長すぎる日本の不況

バブルがはじけて何年になるでしょうか。戦後の日本が、かつて経験したことのない長い低迷です。

ニクソンショックの時も、オイルショックの時も、その後の何度かの円高の時も、何とかやり過ごしてきた日本経済も

身から出た錆とは言いながら、なかなか、抜け出すことは出来ません。

当初私も、いくら悪くても、こう長く続くとは思ってはいませんでした。阪神大震災の被害さえも、経済復興の

起爆剤になるのではくらいに軽く考えていました。(被災者の皆さんには大変失礼な言い方ですが)

しかし、実際は、そんなに生やさしいものではなかったよです。

山一証券の倒産は氷山の一角であり、隠れた部分の方が、遥かに大きく深刻であると言うことが明らかになってきた。

昨今の堺屋長官の慎重な発言も、それを裏付けているようです。その上に、日本と歩調を併せるかのように、

日の出の勢いであったアジアの各国において、それぞれの国の事情は異なるものの、相次いで経済が失速しました。

これも日本経済の立ち直りに大きく影響しました。

アメリカ一辺倒のつけ

一方、アメリカは国内企業の堅調な推移に支えられ、その評価を上回るような株価の上昇で、未曾有の好景気に

沸いています。正にアメリカ経済の一人勝ちです。

考えて見れば、日本経済は、あまりにも安易にアメリカに寄りかかりすぎていたのではないでしょうか。

アメリカという国はどん欲な国で、何でも飲み込んでしまうようなところがあります。国も大きいですが、そこに住んで

いる国民も大変贅沢で、自国の生産を上回る物資を輸入し消費してきました。

それが、日本経済を大きく発展させてきた原動力でもあるのですが。とにかく、アメリカに持って行きさえ

すれば売れる。こんな簡単で、ぼろい商売はない。こんな訳で、戦後の日本がアメリカ経済に大きく依存し、

発展してきたことはいなめません。

しかし、ぼろい商売には必ず落とし穴があります。自国で生産するよりは、買う方が安いために、一時は

自国の生産を衰退させてしまったアメリカも、自国経済の建て直しに躍起となり始めたからです。

様々な法律を駆使して、日本経済を牽制しはじめました。

そして、金本位制を解消し、長く1ドルが360円であった為替を変動相場制に持っていき、日本の円を高くして、

輸入の制限にかかって来ました。

日本からの自動車や電気製品の代わりに、日本に農産物の輸入を迫り、都合が悪くなると円高ドル安に

もっていき、日本に何度も揺さぶりをかけ続けてきました。

日本も又、性懲りもなく、アメリカに対し輸出超過のまま、国内の輸出産業のことごとくが、身を削るようにして、

コストの切り下げで相場の変動に耐えてきました。

アジアとの連携を強く

しかし、物事には必ず限界はあるものです。今、国内の製造業は身の削り代がないくらいリストラにリストラを

重ねてきて、あえぎ苦しんでいます。

多くの中小企業は大企業のしわ寄せをもろに受け、倒産してきました。国内産業は衰退の一途をたどっています。

その上に金融不安が追い打ちをかけています。こんなことで立ち直りが出来るのでしょうか。

ヨーロッパ諸国はいち早く、先を見越して自分たちだけの経済圏を構築しました。共通通貨を持ち、関税をなくし

物流を自由に出来るような準備を着々と進めています。

日本も遅きに失した感はありますが、アジア経済圏とでもいったようなものを作らなければ、今までと同じような

ことの繰り返しになってしまいます。なんと言ってもアジア諸国は私達と文化も考え方も似たような国々です。

古くは中国から、あるいは、朝鮮から多くのことを学んできました。今、立場は逆になっていますが、こんな時に

こそ心から恩返しをするときです。太平洋戦争の時には、多くのアジア諸国に多大の迷惑をかけました。

色んな意味で、つながりの深い国ばかりです。今までアメリカにつぎ込んできた金があれば、どんな支援でも

出来るはずです。きちんとした支援ならば、日本国民だって理解するでしょう。

そういった積み重ねの中で、共同歩調の取れるものから共通基盤を見いだしていくことが急務だと思います。

核の傘も安保も不要

アメリカ、ソ連という冷戦体制がなくなった今、何故、安全保障条約が必要なのでしょうか。本当に核の傘が

なければ生きていけないのでしょうか。確かに先進国の中には自前の核を持っている国もあります。

しかし、第2次世界大戦時の敗戦国であるドイツもイタリアも核は持っていません。核がなければというのは

幻想です。もし、核がなければならないと言うのであれば、そう言うことの背景にあるものを早く解消すべきです。

沖縄県には多くのアメリカ軍基地があります。先進国とは言いながら、いまだに敗戦国の侮辱に甘んじているのは

日本だけです。それもこれも考えてみれば、アメリカの機嫌を損なわないため、経済関係に支障を来さないためでは

なかったのでしょうか。

より良きパートナーとして

私は憲法改正を云々する前に、この戦後の日米関係のいびつなあり方そのものを、考え直してみるべきだと

思います。

私は、決してアメリカ嫌いではありません。しかし、国として考えてみるときに、アメリカという国は、なかなか一筋縄

ではいかない国です。

アメリカ人は陽気で親切です。しかし、個々人でみる場合と、国としてみる場合とでは、全く異なります。

日本もアメリカも、世界をリードする国として、対等に付き合って行くべきではないでしょうか。日本のアメリカ

外交は余りにも卑屈になりすぎているようです。

議員さん達も憲法改正や核武装などと強がりを言わずに、日本は歴史と伝統のある国なのですから、

先輩国として 、堂々とアメリカをリードしてやるような気持ちで、接することが必要なのではないでしょうか。

そして21世紀が武力を背景にして物事を解決するのではなく、平和に話し合いで住み易い地球を作る努力を

するべきだと思います。                              1999.11.12   掲載


補充記事

1999年12月11日追記

先日の朝日新聞の特集に掲載されていたことです。最近、日本の各企業に脱アメリカの動きが出てきたと言うのです。

私はこの項で「脱アメリカのすすめ」を書きました。そんな考えが現実となりつつあるようで、大変うれしく思っています。

かつて日本はイギリスやドイツといったヨーロッパ諸国から多くのものを学び、取り入れてきました。物理的には

大変遠い国々ですが、それ以上に心理的に遠い存在になってしまっていました。

明治以降、文明も文化もヨーロッパから多くのものを学び、取り入れてきました。画家達は競って絵の勉強にフランス

に渡りました。

今改めて、ヨーロッパと経済的な交流を持つと言うことは大変有意義な事です。

特に、ニッサンと業務提携を行ったフランスはヨーロッパの中でも常に独自な路線を歩んできた国であり、思想に

おいても独走的なものを持っている国です。これからは、経済交流だけでなく、ヨーロッパの伝統的な文化を学び、

一方、日本の文化や歴史を紹介していけたら、より一層、親密な関係が出来るのではないかと思います。

何よりも、アメリカ一辺倒のあり方から、一歩抜け出すことが出来れば幸いです。

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