地球温暖化防止京都議定書の発効

 先進国に二酸化炭素など温室効果ガスの排出削減を義務づけた「京都議定書」が2005年

2月16日午後2時をもって発効になった。採択から実に7年の歳月が経過した。その間、削減

のための具体策はどのようになったのだろうか。先日の朝日新聞によると47都道府県と13の

政令指定都市の内、減少したのはわずかに10府県市のみだった。実に嘆かわしい結果に

なっている。これで議長国としての義務が果たせるのだろうか。

 この間、大国ロシアが議定書を批准している。しかし、日本と並んでもっとも排出量の多い

アメリカは未だ批准さえしようとはしていない。

 しかし、温暖化の兆候は随所に現れ始めている。今回旅した南半球の国々でも年を追う毎

に洪水による被害が増えたという国や海岸道路が大波のためえぐられたという国、島全体が

水没の危機に見舞われている国等もあった。また、水没までには至らなくても海岸がどんどん

浸食されているという国もあった。

 近年ヨーロッパ各国でも従来には見られなかった異常気象が頻発している。それは長雨に

よる洪水であり夏の猛暑などだ。また、ネパールでは氷河が溶け水量が増した氷河湖の決壊

が懸念されているという。

 昨年、日本では従来になく台風の被害に見舞われた。ここ岡山県や広島県、香川県といった

瀬戸内海沿岸地方は西と南北を大きな山脈に囲まれ、もっとも台風被害の少ない地域だった。

一旦上陸した台風はこれらの山脈に当たって弱められ瀬戸内海へ来た頃は勢力が弱まって

いた。それが長年繰り返されてきたパターンであった。

 ところが昨年は弱くなるどころか勢力を保ったままでこの地方を襲った。それも二度も繰り返

してだった。一度目は海からの高潮が海岸地帯を襲った。そして二度目は大雨によって上流

から流れてきた水が高潮の被害を受けた家々を襲った。また、この時には各所で土砂災害が

発生した。こんな被害はかつてなかった事であった。

 私は以前から大潮の時の潮位の高さを懸念していた。海岸近くに住んでいる人達は見慣れて

いるせいか、あまり気にしてはいなかったようだ。後で聞けば、ここ数年潮位は以前よりは高く

なっていたようだ。その上に台風の低気圧で海水面が高くなり、更に強風で煽られて一挙に

沿岸地帯を襲ったのだ。

 海岸近くの住人の話だと海が突然盛り上がるようにして押し寄せてきたという話だった。この

ままの状態であれば年毎の多少の変化はあっても確実に被害を受ける頻度は高くなるに違い

ない。京都議定書の発効を待つまでもなく、今すぐに取り組まなければ大変な事になるのは

間違いない。

 今回の旅行で南極に行った人の話では海岸近くの氷が溶け、暑さのために横たわったままで

動けないペンギンを見かけたと話していた。また、海岸から放れた場所へ卵を産むペンギン達

は氷がなくなり体を滑らすことが出来なくなり、餌場にたどり着くまでに時間がかかりすぎて疲労

と餌不足のため死んでしまうようだ。

 南極の温暖化はペンギンばかりでなく実に深刻な問題が懸念されている。ここの棚氷が溶け

ていくと海水の大循環が停止してしまうと言われている。大きな氷の下に潜り込んだ海水は冷

やされて重くなり深海へ沈んでいく。その海水は新たに沈み込んでくる海水に押されて流れ出す。

これを繰り返すことによって海底に海水の大循環が出来ている。冷えた海水は赤道直下まで

達しここで浮上して熱せられた海水を冷やす働きをしている。これが赤道直下に於ける海水

温度の異常上昇を抑えている。しかし、循環がなくなり冷えた海水の供給がなくなると海水温度

は一挙に上昇を始める。海水温度が上昇すると海水の蒸発量は飛躍的に多くなる。そのため

に台風は大型化し発生頻度は異常に多くなる。また、日本近海の海水温が高くなっているため

に台風は勢力を弱めることもなく日本や各国に上陸してくることになる。

 また、台風と伴に懸念されているのはマラリアなど今までは熱帯地方の病気だと思われて

いた病気が日本で蔓延し始める事である。

 私は今回の旅行で日本の夏が異常に暑いことを知った。赤道直下に近いシンガポールよりも

暑いのではないかとさえ思った。それくらい日本の夏は蒸し暑い。私は温暖化防止のために

自分でも出来ることを自主的に始めている。その一歩はまず省エネである。必要以上に部屋

の温度を上げないように温度調節をしている。また、クーラーは極力使わないようにしている。

また、テレビの付けっぱなしをやめ、パソコンなどの待機電力は使わないようにしている。また、

それだけでは十分ではないと考えソーラー発電を設置しようと考えている。

 しかし、私達個人で出来る分には限りがある。もっと大量に排出しているところを止めないと、

どうにもならないところまで来てしまっている。工場や会社と言った大口をどう削減させるかが

政府に問われている課題だ。そのために、たとえ生産活動が停滞し生産量がダウンしても

やらせるべきではないかと思っている。今や企業エゴは通用しなくなっている。それがたとえ

国民一人一人にはね返ってこようともあえて受け入れなければならないのではないだろうか。

もちろんアメリカなどを巻き込んでの取り組みが必要な事は言うまでもない。

 倉敷市は赤字財政で四苦八苦している。バブル時代の大口債務が足を引っ張っているからだ。

その上、税収入は落ちている。追い打ちをかけるように今回の台風被害である。このような

自治体が今後も増え続けるのではないだろうか。

 すでにヨーロッパの国々では化石燃料や原発に頼らない自然エネルギーへの指向を強めて

いる。ドイツでは個々人の自家発電による電気を通常価格以上の値段で買い上げている。

それによってソーラー発電などへの取り組み強化策にしているのだ。

 一方、日本は相変わらず原発への指向を変えてはいない。原発もいずれは枯渇する資源で

ある。何よりも問題なのは生産国の大きな犠牲の上に立っている事である。生産者は深刻な

放射線障害に苦しんでいる。また、放射性廃棄物は大きな問題となっている。青森県の六ヶ所

村に処理設備を作ったが膨大な廃棄物の処理に見合うものではない。ドイツは早くから脱原発

に取り組んでいる。かつてのロシアのチェルノブイリ事故を考えるまでもなく非常に危険な設備

である事は言うまでもない。

 ともあれ議定書は待ってくれない。これから何をどうしようと言うのか政府の具体策を待ちたい。

そして私達自身も自分のために何かをしなくてはならない。

                                      2005年3月10日掲載

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