人間ドック今昔

 あれから何年になるだろうか。今でこそ専用の建物の中で検診を受けているが、人間ドックなるものが

始まった頃は普通の病院の中での検診だった。従って、入院中の患者さんや診察を受けに来た人達と同じ

場所で検査を受けていた。それこそ広い病院の中をあっちに行ったりこっちに行ったりと、大勢の患者さんの

間をかいくぐるようにして検診を受けていた。

 私は、人間ドックなるものが始まった頃から検診を受けてきた。この頃の倉敷中央病院は戦前のからの古い

建物だったので暗く陰鬱な雰囲気であった。廊下は狭く天井は低く、廊下の照明や室内の照明も暗かった。

その後、人間ドックなるものが一般化するにつれて、今のような専用の建物が出来、そこでゆっくりと検診を

受けるようになった。

 今の建物は落ち着いた雰囲気の中にも明るさがあり開放的である。検診の際のシステムも年ごとに改善

され、今日のような形になってきた。最初の頃は、検診を受けるのも結果を聞くのも、すべて受付順だった。

従って、早く結果を聞いて帰りたかったので、みんな競うようにして早く行くようにしていた。私も家内と一緒に

行くようになるまでは、開館と同時に入るよう家を出ていた。それでも一番になるような事はなかった。上には

上の人がいたのだ。

 その後、結果を聞くのは受付順のままだけれど、検診は係りの女性があっちへ行けこっちへ行けと指示を

してくれるようになった。その改善が効を奏して、受診者全員ほとんど時差なく検診が終わるようになった。

つまり、時間のかかるところに受診者が集中しないように、各検診場所に均等に受診者を配置するようにした

のだ。これは画期的な改善だった。

 また、この施設では検診が終わったら食事券を渡してくれる。この券を持って一階にある食堂へ行けば立派

な昼食(朝食抜きで来ているので朝食になるのかも知れない)が出てくる。ここは一般の人にも開放されていて

健康食に関心のある人が食べに来るようだ。メニューは、さすがに医療機関が作っている食事だけにカロリー

計算がされている。また、材料にも偏りがないように多種多様なものが使われている。しかし、塩分控えめ

なので味は薄い。反面、ボリュームは十分である。

 検診で一番いやなのは結果を聞くときである。どこか悪いところはないかと内心どきどきしながら聞いている。

何もなければほっと一安心だ。今までに一度だけ精密検査をするように言われた事があった。胆嚢の一部に

肥大化したところがあるということだった。検診結果を聞いて三ヶ月後に再検査を受けた。再検査は倉敷中央

病院だった。生卵を何個か飲んで、その後、超音波の検査を受けた。結果は異常なしだった。結果を聞いて

一安心だが、再検査を受けるまでの三ヶ月間は、あれやこれや考えて気がもめる期間だった。

 また、人間ドックでは内臓の超音波検査や胃のレントゲン検査など、時間のかかる検査では何かしら人より

長く検査されているような気がしていやな検査だ。何か変なところがあるのではないだろうかと内心心穏やか

ではない。聞けばみんな同じように考えているようだ。

 しかし、この検査で来年までの一年間が保証されているような気がして毎年受けている。しかし、よくよく

考えて見れば一年間が保証されるのではなく、今までに何もなかったということが分かったということに過ぎ

ない。従って、今回の検診結果に問題がないからと言って決して安心できることではないのである。

 私達のように年齢が高くなれば、いつ何があっても不思議ではない。健康に気を付けていても何か異常な

ところが出来てくるかも知れない。そんな事を覚悟しなければならない年齢になってしまった。これからも毎年

検診を受け、一喜一憂しながらも自分自身の健康を見守っていきたい。

                                                  2004年8月20日掲載

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