緊急特報「戦争反対」

 

 満を持したかのように日本時間の3月20日、アメリカ軍によるイラク攻撃が始まりました。国際世論の大多数が

戦争反対の意思表示をしている中での暴挙でした。今回のイラク攻撃に対して賛成の意思表示をしていたのは

アメリカ、イギリスに加えスペイン等数カ国だけでした。ぎりぎりになって小泉首相が賛成の意思表示をしました。

フランスやイタリア、中国やロシアなどの国々は戦争反対の意思表示をしていました。

 国連の査察団もそれなりの成果を上げていました。イラクも小出しながら国際世論の高まる中で大量破壊兵器と

思われるようなものを差し出し始めていました。一方、イラクのサダム・フセイン大統領は癌に冒されているとも

言われており、その治療にフランスの医師団が当たっているとも言われていました。こんな状況の中で戦争に踏み

切らなければならなかったという理由は何もなかったはずです。

 確かにフセイン大統領は自己の政権の安定を図るために世論を弾圧し、政敵をも暗殺してきたようです。その

手段を問わないやり方にはブッシュ大統領が声高に叫ぶまでもなく許し難いものがあります。しかし、だからと言って

戦争という手段に訴えて良いものでしょうか。その限りにおいてはアメリカのブッシュ大統領も同じ穴の狢(むじな)

