熊の出没

 今年はことのほか月の輪熊に関するニュースが多い。人が山に入って襲われたと言うだけでなく、里の方に

出てくる。家に帰ってみると熊が座っていたとか、消防署の車庫の中に熊がいたとか、とにかく毎日のように

ニュースになっている。

 いったい山はどうなっているのだろう。野生の世界にどんな変化が生じているのだろう。猛暑であったことが

熊の感覚器官に何らかの変化を来しているのではないかとか、相次ぐ台風で餌になるものが落ちてしまい、

冬に備えての食べ物がなくなってしまったのではないかと専門家は話していた。

 その話を裏付けるように、今年生まれたと推測される小熊のおなかは空っぽだったと言う話を聞いている。

やはり食糧不足は事実のようだ。専門家の推測が事実だとすると異常気象が原因だと言うことになる。その

原因を作ったのは他ならぬ私達人間である。生態系の一番弱いところにしわ寄せが来ている気がしてならない。

 種の絶滅が懸念されている月の輪熊だが、このままでは更に数を減らしてしまうのではないだろうか。何か

彼らを助けてやる手段はないのだろうか。捕獲して山に帰しても山に餌がないと同じ事の繰り返しになって

しまう。危険だからと鉄砲で撃ち殺してしまうのは取るべき手段ではない。だからといってそれに代わる有効な

手段があるわけではないが。

 先日は鹿が出てきたというニュースもあった。だとすれば熊だけでなく鹿までもと言うことになる。単に食糧

不足だけではなく私達人間には感じられないような何かが起きているのかも知れない。野生のものは敏感で

ある。

 話は変わるが昨日交通が多い近くの道路を走行中に狸が車にはねられて死んでいた。おそらく夜間、道路

を横断中に事故に遭ったものらしい。そう言えばこの道路の他の場所でも狐が轢かれ、鼬が轢かれていた

ことがあった。日中は目にすることのない野生動物だが、意外にも私達の近くに住んでいるようだ。従って、

交通事故に遭うことも多い。

 里山が宅地開発で失われ彼らの生活圏が狭くなっている。月の輪熊にしても同じ事だ。山に雑木林が少なく

なれば餌は少なくなってくる。こうして彼らの生活環境は年を追う毎に悪くなっている。何とかしなければ熊の

被害や野生動物による被害は減らないのではないだろうか。

追記

 当初は裏日本での被害が多かったようであるが、最近は岡山県でも被害が出始めていて、特定地域の現象

ではないらしい。確かに台風の被害があったとは言え尋常ではない。いったい山にどんな変化が生じている

のか改めて調査してみることが必要なのではないだろうか。

 ある果樹農家の方が、これは熊が悪いのではない、熊をこんな状況に追い込んだ人間が悪いのだと、御自身

のリンゴ畑が大きな被害に遭われたにも関わらず話しておられた。被害に遭われた方の言葉としては十分に

重みのある言葉であった。私達みんなが考えてみるべき事ではないだろうか。

                                          2004年10月16日掲載

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