コウイカを釣る

 色んな思い出のある船ですが、今回は以前から約束をしていたイカ釣りに出かけました。5月の連休前

に行こうと言っていたのですが、O君から電話があったのは5月1日でした。急遽、夕方の満ち潮を狙って

行こうという話でした。呼松の港に3時に集合との事でした。釣り竿や疑似餌の仕掛けを準備しようと思って

いた矢先の事でした。事情を告げると飲み物だけを持ってこいと言うことでしたので、にわか支度で出かけ

ました。イカは墨を吐くと言うことで服は汚れても良いものを着てこいとの事でした。

 船に乗ったのは4人でした。釣り場所は川崎製鉄(今はJFE)の沖にあるゴルフ場の海岸でした。とても

イカが寄ってくるとは思えないような場所でした。水深は比較的浅く仕掛けの上げ下ろしは楽でした。長い

海岸ですが、ポイントは限られているようでした。このポイントを狙って舟を何度も流しました。

 太陽はすでに西に傾き始めていました。潮は満ち潮で東から西に向けてゆっくり流れていました。初めは

誰の竿にも当たりがありませんでしたが、一人が釣ってから順調に釣れ始めました。

 私は日本海で二度、疑似餌によるイカ釣りを経験したことがありました。この時は、プロの漁師さんの船

でした。夕方、港を出て暗くなってから釣り始めます。集魚灯を赤々と点灯し、これに集まってくるイカを釣る

のです。イカの種類は剣先イカとスルメイカでした。

 この時の感覚は遠い過去のものとなっていました。O君の話だと底を引っかかったように重くなるので、

巻き取りをゆるめないように引き上げろと教えてくれました。魚とはまったく異なる感触で、非常に重い

のが特徴です。底に仕掛けが落ちたことを確認したらほんの少し引き上げます。そして海底に仕掛けを

引っかけないように確認しながらゆっくり上げ下ろしをします。そうして重く感じた時リールを巻きます。

ある程度巻き上げれば釣れたかどうかは重さで分かります。

 結局、この日の釣果は私が6匹で一番たくさん釣りました。大きなコウイカでした。コウイカは釣り上げると

激しく墨を吐きます。その量たるや半端な量ではありません。イカが擬餌針に引っかかったままの状態で

すくい上げます。この状態で墨を吐かせます。イカは海に向かって大量の水と墨を吐きます。この時、吐か

せる向きが悪いと、船の中や乗っている私達に墨がまき散らされます。

 ある時、網を持っていたO君が体だけでなく顔にも激しく墨を浴びてしまいました。真っ黒になった顔を見て

良い男が台無しになったと大笑いでした。顔から口の中とイカ墨だらけになってしまった。この墨は一度

付くとなかなか落ちません。手のひらのしわに入り込んだ墨が丸二日落ちませんでした。

 コウイカの釣りの仕掛けは実に簡単です。大きな疑似餌のエビには針がたくさん付いています。そして、

疑似餌の先に大きなおもりを付けて海に沈めます。ただそれだけの事です。イカは疑似餌を餌と間違えて

抱きつきこの針に引っかかるのです。時には一匹のイカが上がってくると後を追うようにもう一匹のイカが

付いてくる事もありました。同じ餌を狙っていたイカではないでしょうか。

 イカはこの時期になると産卵にやって来ます。防波堤の下には捨て石があり、その先には藻が生えている

ようで、イカはこの藻に卵を産み付けるようです。海底の状態は分からないが、ある場所に来ると釣れるのは、

そのためではないでしょうか。

 この日の釣果は短時間にしては大漁でした。3人が4ハイ、一番たくさん釣った私が5ハイ貰った。都合、

17ハイの釣果でした。船を港に向けた頃、太陽は大きく西に傾き、あれほどたくさんいた釣り船も数えるほど

になっていました。

    

これでも洗ってきれいにしたところである。袋に入れて持ち帰り袋から出したときはイカスミで真っ黒だった。

イカは新鮮な内に刺身で食べるのが一番おいしい。コウイカの身は分厚いのでもっちりとして甘みがあり非常においしい。

    

他には野菜と混ぜ合わせたサラダとシーズンの筍、ワラビとの炊き合わせなどイカ料理を楽しんだ。

                                               2004年6月13日掲載

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