引き裂かれる大陸が草原を作り、それまで森がすみかであった猿達を、草原に誘い

出したという想像も、非常に現実味があって面白いのですが、事実はどうだったのでしょうか。

タイムトンネルを遡ることが出きるのであれば、その場に行ってみたい思いがします。

 現在、遺伝子レベルで人類の進化の後をたどる試みもなされています。人類はたった一人

の雌を起点にして、進化したとも言われています。果たして事実なのでしょうか。人類の遺伝子

は、霊長類の仲間のチンパンジーやオランウータン等と99パーセント同じだと言われています。

他の1パーセントの違いはいったい、どの時代に、どのように始まったのでしょうか。

 地球誕生以来46億年という、気の遠くなるような時間の中で、幾多の種が生まれ、また消滅

していきました。それら多種多様な生命の頂点に立つものとして人類が誕生しました。このことは

紛れもない事実ですが、人類には他の動物と決定的に異なることがあります。それは自らのこと

を非常に知りたいと思っていることではないでしょうか。

 ある有名な天文学者は、宇宙は人類の歴史と共に、進化していると言っています。人類が観測

手段を何も持たない昔は、宇宙は自分たちの天井を覆う大きな屋根のようなものだと考えていま

した。しかし、望遠鏡が発明され、ガリレオが他の天体を観察し、地球は丸いと言い始めた頃から、

宇宙はそれこそ、天文学的な広がりを見せ始めました。新たなる観測手段が開発されるに従って、

宇宙の彼方は遠くなり始めたのです。この深遠な宇宙を観測していると、宇宙それ自体が、宇宙の

事を考えるような生物を、意図的に作ったのではないかと、半ば哲学めいたことを考えさせられると

言っています。

 そして人類は、宇宙のことのみならず、人間自体の事をも知りたいと考えています。人が自らの

存在の意義を知りたいように、人類全体は、この広い宇宙に於ける人間という種の存在意義と、

自らの誕生のいきさつを次第に説き明かそうとしています。

 あくなき探求心は人間しか持ち得ないものです。この探求心のおかげで、長い間謎だと思われて

いた事の多くが、時代と共に解き明かされてきました。いずれは、人類誕生の謎もきっと解き明か

されるに違いないと思います。

 今や人類は、他の天体から種を持ってきて植え付けられた訳でもなく、ましてや宇宙人等によって

意図的に作られたものでもないことは確かです。数百万年という、いや地球誕生以来46億年とも

言われている気の遠くなるような歳月を経て、今日まで進化してきたことは間違いのない事実では

ないでしょうか。母胎の中では、人間が今日までたどってきた進化の歴史をなぞらえていると言い

ます。受精から人間の形になって、この世に生を受けるまで、わずかに10カ月、その間にめまぐる

しく形は変化します。その変化は正に人類の進化そのものです。

 これからも更なる発見が続き、いつの日か、人類進化の謎が解き明かされる日が来ることを、

心から祈っています。


  

   関連リンク集

  ライフサイエンスのコラム       サイトの一部にミッシング関連の記載

  資源環境観測解析センター     画像集「アフリカ」の中に大地溝帯の写真 

  NHKジュニアスペシャル       NHKの学習教材

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