釣り紀行  その5

1999.12.16掲載 

今年のサヨリ

昨年のサヨリは不作の年でした。特に児島周辺はひどかったようです。

周辺がダメな年にでも「いのこ」に行きさえすれば、何匹かは釣れるという条件の良い「いのこ」でさえもダメな年でした。

数の豊富なサヨリも、他の魚と同じように、次第に少なくなって来ているのではないだろうかと懸念をしてました。

しかし、今年は何処とも寄りは良かったようです。

暖冬気味であった今年の冬も、やっと本格的な寒さのやってきた11月23日、勤労感謝の日、会社の同僚4人と

サヨリ釣りに出かけました。

目的地としていた「いのこ」には、すでに先客が上がっているとのことで、やむなく場所を変えることにしました。

私達がもう何年も前、「いのこ」でサヨリを釣り始めた頃は、チヌ釣りや夜釣りのメバル釣りなどの人は多かったのですが、

最近ではサヨリを目的に来る人も多くなり、特に休みの日等には、よほど早く行かないと、場所をとられてしまうような

事も多くなりました。それだけ釣り人口も増えたのでしょうか。

せっかくの4時半集合がふいになってしまいました。代わりの場所は岩黒島が良いと言うことで、岩黒島に向かいましたが、

船頭のアドバイスもあって、予島の向かい側の島、羽佐島に落ち着くことにしました。岩黒島も羽佐島もそして予島も

瀬戸大橋の橋脚の島です。

まだ早朝で真っ暗の中、竿を出し釣りの準備をします。海岸は深く落ち込んだ人工の岸壁です。サヨリが見え始める

まではとメバルを狙うのですが、あたりがさっぱりなく、海岸をうろうろするばかりです。やっと空が白み始めた頃から

急に潮の流れが速くなり潮が満ち始めました。

チャンス到来とばかりに仕掛けをサヨリ用に変えて海面をのぞいてみるのですが、いっこうにサヨリらしき姿は見えません。

撒き餌をしても、時折、一、二匹が見えるだけで、それもほんの瞬間です。良くあることですが、船頭が良いと言っていても

お天気の関係やいろんな条件が重なって、必ずしも、いつも良いとは限らない事も多いのです。場所を変わろうかと

いう話までしていました。そんな時、チヌ釣りに来た人が橋脚の下の辺で、サヨリを見たという事を教えてくれました。

早速情報通り、場所を変わりました。なんと情報通り、そこは激しい流れもなく、穏やかな所で、岸壁からのぞいて

みますと、たくさん寄っています。

早速、釣り糸を垂れるとすぐ浮きが沈み、手応えあります。ぐっと竿を立てると、なんとサンマのような大物がかかっています。

先の細く柔らかい竿なのでサヨリの重さで大きくしなっています。さい先の良い釣りとなりました。しかし、仕掛けが違う

とこうも釣れ方に差があるのかと思うくらい、隣の同僚の方は良く釣れます。いわゆる誘い釣りという方法です。

私は丸いプラスチック浮き、良く釣れる同僚の方はおもりをつけないで紡錘型の小さな浮きがたくさんついた仕掛け、

それだと浮きのわずかな動きが良く分かり、サヨリの食い気を誘うような動きも出来るらしく、面白いように釣れています。

結局昼食時間も惜しんで釣った結果、釣果は80匹余り、満足とは行かないまでも、まあまあの釣りでした。

2時少し前まで釣って迎えの船に乗り帰途につきました。

この日は、あいにくの天気で肌寒く、時折小雨のちらつくような最悪の天気でした。サヨリを釣るときは天気の良い日

の方が良いようです。天気が良い日には、撒き餌に群がってくるサヨリの動きが良くわかります。そして、釣っていても

気持ちが良いです。しかし、そんなに良い天気に巡り会うことばかりはありません。釣りに行った日が最良の時と思わ

ざるを得ません。ましてや私達のように、日曜とか祭日のような時にしかいけない場合は尚更です。


サヨリの食べ方

サヨリは白身の柔らかい肉質でどんな料理にも向いています。

三枚に下ろして刺身

三枚に下ろして空揚げ

三枚に下ろして空揚げ後、マリネに

腹を出してぶつ切りにしたものを澄まし汁に

頭を取り腹を出して塩焼きに、塩焼きにする前に薄塩をして天日干しに等々、多くの料理法があります。

ぶつ切りにしたものを煮立った米の中に入れ蒸し上がったら、蓋を開け、サヨリの骨を抜き、醤油をくわえて

