パレスチナとイスラエル

 パレスチナ問題は今未曾有の危機にある。アラファト議長は照明のない薄暗い部屋で悲痛な叫び声を上げている。

パレスチナとイスラエルの争いの根は深い。宗教と歴史上の経緯が大きな暗い影を落としている。テロと圧倒的な

軍事力、貧者と金持ちの闘いのように、対照的な両者の果てしない闘いは続いている。

 こんな争いの中でイスラエル側に明らかな変化が現れ始めている。イスラエルの若い兵士の中には兵役を拒否する

ものが現れたからだ。彼らは果てしないこの闘いに本当の正義が見いだせなくなっているようだ。愛国心には結び

つかないパレスチナの民間人を無差別に殺戮していくという事に、大いなる疑問を感じ始めているようだ。一個の血の

通った人間として当然の感情だといえよう。向き合った異なる主義主張のもの、かつ殺さなければ自らもいつ殺られるか

分からないと言う状況の中で、こういった行動がとれるというのは並大抵のことではない。考えようによっては無差別な

殺し合いが嫌悪感や虚無感を生むくらい極限の状態にあるといっても過言ではない。

 クリントン時代にはあれほど和平に積極的だったアメリカ政府もブッシュに変わってからは一変してしまった。半ば

放置状態である。先日、国務長官がイスラエルを訪れ、両者の和平は一挙に進むかに見えた。しかし、パレスチナの

過激派の相次ぐ自爆テロもあって再び泥沼化の一方をたどっている。それどころかアラファト議長を議長府に監禁

状態にして過激派のあぶり出しにかかっている。一体アメリカとイスラエルとの間にどんな話し合いがあったのだろうか。

 憶測は限りなく疑心暗鬼へと変わっていく。もし、こんな密約があったとしたらどうだろうか。アメリカはアフガニスタン

のテロ組織を一掃したら次はフィリッピンやイラクへと向いている。特にイラクのフセインは目の上のたんこぶであり、

今までにも抹殺しようとしても果たし得なかった大きな目標である。しかし、攻撃を仕掛けるだけの材料はない。そこで

考えたのがイスラエルとパレスチナの紛争である。これを激化させることは中東に緊張を呼び、アメリカ軍侵攻の口実

になる。こんなシナリオも考えてみたくなるようなアメリカの態度である。

(これを書いているときにアメリカのパウエル国務長官がイスラエルを訪れるようになった)

 同盟国のイギリスでは国民の半数近くが、これ以上、対テロの戦線を拡大すべきではないと言っている。そのような

厭戦気分が世界的に高まっている中で、いったいアメリカは何をしようと言うのだろうか。これ以上戦線を拡大すると

同情的だった世界の国々の不信感を買うのは間違いない。それどころか第二、第三の同時多発テロを引き起こし

かねない。賢明なアメリカ国民であれば上げてブッシュの暴挙を阻止するべきであるし、国連を始め世界各国が

批判のキャンペーンを張るべきではないだろうか。

 これが私のくだらない憶測であれば良いのだがと思っている。アメリカのブッシュは石油で大儲けをしたエンロンとの

関係が深かったと言われている。アメリカテキサス州には巨大な石油資本がある。ブッシュ一族と石油資本との繋がり

は深い。もし、中東で大きな戦線拡大でもあれば石油は高騰するであろう。一体誰が得をするのだろうか。アメリカ政府が

イラクに戦争を仕掛けたいと思う材料は色々ある。しかし、アフガンから始まった今日のブッシュ政権のテロとの闘いは、

初期の目的から大きくはずれて、まるでベトナム戦争のような泥沼化の様相を呈してきたように思えるのは私ばかりで

あろうか。

 ともあれ今回のイスラエル軍のパレスチナ侵攻で戦争に巻き込まれているのは多くの一般市民である。一日も早く

和平が成立し心安からん日が訪れることを願ってやまない。

                                                   2002年4月9日掲載

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