無農薬、不起耕栽培への挑戦

 岡山県は日本でも有数の桃の産地です。7月下旬から8月中旬頃にかけて色んな品種の

桃が店頭に並びます。岡山県には古くから桃太郎伝説が伝わっており、現に岡山市の表玄関

である岡山駅前広場には桃太郎像が建てられています。また、色んなイベントに欠かせない

キャラクターも「ももっち」と言ってモデルは桃太郎です。桃太郎が鬼退治にいく時、持って

歩いたのが吉備団子ですが、これも岡山を代表する和菓子として広く親しまれています。

 少し余談が多すぎました。この桃の中でも代表的なものが「清水白桃」です。収穫期になると

独特の色合いになります。まるで乙女の初々しい肌のような色をしています。私のサイト内の

記事にも書いていますが、桃は熟期になると、それまで青く固かったものが一挙に膨らんで

一回り大きくなります。(他の果樹の中にも似たような現象のものがあります)少女期から

大人の女性に変身するときのようです。特に清水白桃は、表面が淡い黄色がかったピンク色

をしていますので若い女性の肌を見ているような美しさです。

 さて、昨年から今年に掛けて野菜や果樹のEMによる無農薬栽培を試みています。畑には

昨年の秋に大量に糠とEM発酵液を投入しました。投入後の数日間はEM特有の甘酸っぱい

匂いが周辺に立ちこめていたほどです。

 そして、春になって一斉に花が咲き新芽が伸びて勢いよく成長を始めました。今年は例年

より花芽も多く着果数が多かったようです。チョッキリゾウムシやカメムシの被害が少なかった

ことと、着果数が多かったことで、袋掛けの対象となる実が非常に多かったことも今年特有の

ことでした。また、木の勢いがまるで異なりました。

 店頭に並び始める一週間から十日早く収穫することが出来ました。中手の白鳳より早かった

くらいです。原因は何だったのか良く分かりません。また、玉太りも例年よりは良く重量感の

ある桃がたくさん収穫できました。

 一口にEM効果とは言っても、具体的に書くことは困難です。何よりも農薬を使わなくても

良くなったことが上げられます。農薬を使わなくて良くなった大きな理由は、野菜も果樹も

丈夫になったと言うことではないでしょうか。

 農薬を使わないので害虫を捕まえてくれる益虫のカマキリや蜘蛛が増えました。昨年まで

ハッサクや夏みかんなど、アオバハゴロモの被害に悩まされていました。こうした害虫が

果実の付け根に集まって樹液を吸います。樹液を吸うだけでなく排泄物をあたり構わず

散らします。その排泄物が原因となって「すす病」が発生します。葉も果実も真っ黒になる

のです。

 今年は大小の蜘蛛の巣がたくさん見られます。よく見るとアオバハゴロモの羽が残って

います。きっと蜘蛛の巣に捕まって蜘蛛に食べられたのではないでしょうか。果樹畑には

無農薬で益虫が増え、害虫を食べてくれると言う、良い循環が始まっているようです。

このまま無農薬で一年が終わることを願っています。

 今年、夏野菜はすべて不起耕で植えてみました。むろん野菜畑にも大量のEM発酵液を

撒きました。投入直後には固かった土が、一雨降った後からはずいぶん柔らかくなりました。

そして、耕して植えたときと変わらないくらい、と言うよりそれ以上の成長が見られるようです。

 不起耕ですから上へ上へと剪定後の枝や周辺で刈った草など大量に敷き詰めています。

肥料としては米糠と油粕を使っています。特にキュウリには顕著な効果が合ったようです。

例年なら急速に広がるウドンコ病がほとんど見られないのです。残念ながら五本の内二本は

原因不明で枯れてしまいました。EM発酵液の入れ過ぎかも知れません。とにかく、キュウリの

収穫本数が例年になく多いのです。来年から植える苗は三本にしても良いようです。また、

トウモロコシが良くできました。一本に一本しか出来ないはずのトウモロコシが幾本かは

二本収穫しました。これもEM効果なのでしょうか。

 今年、最高の収穫量だったのはイチゴです。実の傷みが非常に少なかったこともあって

大量の収穫でした。苗の植え替え無しでランナーの伸びてきた位置で収穫しました。次年度

からは、新しく伸びたランナーだけを残し、三年目や二年目の古株は抜くようにしたいと思って

います。これも確かな証拠はないのですがEM効果のようです。このようにEMによる土壌改良

は着実に効果を上げているようです。

 実は、EMは土壌改良材として開発されました。開発したのは琉球大学の比嘉教授でした。

今は土壌改良だけでなく河川や池の水質改善にも広く使われています。

 戦前までは、ほとんど化学肥料は使われていませんでした。むろん農薬も同じです。まして

除草剤などと言うものはない時代でした。戦後の食糧増産のかけ声と共に広まったのが化学

肥料と農薬でした。

 こうしたものの多用は一時的な食糧増産にはなりましたが、大切な土を著しく汚してきました。

土には亜硝酸などが大量に蓄積し酸性土壌になってしまいました。常に窒素過多の状態が

続いています。窒素分が多いと見た目には、良く出来ているように見えますが、その実、ひ弱

になっているのです。こうした状態は非常に病害虫に冒され易く、農薬を使わなければ栽培

できないようになっています。いわば化学肥料と農薬多用の悪循環に陥っているのです。

 このような状態を少しでも土本来の姿に戻そうというのがEMの使用です。一度、汚染されて

しまうと元に戻すまでには時間がかかりそうです。幸い、我が家では果樹畑には、ほとんど

化学肥料は使っていませんでした。それだけに回復は早かったようです。今は野菜畑に

力点をおいて改良を試みています。

 こうしたことが確かなものとして定着するようであれば、家庭菜園とは言え負担を軽減できる

一つの方法ではないかと思っています。私はこれまでにも色んなことを試みてきました。しかし、

いずれの手段も一長一短がありました。しかし、EMに関しては、従来感じたことのないような

手応えを感じています。むろん、この方法にも欠陥や短所がないとは言えません。そうした

欠陥や短所を一つ一つ解明しながら改良していきたいと思っています。

 先日も乞われて、ある人の家へ指導に行きました。こうした人や家庭が一人でも一軒でも

増え、EMに関する情報や知識が増えることを願っています。

                                        2009年8月7日掲載

 EM効果に関しては庭木にも見えます。特に玄関脇にある松の木が新芽を吹く頃になって

全体が衰弱していました。周辺にEM発酵液をまいて様子を見ることにしました。

 その翌年の春先から新芽はどんどん伸びて、今まで見たこともないくらい伸びました。すごい

成長力です。その年の暮れ(2009年)には、近所の人から正月用の松として売りに行けばと

言われるくらい長く真っ直ぐな枝が数え切れないくらい伸びたのです。

                                        2010年4月16日追記

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