今年(1999年4月)のもも(白桃)の花です。

 桃太郎伝説にも出てくるように桃は岡山県を代表する果物の一つです。桃は岡山県では古くから

栽培されていたようです。それでも本格的に栽培され始めたのは明治以降ではないでしょうか。

 市販されている品種は多種多様ですが、栽培種となると白桃がその代表だと思います。白桃は

味もさることながら、見た目が大変きれいです。白い肌にほんのりと赤みがさした様は、うら若き

乙女の肌を思わせるようです。

収穫前のもも  1999年8月

 しかし、その桃もいざ栽培となるとなかなか大変です。おいしいものは虫もよく知っているようで、

いろんな害虫が寄ってきます。従って、特別な防虫対策(畑全体を防虫ネットで覆う)をするか、

袋かけが必要です。特に私の畑のように山が近いと袋かけは欠かせない仕事です。花が終わり、

まず摘果をします。摘果が終わって梅の実位の大きさになった頃、袋かけをします。袋には何種類

かありますが、二重袋かオレンジ色の一重の袋を使っています。

 私は地元の農協で買っています。最近ではホームセンターでも見かけるようになりました。しかし、

価格は農協が一番安いようです。

 袋かけのタイミングは非常に難しく、実の大きい方が袋はかけやすいのですが、この頃になると

チョッキリゾウムシという害虫が活動を始めます。この害虫は桃の実や実の付け根に穴を開けて

しまいます。穴を開けられた実はやがて落果してしまいます。もう一つ怖いのはカメムシの被害です。

この虫は桃の実の汁を吸います。汁を吸われた実は、吸われた部分がケロイド状になってしまいます。

仮に落果せずに残ったとしても変形してしまいます。

 毎年のことですが、これらの害虫が来始めたら早めに袋をかけてやります。タイミングを失うと

一日にして全滅ということになりかねません。そんなわけで、すぐに袋かけが出来ないときには、

袋かけの前に消毒などをしますが気休めのような気がします。

 春先に新芽が伸び始める頃になると葉が縮れたようになることがあります。これは桃の仲間に

多い縮葉病です。気温が上がってくると自然に解消します。毎年ひどくなるようでしたら、芽吹き前に

(3月上旬頃)石灰硫黄合剤を撒いて下さい。あまり効果があるようには思えませんが、多少は改善

すると思います。

 袋かけが終わったら定期的に消毒をします。桃は消毒をしないで栽培する事は非常に難しい果樹

だと思います。チョッキリゾウムシは実に穴をあけるだけでなく、新しい葉が出始める頃、若い枝の

先端にも穴を開け葉先を枯らしたりもしますので注意が必要です。

桃の袋に取りついて穴をあけようとしているアケビコノハ

 実が熟す頃になると、今度はアケビコノハが甘い匂いに誘われてあらわれます。この蛾は夜に

活躍します。非常に丈夫な吸引口を持っていて、二重袋の上からでも穴を開けて汁を吸います。

汁を吸われると桃の実は、そこが傷口になって腐っていきます。この蛾に対する打つ手はないよう

です。

 果物の産地では蛾のいやがる黄色のランプを点灯したり、畑全体をネットで覆ったりしています。

私たち家庭栽培では、とてもそんな真似は出来ませんから、為すすべなく見ている他はありません。

 従って、白桃のように晩生のものでなく、少し気温の低いときに熟す早生のものを作れば多少は

害を少なくすることが出来るのではないかと思います。

 いずれにせよ桃は葡萄と同じ位というより、それ以上に作るのが難しい果物です。しかし、家で

収穫した桃は市販品では味わえないおいしさがあります。完全に熟すと自然落下します。袋の中に

落ちている桃の味は格別です。こうした食べ方が出来るのは自家栽培ならではの喜びでしょう。

 昨年(2000年)桃を鉢植えにしてみました。実の大きさは今一つでしたが、袋もかけずに良い桃が

出来ました。鉢植えですと全体にネットをかぶせることも出来ます。水やりの管理さえきちんとすれば

簡単に作れます。挑戦してみて下さい。

 果物は何でもそうですが、食べ頃というのがあります。俗に「三日の旬」といいます。特に桃の類

