松原のぶえコンサート

 この人の歌のうまさには定評があります。たまたま見かけたポスターに松原のぶえコンサートと

あり、よくよく眺めると児島文化センターで開催されるとの事でした。しかし、どこで入場券を手に

入れれば良いのか分からず、人を介して尋ねていたところ、家内が行きつけのスーパーで入場

整理券を貰って来ました。この手の入場整理券は当日会場に並んで指定席券を買うというもので、

確か五木ひろしのコンサートの時も同じ方法でした。従って、予約券のようなもので、当日詰め

かける人が多ければ当然の事ながら指定席券は早いもの順ということになり、手に入れることは

出来なくなってしまいます。

 開催日当日、私は退社時間が来ると、すぐに会社を後にしました。すでに会場周辺は大勢の

人で賑わっていました。幸いにも指定席券はたくさん残っていました。受付の人に勧められるまま

S席を買いました。A席が2000円、S席は3000円でした。後で分かった事ですが、会場周辺が

賑わっていたのは指定席券を買いに来た人ばかりではなく、午後の公演が終了し、会場から出て

きた人達も大勢いたようです。

 本当に素晴らしい舞台でした。半分以上の空席がある中で、舞台に立つものにとっては、いささか

がっかりさせられるような客席の状況でしたが、堂々と二時間近く、全力で歌い上げたその姿は

本当に立派でした。空席が多いからといってがっかりする様子もなく、さりとて、いいかげんな舞台

でもなく、誠心誠意お客さんを喜ばそう楽しませようとするその態度は、すこぶる好感の持てるもの

でした。

 恐らく大半のお客さんは松原のぶえファンではなかったはずです。従って、会場の盛り上がりも

最初から今ひとつと言った感じでした。舞台に立つものにとっては会場の反応が命だと思います。

お客さんが盛り上がれば歌手も盛り上がります。煮えきらないお客を前にして舞台を勤め上げる

ことほど苦痛な事はないはずです。しかしながら、のぶえさんは自分の生い立ちや家族の事を

話しながら、お客さんも私の家族ですと、観客の心をとらえようと一生懸命でした。プロという意識

だけではなく、この人本来の人柄がにじみでていたように思います。

 話し上手なのにはNHKのバラエティ番組などの司会者を勤めていて定評があります。しかし、

間近に聞いてみて、本当に話術のうまい人だなあと感じました。そして話の巧みさと、その話し方

に誠意がこもっていることが良く分かりました。本当に庶民的な人だと思いました。

 舞台では歌の間におしゃべりが続きます。目線はお客さんに出来るだけ近い位置、従って、

じかに舞台に腰を下ろして話しています。何曲かの歌も座ったままで歌いました。この人のように

全身で歌う人にとって、この姿勢は結構きついはずです。そして最後に近い一曲は「越冬ツバメ」

でした。まさに全身全霊を傾けた熱唱でした。まさか舞台から落ちるような事はないのでしょうが、

舞台間際まで熱唱しながら小走りに駆け寄り、思わず前列に座っていた人達はどきりとするような

場面もありました。顔には止めどなく汗が流れていました。歌い終わった時には、さすがに肩で

息をしているような状態でした。感動ものの熱唱でした。私は思わず声をかけていました。

 正直言って会場に入るまでは、さして期待もしていなかったショーでしたが、久々に感動し、胸の

中に熱いものがこみ上げてくるような舞台でした。これからも松原のぶえさんの歌がこよなく愛され、

末永く歌い続けられることを心から期待しています。

 歌手はヒット曲がなければ冷たい世間からいつしか忘れられてしまいます。どうか一日も早く

ヒット曲が出て、彼女が再び日本全国津々浦々の会場を満席にするような時代が来ることを

心から願っています。

                                         2001年10月23日掲載

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