−その1−

 おもちゃらしい物は何もない時代でしたが、子供達が遊びに事欠くような事はありませんでした。

数人が集まると、必ず何かをして遊んでいました。それも季節によって遊びは異なり常に変化していました。

長く寒い冬が終わり温かくなり始めると、手足のしもやけがむずがゆくなってきます。

手にも足にもしもやけがいっぱい出来ていました。

 僕らの子供の頃はズック(運動靴)が高かったので、冬は足袋に下駄、少し大きくなってから黒色の

地味なズック靴に変わって来ました。冬でもゴム草履を履いていた子もいたし、足袋のはけない

子もいました。別に珍しいことでもなかったし、そんな子がいても誰も気にしませんでした。

大なり小なり、みんな同じような境遇だったからです。

 そんな服装でも家の中に閉じこもっているような事はありませんでした。山に行ったり、路地裏で

日が暮れるまで色んな遊びをしていました。

 このページでは、貧しいながらも心豊かに過ごしてきた私達の子供時代、私達が四季を通じて

どんな遊びをしてきたかを、ふり返ってみたいと思います。


「天下」(てんかと言います。鍵かっこの中は私の当て字です。)

 ボール遊びの一つに「天下」がありました。お堂の屋根などに投げ上げられたボールを

鬼になった者が拾い、逃げた者達を追いかける遊びです。他の者達はボールが落ちてくるまでに

逃げたり隠れたりします。鬼になった者は落ちてきたボールを捕まえて、逃げたり隠れたりしている

手近な者に投げて当てるのです。ワンバウンドやツウバウンドで当たったのではダメです。

当たれば、当てられた者が代わりの鬼となります。

 いつまでも代わりを捕まえられなかったり、落ちてくるボールを地面に落とさずに捕まえられなかったら

鬼はいつまでも続きます。鬼になった者は落ちてくるボールを出来るだけ素早く掴むことと、

逃げ隠れしている仲間にうまく当てることが必要です。

「肉弾」(にくだん、これも当て字です。)

 肉弾は地面にグニャグニャに書いた線を描きます。線は内側と外側とに二重に描きます。

そして、ところどころに人が集まれるような場所を作ります。この場所を陣地と呼んでいました。

チームは内側のチームと外側のチームに分かれます。外側の方が勝ちチーム、内側の方が

負けチームになります。勝ち負けはじゃんけんで決めます。

 内側の負けチームは外側の勝ちチームの者を内側に引きずり込んでも良いし、突きだしても

良いのです。とにかく外側のチームの者が一人もいなくなるまでやっつけます。

こうして外側の者が一人もいなくなったら交代です。その代わり外側の者が一人でも生き残り

外側を一周して元の陣地に戻ったら、外側の勝ちで、ゲームは振り出しに戻ります。

「八肉弾」(はちにくだん)

 肉弾とよく似た遊びに「八肉弾」(はちにくだん)があります。これは地面に数字の8の字を書きます。

8の字の丸と丸の交差するところに両陣営の入り口を作ります。両陣営の者はここから出るときは

「けんけん」(片足跳び)で出ていきます。そうして、けんけん同士が陣地の外で押し合って

押し倒した方が勝ちです。倒された者はみんなの決着がつくまで待っています。

 繰り返し繰り返し飽きもせずにやっていました。

「ベース」

 地面に野球のベースを書く事から始まります。ベースの数は人数によって三つになったり、

四つになったりします。試合と言うほどの大げさなものではありませんから形にはこだわりません。

両陣営に分かれて、打つ側と守る側になります。ボールは庭球と呼んでいた柔らかいボールを

使います。このボールは今でも軟式テニスに使われています。空気が抜けて凹んでくると、

へその部分から注射器で空気を入れて使っていました。

 このボールを平手で思いっきり打つのです。弾力性のあるボールなのでよく飛びます。

一度、守る側になってしまうと、なかなか交代が出来ません。相手チームをみんなアウトに

してしまうと終わりです。ルールは野球に準じたようなルールだったような気がします。

「ゴム跳び」

 女の子達は「ゴム跳び」をやっていました。輪ゴムを何本もつなぎ合わせ、長いひも状にします。

それをピーンと張って、その上を越えるのです。ゴムの上を跳び越える時には、ゴムに当たらずに

越える方が良いのですが、自分の頭の高さくらいになると、とてもそのままでは跳べません。

従って、手を使わずに飛びついて、顎に挟んで跳びやすい位置まで下げて器用に跳んでいたようです。

誰が考えた方法か知りませんが、うまくルールは作られていたようです。

 スカートがゴムひもに引っかからないように、ブルマーパンツのゴムにスカートの端を挟み込んで

いました。跳ぶ高さは自分の膝、腰、首と言った関節部分を目安に変えていたようです。

「馬飛び」

 その他、冬の遊びには馬跳び(馬乗り)がありました。

先頭のものは大きな木や壁に背を預けて立ちます。他のものはその股に頭をつっこみます。

そして次の者、次の者と、次々と頭をつっこんで馬は長くなります。一方のチームは、その上に

跳び箱を跳ぶ要領で乗っていきます。みんな乗ってしまうと今度は馬を揺すります。

馬が耐えきれなくなって、倒れてしまうと初めからやり直しです。馬の先頭になったものが百数える

まで我慢して倒されなかったら交代となります。

 そんな訳で、チームに体の弱い子や小さい子がいたら惨めです。相手チームは、そこを狙って

揺さぶるからです。馬になった方は弱い子をかばいながら、必死になって前の子の足をつかんで

頑張っていました。

「缶けり」

 空き缶を広場の中央に置きます。他の者はそれを蹴って逃げます。鬼になったものは空き缶を

立て直して、逃げた者を追いかけます。その隙に逃げたものが出てきて、又空き缶を蹴っていきます。

鬼は逃げたものを探しながら、空き缶も蹴られないようにしなくてはいけません。

鬼になった者にとっては少し過酷な遊びです。鬼は隠れたものを見つけたら、その子の名前を

呼んで当たっていたら交代です。

 たわいのない遊びですが、空き缶を蹴る感触が良くて、空き缶が転がっていると拾ってきては

やっていました。

                                         2000年11月14日掲載

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子供の頃の遊び  その2

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