には、その言葉がぴったりと当てはまります。「三日の旬」は自家栽培でなければ味わえないこと

です。それと、注意深く観察しているとわかることですが、桃は熟すと急にひとまわり大きくなります。

それまで固かった桃が柔らかくなると共に大きくなるのです。そして白い肌にほんのりと赤みがさして

きます。二重袋の上からでも色づきがわかります。食べて下さいとサインを送っているようです。

本当に不思議ですね。

追記

 実は、その後、本格的な桃の栽培方法の研修を受けました。その時に聞いた話では熟したまま

袋の中へ落ちたものは味が良くないのだそうです。桃は完熟前に収穫し追熟させて食べる方が良い

と聞きました。目から鱗とは、このことでした。そう言えばアンズも同じようなことが言えるようです。

                                      2009年8月4日追記

花はももとまったく同じだ。色鮮やかなピンクが美しい。

 ネクタリンも桃の仲間でしょうか。葉も幹も桃と同じですが、実の形や色は全く異なります。最近

では店頭などでも時々見かけますから、ご存じの方も多いと思います。形はともかく、桃特有の

産毛のようなものがなく、つるつるの肌をしています。

  

ネクタリンの幼果(袋かけ前)

 我が家のネクタリンは8月下旬頃熟します。果肉は少しオレンジがかった黄色です。香りが強く

酸味がかった味は、私にとっては好みの味です。栽培の難易度からいうと、非常に難しい果樹だと

思います。

 春先には縮葉病にかかりやすく、春先の低温が続くときには特に被害がひどいようです。着果率

は非常に良いのですが、チョッキリゾウムシやカメムシ等の被害にあいやすく、袋かけまでに殆どの

幼果がやられてしまいます。

 木の幹にはカミキリムシの幼虫が入り込み、幹と皮の間を食い荒らします。カミキリムシの幼虫が

入ると、その部分は大きく膨らんでヤニをいっぱい出します。

 縮葉病には打つ手がありません。春先に石灰硫黄合剤で予防しますが、効き目はあまりないよう

です。気温が高くなると自然解消します。チョッキリゾウムシやカメムシはデナポンやカルホス乳剤で

予防します。かみきり虫の幼虫はナイフで掘りだして殺します。

 実が熟し始める頃は、アケビコノハの活動が、もっとも盛んな時期ですから、袋の上から果汁を

吸い、その部分から腐り始めます。今まで満足な収穫を得たことがありません。それでも毎年同じ事

を繰り返しているのは実がおいしいからです。この冬、木を大きく剪定しました。ところが皮肉なこと

に立派な実がたくさん付いており、そのままにしておくのが、もったいなくなって袋かけをしました。

どうなることでしょうか。

見事に色付いたネクタリン  1999年9月

 とにかく、非常に栽培しにくい果樹ですが、花の頃は大変きれいです。果実の収穫は無理でも

花を楽しむだけでも良いのではないかと思って切らずに残しています。

追記

 何度か収穫をしましたが、袋掛けが一時に集中し、ネクタリンにまで手が回らなくなりました。

やっと桃などの袋掛けが終わった頃には、大半の実が害虫にやられてしまい、袋を掛けようか

という良い実が残っていませんでした。そんなわけで、やむなく切り倒してしまいました。

                                      2009年8月4日追記


害虫:チョッキリゾウムシ、カメムシ、アケビコノハ、エカキムシ、その他葉を食べる害虫や木の幹に

    入る害虫

病気:縮葉病(他にはあまり顕著なものはないようです。)

必要な農作業:消毒、袋かけ、冬の剪定、施肥

          施肥は記の周りの土を少し耕し鶏糞や油粕、化学肥料などをやって下さい。

          多用は禁物です。

          剪定は冬にします。雑誌や専門書を参考にして下さい。

          消毒はスミチオン乳剤やカルホス乳剤を使っています。

栽培品種:早生(白鳳、大久保)、晩生(白桃)、ネクタリンの品種名は分かりません。

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