悩めるお父さんお母さんへ

 私はライフパークで開かれている講座に出席し、各界で活躍されている方々から色んなお話

を聞かせて頂き心から感謝しています。

 今回は「いろはスケッチ」と称する「現代社会を色で読む」という講座に参加しています。講座

の目的は、どうやら現代社会の問題を様々な視点からスポットを当て、何が問題なのかを探っ

てみようと言う試みのようです。

 その第二回目が10月4日(火曜日)に開かれた「家庭に愛がありますか」というテーマの話

でした。講師は岡山学芸館高校(元金山学園)参与の森美智子先生でした。先生は長く「命の

電話」でボランティア活動をされてきたそうです。また、自らの子育ての体験を通して、今は学

芸館高校で「ホットルーム」を作り、高校生達の心のケアをしておられるそうです。そんな体験

を通じてのお話でした。

 最近、学校を退職された方が、これから先の世の中を見たくない、出来ることならそんな社会

を見ることなく早く死にたいと言っておられたそうです。教師と言えば教育を通じて子供達を育

てていくという実に尊い仕事です。その人が何故そんな事を言われるのでしょうか。ここに現代

社会が抱えている大きな問題があるように思われます。

 教師という仕事は単に読み書きや計算の仕方を教えるだけではなく、子供達の人間形成の

一翼を担っておられます。しかし、先生に対しては、あれもダメこれもダメと色んな制約が多く、

厳しい制約の中で多感な成長期の子供達を預かっておられます。少しでも頭をぽかりとやろう

ものなら親が学校に怒鳴り込んで来るような世の中です。当然の事ながら教育委員会からも

厳しい目で見られています。その上、小さな事件でもマスコミは大きく騒ぎ立てます。

 確かに、度の過ぎた体罰はいけませんが、私達が子供の頃、体罰は当たり前の事でした。

体罰の話を聞いても親達は当然の事だとして受け止めていました。学校や先生に全幅の信頼

を置いて子供達を預けていたのです。むろん、家庭でも厳しく躾ていました。従って、学校で子

供達が体罰を受けても当たり前のこととして聞いていたのです。

 私は子供達が小さかった頃、びしびしと叱っていました。多少の加減をしながらも体罰も加え

ていました。子供には愛情を持って体罰を加える事が正しいことだと考えていたからです。

 森先生の話ですと子育ての何たるかが良く分からない親が多いそうです。先日、私もこんな

話を耳にしました。ある親が子供がゲームに夢中になって困っているのだと言うのです。ゲー

ムさえなくなれば、子供達はゲームに夢中になることはないのにと考えているようです。しかし、

それはとんでもない勘違いをしているように思えてなりません。夢中になって困るのであれば、

そんなゲームは買い与えなければ良いのです。また、買い与えてもゲームをする時間を決め

させれば良いことです。

 また、夜遅くスーパーに幼い子を連れてくる親がいるようです。聞けば、なかなかこの子は寝

てくれないのだと言うのです。子供が寝ないのではなく、親が子供を寝させるように躾ないから

寝ないのです。私は子供達が中学校に入るまでは夜八時になったら必ず寝るようにさせてい

ました。寝る子は育つと言いますが、子供達にとって睡眠は必要不可欠なのです。夜遅くまで

起きさせているから朝さっと起きられないのです。朝食を食べずに学校へ来る子がいると聞き

ますが、多くは夜更かしをして朝起きることが出来ない子ではないでしょうか。気力がない体力

がない子は夜更かしをして寝不足となり、その上、朝食を食べて来ない子供達なのではないで

しょうか。

 私は子供が大きくなるまで食事中のテレビは見ないようにしていました。その代わり出来るだ

け色んな話をするようにしていました。また、だらだら見るのではなく、見る番組も子供達に決

めさせていました。ゲーム機は買い与えませんでした。子供達が小さい頃はお風呂にも一緒に

入るようにしていました。あちらこちらの旅行にも連れて行きました。出来るだけ親子の触れ合

いを大切にしたかったからです。

 お話もしてやりました。子供達二人はベッドで聞いた「モモタウロ」という創作話が懐かしいと

大人になった今も言っています。子供達の二段ベッドが宇宙船やロケットという空想の世界を

楽しんでいたようです。いつも私に「モモタウロ」の話をしてくれとせがんでいました。

 夫婦ですから喧嘩もしました。しかし、基本的には夫婦仲良くをモットーにしていました。夫婦

仲の良いことが子育てのためには大切な事だと考えていたからです。

 今、崩壊寸前にある家庭が増えていると言います。先生の話の中でショックを受けたのはあ

る少女の話でした。彼女には六人の援助交際の相手がいるというのです。その内の四人から

はお金を貰っているけれど二人からはお金を受け取っていないというのです。お金を受け取ら

ずにセックスしている相手の一人は自分のお父さんのような年齢の人だというのです。セックス

をさせてあげれば、そのおじさんは自分の話をいつまでも聞いてくれるというのです。家庭の中

で会話のない彼女は寂しくていけないのです。従って、おじさんはお父さん代わりの人なのです。

 ある子は毎月携帯電話の請求が何万円と来るそうです。それでも親は何にも言わずに払っ

ているそうです。学校から帰っても、ひとりぼっちの彼女にとっては携帯電話が家庭での寂しさ

を紛らすための手段となっているようです。

 彼女達の「寂しい」という心の叫びが聞こえてきそうな話ばかりです。親は父親代わりのおじ

さんや携帯電話の代わりに何故なろうとはしないのでしょうか。家庭崩壊は親の方から起こし

ているのです。親は子育てという一番大事な事を放棄して、自分たちの楽しみのためにだけ生

きているような気がしてならないのです。

 誰しも初めから自信をもって子育てしているものはいません。みんな試行錯誤しながら子育

てをしているのです。子育てをしながら自分自身も成長しているのです。自分の子供とは言い

ながら人格は全く別のものなのです。従って、親の自由になるような子供は一人もいません。

自分自身でさえ思うように制御できない未完成な人間が、更に別な人間を育てているのですか

ら難しいのは当たり前です。だからと言って学校にすべてを押しつけるのは間違いです。そこ

のところを勘違いしているような親があまりにも多いような気がしてなりません。

 だからと言って難しく考えたり、特別な事をする必要はないと思うのです。先にも書いたように

食事は一緒にする。食事中テレビは見ないでお話をする。一日に一回は必ず家族が顔を会わ

すような時間を作る。幼い子供の内は夜八時になったら寝させる。おはよう、お休みなさい、こ

んにちは、ありがとうと言った挨拶が家庭内でも他人にでもきちんと出来るようにさせる。その

ためには親も見本になることが必要です。家族はみんな仲良くする。特に夫婦は円満であるこ

とが大原則です。子供は何でも欲しがるものですが我慢することも教える。簡単に何でも子供

に買い与えない。親としての責任を他人に押しつけない。子供から逃げない。

 考えれば他にもあるでしょうが、どれ一つとっても難しいことではありません。どうか、子育て

中の皆さんは今からでも実行してみて下さい。そうすれば、冒頭にも書いた元教師のように、

これから先の世の中は見たくないと言う声は聞かれなくなると思うのですが。

                                        2005年11月20日掲載

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