ナツメは漢字で書くと棗という字になります。棘(トゲ)という字を縦にしたような漢字です。この

漢字が表しているようにナツメには幹や枝に鋭いトゲがあります。トゲは外的から身を守るためとも

言いますが、多くの場合、乾燥地域の植物に見られます。その代表的なものはサボテンです。

サボテンは極度な乾燥地域で生きていくために、自分の体から逃げていく水の量を極力少なくする

ように葉が退化してしまいました。

 夏になると気付く事ですが、鉢に植えた植物で一番にしおれてしまうのは、紫陽花のように葉の

大きな植物です。葉の表面積が大きければ大きいほど発散する水の量は増えていきます。

 少し横道にそれてしまいました。ナツメは葉も小さくトゲが全体にある植物です。従って、オアシス

のような半乾燥地帯に適した植物ではないかと思っています。中国原産と言いますから中国でも

砂漠に近いところ、現在でいう新彊ウイグル自治区当たりのオアシスが原産地ではないでしょうか。

ナツメはナツメヤシと間違われやすい名前をしていますが、全く異なる植物です。

 棗は夏目だとも言われています。夏に芽が出るからと言う事からだそうです。確かにナツメの新芽

は他の果樹に比較して遅いようです。新芽が伸びて4月から5月頃にかけて小さな目立たない花を

付けます。気を付けて見ないと見過ごしてしまいそうなくらい地味な花です。そして8月から9月頃に

なると、永細い親指大の実になります。

 棗は抹茶の器である「なつめ=棗」と同じような形をしているので、その形から棗と言われるように

なったとも言われていますが、私には、この木が棗であり、その実の形に抹茶を入れる容器が似て

いるので、「なつめ=棗」としたと言う方が、当たっているような気がするのですが如何でしょうか。

 子供の頃、お寺の裏庭にあるナツメの実を食べて以来、不思議な味が忘れられず、果樹を植える

ようになって一番に買ったのがナツメの苗でした。少しだけ甘く、リンゴのようなシャリシャリ感が

忘れられませんでした。この実は熟れると茶色に変色します。この頃が一番甘いようです。実が付き

始めた頃は、茶色になるので腐ってしまったのかと思っていました。そんな訳でどちらかというと

青いままのものを食べていました。ある時何気なく茶色のものを食べてみて意外に甘いのに驚き

ました。以来、茶色になったものを食べるようにしました。しかし、どう贔屓目に見てもおいしそうな

果実には見えませんので、家族のものは誰も食べようとはしませんでした。

 とにかく緑色の実が白っぽくなり茶色くなって、やがてしわがれて落ちてしまいます。この頃が一番

甘いようです。リンゴの歯触りに似た独特の味です。果物としておいしいと言うよりは懐かしい味と

いった方が適切かもしれません。さして他の果樹ほど好んで食べられるようなものではないと思い

ます。ただ、私達が子供の頃の様に、お菓子や果物を口にすることが出来なかった世代にとっては、

それなりに甘美な味だったのです。さしたる病害虫もなく、ほとんど野生に近い果樹だと言えましょう。

 小さな実なのに種が大きくて食べるところが少ないので、果樹とは言っても市販されるようなもの

ではありません。中国当たりでは乾燥果実として用いるところもあるようですから、むしろ、その方が、

この果樹には向いているのかも知れません。

 また、乾燥させたナツメは大棗(たいそう)と言って漢方薬として利用されているようです。鎮静

作用、抗アレルギー作用、抗消化性潰瘍作用、抗ストレス作用、血液凝固抑制作用、、腎障害改善

作用等と多種多様な薬効があるようです。

 ともあれ、我が家のナツメの木は多くの果樹とともに、今は他人の畑のものとなってしまいました。

従って、当時を思い起こしながら書いています。ナツメは苗でも売っていますが、古い株になると

ひこばえが根元にたくさん出ますから、これを分けつしても増やすことが出来ます。むろん挿し木で

増やすことも出来ます。

 病気には強い果樹ですが、葉を綴る虫には悩まされました。実が熟れる頃に発生するのです。

消毒も出来ずそのままにしておきました。又、思い出す事があれば、その都度、書き加えていき

たいと思っています。

                                          2007年7月30日加筆修正

                                          2009年8月6日追記修正


 

左の写真は通勤途中にある民家の脇に咲いていた柘榴の花です。2001年6月撮影

右の実は白石島に行った時、駐在所の玄関の前にあった柘榴です。

見事な大きさのものがたくさんなっていました。2000年10月22日撮影

 ザクロは梅雨の頃、はっとするほど赤い花を付けます。うっとうしい梅雨空の中で、その色の

鮮烈さは強烈です。五月晴れの青空とザクロの赤い花、何とも言えない美しい取り合わせです。

 ザクロはあまり店先で売っているのを見かけません。それほど、どこの家にでもあるような、

ありきたりの果樹なのかもしれません。あるいは商売にならない果樹かも知れません。 しかし、

昨年、旅行先の多武峰の土産物の店頭に、大きさといい形といい見事なザクロが売られている

のを目にしました。そして、最近ではこの果汁が健康食品として販売されています。

 子供の頃、私が住んでいた神辺に八仙という作り酒屋がありました。この酒屋の庭に見事な

ザクロの大木がありました。いまだかつて、あれほどの大木を見たことがありません。樹齢は

優に百年を越えていたかもしれません。

 しかし、ザクロはそれほどおおきな木にならなくても実がつきます。丈夫な木ですから病害虫も

あまりないようです。比較的、栽培に手間のかからない果樹といえます。

 ザクロの実はルビーにも例えることが出来るほど、赤くてきれいな実です。実が透き通って

いますから、ことさらきれいに見えるのでしょうか。表の固い皮をむくと宝石のような赤紫の実が

びっしりと詰まっています。木の実の多さが、シルクロードでは繁栄を象徴する果樹だったようです。

確かにびっしりと詰まった実は子沢山をイメージさせ、セックスと関連の深い果樹だったのかも

しれません。そういえばこの神秘的な色は妖艶さをも感じさせます。

 味はいたって淡泊です。少しだけ酸味を感じる甘さです。香りもさほど強くはありません。他に

例えようもない独特の味をしています。

 苗は市販品を買っても良いですし、挿し木(時期は2月か11月ころ)でも簡単に増やせます。

又根本に生えているひこばえからでも増やすことが出来ます。懐かしく感じたら、貴方もナツメや

ザクロを植えてみませんか。


ナツメもザクロいずれも漢方薬でもあります。

ナツメは果実が熟れ始めた頃収穫し、乾燥させたものを薬として用います。

緩和、強壮、利尿、鎮静薬だそうです。

ザクロは虫下しの薬として昔から用いられてきました。

木の根を用いたり葉を煎じたりするそうです。

又、果皮は石榴皮といって整腸、止血、駆虫に用いられるようです。

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