年金制度の行方

 今、年金制度が大きく見直されようとしています。私は今年の5月15日付けをもって定年退職します。

しかし、正規の年金が受けられるようになるのは、後二年先です。私の家内や同世代の後輩達の受給

年度は更に遅くなります。それだけでなく、受給金額も引き下げられようとしています。年金基金を積み

立ててくれる人達が少なくなるからだと言うのがその理由です。

 年金は支払いに必要な金額を、受給者以外の世代から徴収するようなシステムになっています。従って、

支払者が少なくなり、受け取る人が多くなれば、当然の事ながら支払金額を少なくするか、支払い年月日

を遅らせるしか方法はありません。

 ところが、受給年齢に達した私達は、自分達も将来問題なく受け取る事が出来るという暗黙の約束が

あったからこそ、金額の高低にかかわらず支払ってきたのです。ところが、いざ自分達が受け取り年齢に

なった時、支払日を先延ばしにするとか、支払い金額を引き下げますと言われたのでは騙されたような

ものです。

 また、厚生年金は会社勤めをしている人で組織している年金制度です。公務員は、公務員で共済年金

制度を持っていますし、一般の人は、一般の人ばかりが加入している国民年金制度を持っています。

これら年金制度で比較的健全なのは厚生年金制度だと言われてきました。

 公務員が加入している共済年金制度は、支払額が多額になり早くから破綻状態でした。国民年金制度は、

支払金額の問題だけでなく、年金の徴収そのものにも問題があって行き詰まり状態です。政府は比較的

健全な厚生年金に、これらの穴埋めをさせようとしてきました。しかし、その厚生年金制度ですら団塊の

世代と言われる人達が受給年齢に達すると完全に行き詰まってしまうと言われています。また、厚生年金に

加入している人達からみれば、公務員はたくさんの年金を受け取っておきながら、財政的に行き詰まった

からと言って、その尻ぬぐいを我々にさせるのかという思いがあります。

 厚生年金保険には多額の貯蓄があると言いますが、その実態は明らかにされていません。制度を変える

議論の前に、この蓄えを放出せよと言う意見もあります。確かに蓄えは、こういう時のためのものですから

いくらかは吐き出しても良いはずです。しかし、資金を運用している政府は、言を左右にして実態を明らかに

しようとはしません。何故なのでしょうか。

 先日、同窓会のメンバーでウエル・サンピア倉敷に一泊しました。倉敷市の連島の山頂に大きな場所を

占めた施設です。テニスコートや夏はプールで冬はスケートリンクに変わる施設などを完備しています。

 私達が宿泊したのは、観光シーズンの最中でした。どこに聞いても満杯状態で、やっと見つけた宿泊施設

でした。私達にとっては大変ありがたかったのですが、私達以外の宿泊客は、ほとんどいませんでした。

ここが出来た頃は結構賑わっていたようですが、観光シーズンの最中だというのに、この静けさは異常でした。

 こんな施設が、ここだけでなく全国的にも多々あるようです。バブル最盛期に建てた施設ですから相当な

資金が投じられているはずです。その資金の回収はどうなっているのでしょうか。投入した資金ぐらいは

回収出来たのでしょうか。それとも回収の目途が立たないような状態なのでしょうか。日々支払われる

従業員の賃金だって安くないはずですし、お客さんが来ようが来まいが維持費はかかるはずです。

 全国的に、こんな状態になっている設備はたくさんあるはずですが、その実態はまったく明らかにされて

いません。年金制度の改革に広く国民の協力を求めるのなら、隠している事実をみんなの前に明らかに

すべきではないでしょうか。回収不能な金額がどれほどのものなのか、何故そうなったのか、公表出来ない

という背景には、恐ろしいほどの使い込みがあるに違いありません。

 立て直し論議は、その後からです。また、厚生年金を運用する職員の年金や公用車などの購入資金や、

交通事故の処理費用まで、積み立てられた年金から支出されているようです。その乱脈ぶりは今国会で

明らかにされていますが、野党側の質問を聞いていて腹が立つような事ばかりです。こんな乱脈経営を

許していた与党や歴代の自民党政府に大いなる責任があります。この責任を問わずして年金制度の

改革などあり得ないことです。

 また、国会議員の年金についても私達とは別枠で運用され、かなり有利な支払い条件となっているよう

です。これらについても正すべきところは正していくべきではないでしょうか。国民が等しく負担を負うような

制度にしていこうという時に、国会議員だけが別枠というのでは話になりません。

                                            2004年4月11日掲載

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