日朝交渉の行方

 ここまで、この問題が大きくなろうとは交渉が終るまで誰が考えていたでしょうか。この文をやっと書き終わったと思って

いたら、今回の日朝交渉が始まりました。それ位、今回の日朝首脳会談は発表されてから会談に入るまでが短期間でした。

 交渉に至る背景には、アメリカのブッシュ政権から、ならずもの国家とか悪の枢軸国等といったレッテルを貼られたことに

端を発しているように思われます。クリントン政権の時、北朝鮮は核やミサイルといったものをちらつかせながら、旨く、

アメリカや韓国、日本等の経済援助を引き出してきました。しかし、ブッシュ政権に代わってからは交渉もなく、武力行使も

あるのではないかという強い危機感が北朝鮮側にあったことは否めません。

 とは言え、機を逃さずに会談に臨んだ小泉首相の決断には拍手を送りたいと思います。結果は生存者より亡くなられた

方のほうが多いという予想もしないような内容でした。これから先、事実関係を明らかにしていくには根気強い交渉が必要

なのではないでしょうか。亡くなられた人の年齢が比較的若いと言うことを考える時、本当に亡くなられているのかどうか

大変疑わしいのも事実です。恐らくは明らかに出来ない大きな理由があるに違いないのです。被害者の方々にとっては、

突然拉致され、行き着いたところは国交もない北朝鮮の地だったのです。自分の運命を呪わずにはおられなかったのでは

ないでしょうか。何を強要され、どんな扱いを受けてこられたのでしょうか。

 今回の結果に対し、ご家族の皆さんの心情を考えるとき、交渉の成果について両手を上げて喜ぶことは出来ません。

しかし、今までは拉致問題などないと否定し続けてきたことからすれば、その事実を認めた訳ですし、工作船についても

認めたのですから、一定程度の成果を上げ得たと評価しても良いのではないでしょうか。

 そして、日本政府のみならず、私達自身も拉致被害者の事やご家族のことに、あまりにも無関心であったことを大いに

反省しなければならないと思います。その点においては、私達も日本政府も同罪だと言うべきではないでしょうか。たった

一握りの人のことだとはいえ、数十年もの間、拉致されて人権を蹂躙されてきたのです。如何に国家とはいえ人権を蹂躙

する権利はないはずです。それも他国の人間の人権を蹂躙してきたのです。強く北朝鮮政府に対し抗議しないでは

おられません。

 今後、拉致問題解決と引き替えに経済援助等、国交回復に向けての具体的な交渉になるのでしょうが、拉致問題だけ

でなく、工作船の問題や覚醒剤持ち込み疑惑等、多くの問題が背景にあります。これらの問題全てを明らかにすることを

前提に進めて行くべきではないでしょうか。

 経済援助もただ金を貸し与えるのではなく、北朝鮮自体が疲弊しきった経済を立て直す自助努力が必要です。今日の

日本の経済状況を考えると北朝鮮の要求するであろう金額は大きな負担です。長く閉ざされた門戸を開放し、自国に

経済振興策を取り入れる一助になるような経済援助であって欲しいものです。また末端の人々の中には、その日の

生活に事欠くような人もたくさんいると聞いています。それらの人々にも恩恵が行き渡るような経済支援でなければ

ならないと思います。

 そして、一日も早く北朝鮮の門戸が開放され、国交正常化の日が来ることを願って止みません。朝鮮半島に真の平和

が訪れる時、アジアの平和は大きく安定の度合いを増すのではないでしょうか。そして、日本の軍事力もアメリカ軍の

沖縄駐留も、うんと規模を縮小出来るようになるのではないでしょうか。そうなれば自衛隊が使っている国防費も縮小

出来るはずですし、国家予算もかなり楽になるのではないでしょうか。同じように韓国でも北朝鮮でも軍事費はうんと

縮小できるはずなのです。

                                                  2002年10月18日掲載

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