新庄選手と日本人

 先日、アメリカから帰って日本ハムファイターズに入団した新庄選手がトーク番組に出演していました。

実に明るい選手です。日本ハムファイターズを選んだのは、自分が入団することによって、お客さんを

北海道に呼び寄せる事が出来るからだと話していました。日本人には珍しいタイプの人です。聞く人に

よっては自信過剰ではないかと言う人がいるかも知れません。辛口の評論で知られている元巨人軍の

張本さんは、いつも新庄選手のこき下ろしています。

 確かに、野球選手は実績を上げてこそ価値があるのかも知れません。しかし、お客さんあっての野球

です。いくら選手が素晴らしい、良い試合だと言っても、お客さんが来なければ興行収入はありません。

良いプレーをすることは第一条件だとしても、多くの観客はショーでも見に来るような感じで有名選手を

見ているのです。実力よりスター性の方が先行しているとは言え、新庄選手自身が話しているように

自分を見に来てくれるお客さんが増え、それが球団の興行収入に繋がるのであれば、それはそれで

良いのではないでしょうか。

 また他人は、彼の多弁を減らず口と言っているようですが、確かに、アメリカ球界に乗り込む前から

多弁でした。自分を精一杯アピールしていました。アメリカというビジネス社会に自分を売り込むためには

必要だったのではないでしょうか。

 彼と異なり、日本人はとかく自己アピールがヘタだと言われています。そのため、国際的な場では

ずいぶん損をしています。特に国の外交面では大きな問題になっています。「下手な嘘でも百回言えば

本物になる」と言います。自分の意図する方向に人を誘導するためには、多少誇張であっても言い過ぎ

だということはありません。

 日本人社会では「以心伝心」と良く言われます。言わなくても、多くを語らなくても相手が察してくれると

言うものです。確かに日本人だけの場では、そのようなこともあるかも知れません。しかし、多くの外国人

がいるところでは、まったく通用しないのではないでしょうか。

 外国人は精一杯、ジェスチャーを交えながら自分の思いを伝えようと努力しています。代表的な政治家は、

フランスのシラク大統領だと思います。フランス語が分からないものにも、彼が一生懸命自分の考えを相手

に伝えようとしていることが良く分かります。言葉は、自分の考えていることを相手に伝える手段ですから

、無口が良いなどと言うのは間違いです。

 従って、新庄選手の多弁を批判するのはナンセンスです。もっと、他の選手も自分をアピールすれば良い

のです。日本からアメリカに渡って活躍している多くの野球選手は、ニヒルで口数の少ない選手が多いよう

です。その中で、新庄選手の明るさと多弁さが光っていました。

 私は特別に野球ファンではありませんが、彼に非常に好感を持っています。こんな選手が野球界ばかり

でなく、他の分野にもたくさん出てくることが、日本という無表情な国を、もっと理解して貰える事になるのでは

ないでしょうか。日本人、大いに語れ多弁になれと叫びたい気持です。

                                          2004年4月19日掲載

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