だと言えます。ましてや手ぬるいとは言いながらも国連査察という手段があり、その機能を最大限に生かして問題を

解決することこそ、今後の世界平和のあるべき方向ではないでしょうか。この戦争で力あるものが力任せに何でも

出来るという、百年以上も昔の無法者時代に引き戻してしまいました。

 今回の戦争反対運動には大きな特徴があったと思います。かつて日本で戦争反対の先頭に立つと言えば社会党

であり共産党でした。それに総評を中心とする労働組合が参画し、市民団体が参加するというのが一つの図式に

なっていました。しかし、労働組合は連合になり、社会党は社民党となって、かつてのように戦争反対の先頭に立つ

ことは出来なくなりました。長い間、その穴を埋める者がなく、平和運動はなりを潜めていました。それが今は組織も

なく、さりとてその経験も乏しいと思われる一市民が企画し参加するようになりました。これこそ自分の意志から戦争

反対と考えての行動ではないでしょうか。

 そして今回のこれらの動きに対して、こんな人達でさえ、こんな事を考えて織られたのかと驚かされるような場面も

ありました。私が入っている句会の年輩者の方たちが、イラク攻撃の事を話しておられました。その中で自分達が

若い頃、苦労し悲しんだ体験話が出ました。そんな体験話の中での結論は、戦争はどんな理由があろうとも絶対に

してはいけないという事でした。

 今回の戦争に対して小泉首相はアメリカ追随の姿勢を明確にしました。今、私の勤務している水島コンビナートでは

テロを予想しての異常なまでの警戒が呼びかけられています。私達日本人には大量破壊兵器を使ったテロという

経験がありません。従って、どんな手段でテロ攻撃がなされるのか全く無防備に近い状態です。過去、テログループの

見方では、日本という国は常にアメリカ追随の国ではあっても比較的中立的な国だと見られていたようです。しかし

今回、アメリカ支援を明確にしたことから、テロ集団の目標にされても仕方がない国になってしまいました。そんな

危険なリスクを犯してまでも、言い換えれば国民をテロの目標にしてまでも、ブッシュ大統領を支援しなければならない

のでしょうか。

 先日も国会の中継を見ていましたが、その中で民主党の岡田幹事長の質問に対しての小泉首相の答弁は終始一貫、

同じ発言の繰り返しで非常に説得力に欠けるものでした。こんな答弁で国民が納得すると考えているのでしょうか。

確かに北朝鮮問題などアメリカの後押しがなければ解決し難い問題があります。しかし、それとこれは別物ではない

でしょうか。イラクに対してはイラクに対しての対応があるように、北朝鮮に対しては北朝鮮への対応の仕方があります。

この問題に関して言えば、お隣の韓国の方がもっと微妙な立場にあるはずです。それでも日本のような露骨なまでの

アメリカ支援の意志表示はしていません。

 アメリカは一昨年の9.11テロ以来、テロ対策やテロ後の警戒態勢維持やアルカイダ掃討作戦に莫大な国家予算を

使ったと言われています。かつて双子の赤字を抱えていたアメリカでした。国家予算の赤字と貿易による赤字でした。

その後、クリントン政権になって、好景気に支えられた事もあり国家予算の赤字は解消していました。しかし、ここで

一挙に赤字国家になったと言われています。その上、地方自治体も財政破綻を来しているところが多いようです。

従って、ここでイラク攻撃を行えば更に赤字が大きくなり、ドルの暴落、国家の破綻と言うことになりかねません。

 かつてはアメリカの赤字を埋めるように日本がアメリカの債権を買い支えました。しかし、今の日本にそんな力は

ないはずです。戦争をした国、それを支えた国、共に財政破綻を来しかねないような状態です。そして、石油の暴騰、

とどまるところを知らない株安ともなれば、大企業の債務は増えるばかりです。全てが悪い方に向かっています。

 アメリカの国内には国の命運とは関係のない人達が大勢いると言われています。これら超タカ派と言われる人達は

石油の利権や兵器産業と切り離せないような関係があり、戦争をすればするほど儲かるという死の商人達です。こんな

危険な人達がアメリカという巨大な国家を裏から操っていると言われています。アメリカ国民をテロという恐怖であおり

立てておいて巧みに戦争へ駆り立てているのです。アメリカ国民はこの現実に早く目覚めるべきなのです。そして、

日本国民も小泉首相のような考えの浅い人間を早く退陣させるべきなのです。

 戦争は大量の公害を撒き散らかします。使われる莫大な爆薬、それによる大気汚染や水の汚染等です。そして劣化

ウラン弾などと言う放射能を撒き散らかす爆弾も使われています。生物兵器、化学兵器、石油施設の破壊によるCO2

の発生など数え上げれば切りがありません。私達が一生懸命になって公害や化学物質の排出削減をしていても、

すべてが元の黙阿弥です。

 戦争は多くの犠牲者を生み出します。作家の渡辺惇一氏は週刊誌に寄稿してこんな事を書いていました。戦争を

一方的に悪いと非難するのは良くない。戦争によって抑圧されていた人達が解放され救われることもあるのだからと

書いていました。確かに、それも一理はあるでしょう。しかし、あの悲劇的な太平洋戦争を考えると、その戦争によって

多くの兵士や国民が犠牲になりました。数え切れないほどの悲劇を生みました。アメリカ軍によって解放されたと言う

には、あまりにも犠牲が大きかったのではないでしょうか。その悲劇の渦中にあった人達に対して、大変言葉足らずな

表現だとしか言いようがありません。この人達がこの寄稿文を読んだら何と思うでしょうか。やはり、何であろうと戦争は

良くないことなのです。戦争という手段によらず解決の道を探ることこそ、二十一世紀に生きる人間の知恵ではない

でしょうか。

                                                       2003年3月23日掲載


 イラク戦争はあっけなく首都バグダッドが陥落し幕切れになった様です。戦争が早く終結したと言うことは、

それだけ犠牲者が少なくて済んだのですから、まずは歓迎すべき事だと思います。それにしても、あれほど

大騒ぎした大量破壊兵器や化学兵器はどこにあるのでしょうか。本当にあったのでしょうか。大量破壊兵器

の原料とされたウランを購入したという話は真っ赤な嘘だったようです。今回の戦争の背景には、でっち上げ

の情報もたくさんあったようです。

 今後はポストフセインを巡って各国間で政治的な駆け引きが加速されるのではないでしょうか。すでにフランス

やドイツ、ロシアは国連中心の再建策を提案し、アメリカやイギリス主導型の再建策を牽制しています。いずれ

にせよイラク国民の多くは、フセインでなければならないと言うことはなかったのですから、きちんとした政府さえ

出来れば大歓迎なのではないでしょうか。無政府状態となり治安が極度に乱れていると言います。一日も早く

自主的な安定した国作りが行われることを祈るばかりです。

 元々、イラクは産油国であり豊かな資源を有する国です。従って、富を平等に分けるシステムが作られ、疲弊

した国を一日も早く立て直して貰いたいと思っています。経済制裁を受けイラクに入る品物には限度がありま

した。薬もなく多くの子供や病人が治療を受けられず亡くなっていきました。今一番必要なのは、食べ物と水と

医薬品ではないでしょうか。日本政府もいち早く戦後復興に向けての経済援助を打ち出しました。困った時は

お互い様です。みんなで助けてあげたいものです。

 また、今後は産油国としての経済的な交流も活発化するものと思われます。各国間との人的交流の機会が

増えることを願っています。イラクにはチグリス、ユーフラテスという大河が流れています。かつて、この畔には

豊かな文明が開けていました。歴史と伝統のある国です。歴史的遺物も少なくありません。今後も歴史的遺物

の大きな発見があるかも知れません。日本の考古学が持っている探索の知識や経験が役立つのではないで

しょうか。

 観光資源も豊かな国です。あの有名な「ペルシャの市場にて」という交響曲に代表されるようなエキゾチックな

国でもあります。自由に行き来できるようになれば観光で訪れる人も少なくないのではないでしょうか。是非一度

は訪問してみたい国の一つです。



 実は上記のような記事を書いたままアップロードする事を忘れていました。今改めて読み返してみますと、あの

時の安堵感は何だったのだろうと思います。それほど以降のイラン情勢は混沌としています。暫定政府は出来た

とは言え先の見えない状態が続いています。局所的に見る限りに置いては、以前よりは更に悪化しているように

さえ見えます。多くのイラク国民が犠牲になっています。今や、ベトナム戦争と少しも変わらないような状況だと

言っても過言ではありません。まさに、パンドラの箱を開け放したような感すらあります。

 アメリカ政府は最近になってイラクには大量破壊兵器はなかったと言うことを発表しました。何を今更という感じ

です。元々、ありもしなかったものを頑強にあると主張して侵略を開始しました。そのためにイラク国土は荒廃し

多くの国民が犠牲になりました。また、だまされて戦争に動員されたアメリカ兵も傷つき死んでいきました。彼らの

多くは貧困層や職のない若者達でした。そして今もなお無意味な戦争に駆り立てられています。映画「華氏911」

には余すところなく矛盾が指摘されています。

 容易に平和を取り戻すことが出来ないようなイラク情勢ですが、どうか一日も早く平穏な日が訪れる事を願って

います。

                                                 2004年9月27日追記

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