領土問題を考える

 領土問題は、いつの時代も頭の痛い問題です。つい最近も韓国で「竹島」の切手が発行されたと言って

大騒ぎになりました。韓国内でも領土問題に関しては関心が高いようです。切手はすぐ売り切れたそうです。

 韓国では、竹島の切手を発行するだけでなく、竹島の領有権を主張して30名前後の警備隊員を常駐させ

840名ほどの人が本籍を竹島に置いているそうです。

韓国での竹島切手発行に関して、日本の外務省は大きな外交問題になることを避けて形だけの抗議に

終わりました。

 一方、民主党島根県連副代表の浜口和久さんは、島根県五箇村の竹島に本籍を移すという手続きを

とったそうです。地元、島根県では韓国警備隊常駐や切手発行など、韓国が実効支配をアピールしている

ことに抗議するため、松江市役所を訪れた浜口さんは「地元から竹島の領土権確立運動を盛り上げ、国民

に関心を持ってもらいたい」と語っているそうです。

 今年の二月には、作家の上坂冬子さんが北方領土の国後島に本籍を移していたことが話題になっており、

領土問題に関する国民的議論に一石を投じそうな状況です。

 また、自民党有志議員でつくる「国家基本政策協議会」(森岡正宏会長)は竹島、尖閣諸島、北方領土を

デザインした写真付き切手の発行を日本郵政公社に要請していました。しかし、郵政公社は「外交上問題

がある」として発行を拒否することを決め、総務省に拒否の方針を伝えています。

 竹島と同じように、中国との間では尖閣諸島の問題があります。日本の右翼勢力と中国の過激派が交互

に上陸しては、双方の主張を続けています。先には中国の過激派が尖閣諸島に上陸しようとして、日本の

海上保安庁によって追い返されています。

 領土問題は小さな島だけの問題にとどまりません。領土問題には、二百海里問題も絡んでいるからです。

日本のような小さな島国であってみれば、二百海里を含めると大きな領土となります。ましてや、昨今の

ように、思わぬところから海底資源が発見される事を考えれば、決しておろそかには出来ません。

 領土問題のもっとも大きな問題は、北方四島の問題ではないでしょうか。歯舞諸島、色丹島、国後島、

択捉島は誰が何と言おうと日本固有の領土です。かつて、この島には多くの日本人が住んでいました。

島の中には、日本人の墓地もたくさんあります。北方4島は、第二次世界大戦後の戦後処理で、ソ連

(今はロシア)の領土となってしまいました。

 同じく戦後処理の中で、奄美諸島や沖縄諸島はアメリカの領土になりました。日本は、戦後一貫して

アメリカの友好国でした。その関係から、まず奄美群島が返還され、その後に沖縄が返還されました。

私は、返還前の沖縄に領土返還要求の抗議行動に行った事があります。当時は、今以上に軍事色の

濃い沖縄でした。

(余談になりますが、奄美群島日本返還50周年になり、それを記念して、先日、記念硬貨が発行されました。)

