毎年、多くの果樹に被害を及ぼすアケビコノハ(桃の袋の上からでも果実の汁を吸う)

夜活躍する蛾です。

2000年8月3日夜9:00撮影

 最近では、有機栽培だとか低農薬栽培だとかをうたい文句にした野菜が、盛んに店頭に並ぶ

ようになってきた。消費者が希望しているように、農薬を使わないで栽培できれば、それにこした

事はない。しかし、現実には、なかなか難しいというのが私の実感である。

 ごく少数ではあるが、自然栽培と言って全く農薬を使わないで栽培している方もおられるから、

絶対に不可能だという事はないのだろうが、目の前で害虫や病気に冒されているのを見て、何も

せずに見過ごすことが出来るとしたら、よほど達観した人だといえよう。

 ましてや生産農家ともなると、生活がかかっている。消費者も口では低農薬だとか無農薬が

良いと言いながら、曲がったキュウリよりは真っ直ぐな方を選ぶし、虫食いだらけの野菜よりは、

きれいな野菜の方を買っていく。

 農家にしても決して好んで農薬を使ってはいないだろう。農薬も効果の大きいものは値段も高い。

生産コストの観点から見ると馬鹿にならない金額である。病害虫にはどんどん耐性が出来ていて、

農薬が後追いのような形で開発されている。開発されたばかりの農薬は、開発費がかかっている

から、より価格は一層高い。

 温室の中などで、きつい農薬を使うということは、使う農家にとっても健康被害は大きい。こんな

リスクの大きい農薬を使うと言うことは、決して好ましいことではない。やめたいと思っている人は

少なくないはずだ。

 私の場合は生産農家ではないが、農薬は使っている。但し最低限、次のような事を守っている。

(1)農薬使用は必要最小限にとどめる。

(2)残留性の大きい農薬は使わない。

(3)野菜の連作などを避け、丈夫に作る。(野菜は丈夫であれば病害虫に犯されにくい)

(4)高級な野菜は作らない。(高級な野菜はどうしても病害虫に弱い)

(5)季節に応じた野菜を作る(夏場にキャベツを作るのは大変難しい)

 当たり前の事だが、これが長い間野菜を作ってきての、私なりの農薬使用に対する考え方です。

もちろん、誰にも農薬使用はすすめない。しかし、相談を受ければ、こういう場合はこうしたら少しは

改善されるのではないでしょうかというアドバイスはしている。無農薬栽培や農薬に変わるものも、

本を読んだり人の話を参考にして、いろいろと試みてみたが事はそう簡単ではない。よほど超越した

思想を持っていなければ、人まねでは長続きしない。ましてや、私のように日曜百姓では、使わな

ければどうにもならない限界がある。そんなわけで、今も農薬に頼っている。

 農業の多くは自然に依存している。ほとんど農薬を使わなくても出来の良いときもあれば、今年の

夏のように気温がことのほか高く、早くから害虫の被害が多い年には、どう頑張ってみても収穫には

限界がある。毎年、病害虫との闘いである。真夏の農薬散布はとてもきつい。農家の苦労が偲ばれ

るのである。

                                             2000年8月5日掲載


有機リン系殺虫剤について

 私は果樹や野菜の殺虫剤としてカルホス乳剤を使っています。実はカルホス乳剤も有機リン系殺虫剤

です。先日来、何度か有機リン系殺虫剤の毒性を指摘する記事が新聞に書かれていましたので紹介して

おきます。

 私がカルホス乳剤を使い始めたのは、ある農薬に関して書かれた本を読んでからでした。その本には、

残留毒性が低く、かつ殺虫効果が大きい農薬だと紹介されていました。また、人間の体に入っても短時間

に分解され排出してしまうので問題ないとも書かれていました。

 私も色んな農薬も使ってみましたが、効果が確認できなかったものや、あまりにも匂いがきつすぎて使え

なかったものがたくさんありました。そんな中で、唯一、効果が目に見えて使いやすい農薬だと思って使い

続けてきました。

 カルホス乳剤は、いったん植物に取り込まれ、その植物の汁を吸った虫や葉っぱを食べた虫を殺します。

また、比較的薬効が長く、アブラムシや毛虫、カイガラムシ等に良き効く農薬です。そんな訳で、二十年以上

使い続けています。

 しかし、今回の記事には、殺虫剤やプラスチックの難燃剤など、私達の身の回りで広く使われている有機

リン化合物(リン酸エステル類)が、従来言われているよりも複雑で多様な神経障害を引き起こす恐れが

ある事が、分かってきたと書かれていました。そのメカニズムは体内の様々な酵素の働きを阻害し、主に脳、

神経系の機能を狂わせ、心と体のバイオリズムをおかしくするというものでした。

 書かれていることが事実としたら大きな問題です。家の中で使う殺虫剤は使わなくて済みますが、農薬と

して使っている殺虫剤は使わないという訳にはいきません。使わずに栽培を続けることは至難の業です。

従って、今のところ使用は必要最低限にとどめておこうと考えています。

                                              2004年2月3日追記


アケビコノハ

 上記写真は説明にも書いているようにアケビコノハである。この蛾は夜間活躍する。袋の上から

でも穴をあけて熟した果実の汁を吸う。夏場に熟す桃などの被害が特に大きい。生産農家では夜間

オレンジ色の照明をつけたり、畑全体をネットで覆ったりして被害防止につとめているが、それでも

被害はなくならないようだ。

 果実にとって、この蛾とカメムシ、チョッキリゾウムシの被害がなくなれば、生産量のアップと農家

の負担、ひいては農薬の使用量もかなり削減出来るのではないかと思っている。

長らくこの蛾のことをヨトウガと書いてきましたが、私の間違いでした。改めて訂正しお詫びします。

今回、専門家の方に写真を送り、確認していただきました。

もの作りその1へ戻る

ホームへ戻る