日本文化と技術力

 3月13日(土)岡山のシンフォニーホールでサー・コリン・デービス指揮のロンドン交響楽団の演奏会が

ありました。就実学園100周年を記念してのコンサートでした。シベリウスのヴァイオリン協奏曲ニ短調

作品47でのヴァイオリン奏者は16歳の時(1999年)、バガニーニ国際コンクールで史上最年少かつ

日本人としては初めて優勝した天才ヴァイオリン奏者庄司紗矢香(さやか)さんでした。いずれも超一流

のオーケストラであり演奏家でした。素晴らしい音楽を聞かせて貰いました。

 また、倉敷市では若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクールが開かれています。倉敷市には

倉敷芸術科学大学や作陽音楽大学があり、倉敷音楽祭が開かれています。さながら倉敷は、芸術の街と

化した感があります。

 芸術は平和な時にこそ花開きます。今に伝わっている素晴らしい建築や絵画、彫刻などは、長く平和が

続いた時に作られてきました。もっとも長く平和な時代だったのは徳川時代の三百年間でした。徳川三百年

(江戸時代)には庶民の生活も安定し、実に数多くの芸術が花開きました。ヨーロッパの近代芸術にも影響

を与えたと言われている浮世絵などは、もっとも代表的な芸術の一つです。

 先に上映され、話題になった映画「戦場のピアニスト」のように、戦争は人を殺し芸術を破壊します。今の

日本が平和である事に感謝しながら、この平和がいつまでも続く事を祈っています。そして、今もなお、戦乱

の中にあるイランやアフガニスタンなど、多くの国々に一日でも早く安らかな平和の日が来ることを祈って

います。

 そして今は、芸術を楽しむという余裕ができるほど、日本も豊かになったのだという事を実感しています。

今回の演奏会で、素晴らしいヴァイオリン演奏を聞かせてくれた庄司さんをはじめ、日本から多くの音楽家

が輩出しています。クラッシック音楽では、世界的な指揮者である小澤征爾さんや声楽家など多くのソリス

トの方々が活躍しておられます。また、日本古来の芸術である邦楽の演奏家達も海外で公演し、大きな

評価を得ています。

 スポーツの分野でも一流と言われるスポーツマンがたくさん誕生しています。世界的なスポーツである

サッカー界では、サッカーの本場であるヨーロッパにおいても多くの選手が活躍しています。プロ野球の

本場アメリカでは、松井選手(二人いる)やイチロー選手、投手では野茂選手など、多くの選手が活躍して

います。

 最近急速に、芸術をはじめとする文化交流が、お隣の国、韓国との間で活発になってきました。前の

大統領、金大中さんは戦前の問題は問題として、いつまでも敵対関係であってはいけないと、日本と韓国

の間の文化交流を積極的に進めてきました。

 それまでは、非公式に輸出されていたアニメや漫画本がたくさん取り入れられるようになりました。また、

韓国からは映画などがたくさん入ってくるようになりました。また、歌謡界では、韓国から歌手が来て、日本

の舞台で活躍しています。

 このように日本からと韓国へ、韓国から日本へと、それぞれの国の文化が行き交うようになりました。

また、中国からは女子十二楽房のように、中国古来の民族楽器で編成した楽団が大ヒットをとばすように

なりました。

 日本発のカラオケ文化は今や世界的な広がりを見せています。かつては軍事力で世界に力を誇示して

いましたが、今は文化や芸術を世界に向けて発信しています。素晴らしい事ではありませんか。

 余談になりますが、芸術家やスポーツマンを育てるには莫大な費用が必要だと言われています。戦前、

芸術家と言われる人は、絵を描く人など、ごく限られた人だけでした。とても個人で留学など出来なかった

からです。多くの芸術家やスポーツマンを育てることが出来るようになったということは、それだけ日本が

豊かになり、一般家庭であっても師弟を留学させ、個人レッスンを受けさせる事が出来るようになったから

ではないでしょうか。ピアノと言えば学校に一台しかないという時代では、とても無理な事でした。

 また、最近、アメリカとの間で特許を巡る様々な問題が起きています。アメリカ国内では新しい発明や発見

が莫大な利益をもたらすことから、日本からの留学生や研究者が研究成果を日本に持ち帰る事に神経を

とがらせています。確かに、アメリカの大学や研究機関での独自の研究はアメリカのものかも知れません。

しかし、留学生や研究者が自分の研究テーマとして持っていったものも少なくないはずです。それも含めて

アメリカのものだという主張には首を傾げたくなります。

 言いかえれば、日本人の研究や開発がアメリカ自身の足下を脅かせ始めたと言うことではないでしょうか。

かつてのように、アメリカが開発した技術を買って、おこぼれに預かるような時代ではなくなった証拠です。

多くの発明や発見は日本独自のものであり、なおかつ、アメリカのように軍事開発の過程で出てきた成果を

民間に応用というのではありません。純粋に平和目的で開発されたものばかりです。

 研究や開発には多くの費用が必要だと言われています。アメリカは軍事開発に莫大な費用を投じています。

日本とアメリカとは同じ研究や開発でも土俵が違うのです。そんな中で、日本は良くがんばっていると言える

のではないでしょうか。

 また、一時は消えかけた中小企業の技術力も息を吹き返しつつあります。大阪の町工場の人達が自分たち

の技術力を持ち寄って、人工衛星を打ち上げようとしています。また、町工場のネットワークを作って、一社

では対応できなかったお客さんからの注文を、ネットワークの力でカバーしていこうとしています。本当に、

孤立無援の中から良くここまで立ち直ったものだと感心せざるを得ません。がんばれ、日本。

                                               2004年4月19日掲載

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