 北方領土の返還要求行動に作家の上坂冬子さんが立ち上がっています。上坂さん自身が述べられて

いるように、上坂さんも、この問題にあまり関心を持たなかったそうです。鈴木宗男前衆議院議員の事件が

きっかけとなり、関心を持つようになったと話しておられます。

 私も右翼等、限られた人達だけが騒いでいるのだという程度の関心しかありませんでした。ましてや返還

要求には、ほとんど関心がありませんでした。島民の方々にとっては先祖の土地であっても、今更、返還して

貰っても、あまり価値がないところだと思っていたからです。

 しかし、上坂さんが述べておられるように、「終戦のどさくさの非人道的行為を謝罪せずに解決を先延ばし

にするロシア政府」と、「相手の顔色をうかがいすぎ、交流と支援で返還を期待する日本政府」、これでは、

返還どころか交渉の進展すらおぼつかない実情です。そして、その事が鈴木議員のように、利権を食い物

にするような人達を作る温床になるのではないでしょうか。

 上坂さんは、もっとも気がかりなのは国民の関心の低さだと言っておられます。この考えを聞いてから、私

自身の考え方も変わりました。日本とロシアが争ってまで返還をさせるべきものではありませんが、日本固有

の領土である事には違いありません。戦後処理という中で、一時、領有化したものであっても、全て、それ

ぞれの国に返還されています。

 サミットの主要国である日本が、未だにアメリカに基地を貸し、領土を占拠されているというのは、実に奇妙

な事だと言わざるを得ません。今や、全国民的な課題として返還要求をしていくべき時ではないでしょうか。

 この記事を書いていた3月25日の朝刊に尖閣諸島の一つ、「魚釣島」に中国の活動家7人が不法上陸した

という記事が第一面に出ていました。海上保安庁はいち早く察知して上陸阻止を行ったようですが、強制上陸

したようです。日本の領土に上陸したのですから、不法入国になります。

 日本政府は中国政府との関係改善(小泉首相の靖国神社参拝の事があって中国政府との関係が悪くなって

いる)のために事を荒立てたくないと言っているようですが、これはどう見ても国際法違反です。声を大にして

抗議すべき事です。そうしないと他の領土問題にも波及してきます。

 自民党議員達のような、切手の発行などという姑息な手段ではなく、堂々と抗議すべき事なのです。また、

国内にも抗議の世論を巻き起こすべき事ではないでしょうか。小泉さんのように靖国神社参拝などという、

実につまらないパフォーマンスをしているから、肝心なこんな時に抗議すら出来ないのです。残念でなりません。

 そう言えば、小泉さんの内閣総理大臣としての靖国神社参拝は違憲だという裁判所の判決が出ました。

それにも関わらず、小泉さんはこれからも靖国神社参拝は続けると言っています。法を守るべき立場の内閣

総理大臣が法を守らないとはどういう事なのでしょうか。

                                                  2004年4月12日掲載


 領土問題に関するやっかいな問題が発生しました。沖縄から遙か南の「沖の鳥島」での事です。この海域

に於いて中国の海洋調査船が頻繁に行き来しているようです。その上、最近になって「沖の鳥島は岩であって

周辺に排他的経済水域(EEZ)の設定は出来ない」と言い始めたのです。

 中国の海洋調査の目的は良く分かりませんが、いずれにせよ国の権益に関わる重要な事です。従って簡単

に中国の主張を認めるわけにはいきません。ましてや海底にはどんな資源が眠っているかも分かりませんし、

広大な漁業資源の損失にもつながります。

 今、この島は水面から高さ約1メートル、直径数メートルの二つの岩礁から出来ています。そして、岩礁の

周辺はコンクリートの保護壁で守られています。

                                               2004年4月30日追記


 今、中国は大きな経済発展の最中にあります。あれだけの大きな国土と人口を要する国ですから経済

発展に伴うエネルギー資源の消費も莫大な量になります。上海周辺では電力が極度に不足して工場さえ

停電を余儀なくされています。中国ではエネルギー資源の開発が急務なのです。

 そんな事から排他的経済水域でも遠慮なく進入し、既に一部では春暁ガス田と称して沖縄の尖閣諸島

沖合で天然ガスの試掘施設の建設が始まっています。今回、川口外相が中国を訪れた際、懸念の意を

表明しています。試掘パイプは日本側の海底まで伸びているのではないかと言われており、ガス田に境界

はありませんから中国側が汲み出せば当然の事ながら埋蔵量は減っていきます。

 中国側外務省は懸念の意には直接答えず、共同開発を提案しています。なし崩し的な態度と言わざるを

得ません。中国に対し強く抗議するとともに、日本側の対応が注目されます。

                                                2004年6月25日追記

排他的経済水域(EEZ)

国連海洋法条約で沿岸国の経済的な主権が及ぶと決められた海域で沿岸から200海里(約370キロ)の

の範囲。沿岸国はEEZ内での天然資源の探査、開発、保存、管理などの主権的権利を有する。但し、沿岸

国の支配下に置かれる領海(12海里 約22キロ)とは区別されるため、他国も航行の自由等の他、科学

目的の調査なら6ヶ月前に申請し、沿岸国の同意を得た上で調査が出来る。沿岸国も原則的に調査を受け

入れるように求められている。

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