更に蒸すと、おいしい炊き込みご飯になるとか、地方料理らしいですが試したことはありません。


釣り納め

今年の釣り納めとも言うべき釣りに行ってきました。

昨日までの低気圧が北に抜け、新たに張り出した高気圧と共に大陸から、今年初の寒波がやってきました。

朝起きてみると何となくざわざわと山が騒がしく、なま暖かい風が吹いていました。何となく大風が吹きそうな予感が

して、期待に胸を膨らませていただけにがっかりです。

とにかく行ってみよう、それから決めても良い。そう思ってコンビニで弁当を買い、釣具屋で餌を買って渡船場へ。

海辺に来てみますと、やはり谷間にある我が家とは異なり、海は風がきついようです。渡船のおじさんに尋ねると

「大風に陰なし」「ブトウは風下なので、あそこがダメならどこに行ってもダメ」という言葉の後ろ半分だけを自分流に

良いように解釈して、船に乗りました。

乗船したのは4人だけ。みんなそれぞれ行き先は異なるようですが、一様に風を気にして場所を決めかねているようです。

久しぶりに行く場所だけに、こんなところだったという事をすっかり忘れていました。大きな岩は上に登るのにも足がか

りになるようなものは何もなく、やっとの思いで登りました。風当たりは懸念したとおり大変きついようです。

早朝、西風でした。竿に釣り糸を結ぶのも、風がきつくて容易ではありません。やっとの思いで釣り糸を垂らしますが、

水面に何の動きもありません。サヨリがいる時は、海面にも何らかの反応があるものです。何度か撒き餌をしてみま

すが、影も形も見えません。無理をして、やってきた後悔が頭をよぎります。

「待てば海路の日和あり」と腹を決めて、踏ん張ることに。午後二時の迎えまでどう過ごせば良いのだろうか。そんな

事ばかり考えていました。風は時折、竿をもって行かんばかりに強く吹きます。餌を付け替えようにも、針先が手元に

来ません。うっかりしていると服に引っかけてしまい、また針の付け替えです。何度、同じ事を繰り返したでしょうか。

サヨリ釣りをあきらめて、メバル針に付け替えて、探り釣りを試みてみますが、これもダメ。いささかあきらめかけて

いた時、浮きが大きく沈み、サヨリにはない当たりがきました。竿を持ち上げると小さなメバルが竿先で踊っています。

何度か、こんな当たりはあった位で、結局、帰るまでサヨリは全く釣れませんでした。

撒き餌にすら集まってくる様子はなく、時折大きなボラが寄ってくるだけの暗く寒い冬の海でした。

もう、この場所からサヨリは離れてしまったのかも知れません。

私は釣る事をあきらめて、竿をしまい、撒き餌を海に捨てて、吹きさらしの岩の上でじっと海を見つめていました。

瀬戸内海には瀬戸内海らしい冬の景色があるようです。

右手には瀬戸大橋があり、時折、電車がごうごうという音をたてて渡っています。左手には鎌島が見えます。その更

に向こうには王子ヶ岳や大槌島が見えています。正面には小与島があります。その裏手には四国があり、明るく太陽

の光に照らされています。四国は冬晴れのようです。

この島の周辺だけが、厚い雲におおわれているようです。海は潮の流れが速く、大きな渦を巻いて流れています。

海上を走っているのは渡船業者の船だけです。しけた海を嫌ってか漁に出ている舟は一艘も見えません。

海は時折、時雨れ、時雨が去った後、雲間より太陽の光が一瞬漏れる。そんなくり返しです。時折雲間より漏れる

日の光りは大きな光りの帯となって海上を照らします。そして、荒れた海は一瞬、漏れた光を受けて銀色に輝きます。

その光りは神々しいくらい、明るく眩しい光りです。

光りの中で島が黒いシルエットとなり浮かんでいます。とても人間の手では演出できないような、自然が一瞬の時を

とらえて演出する情景です。

まさに自然が海という大きなキャンバスに描いてみせる光りの芸術です。

そんな情景を繰り返し間近に見ながら時のたつのをじっと待っていました。

渡船のおじさんが言っていた「大風に陰なし」と言う言葉の意味がやっと分かりました。

そんな釣果のない冬の釣りでした。

釣りの遠征に行く

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