家族団らん

 ある日の夕食の後、家族で雑談をしていた時、娘がこう話し出しました。「うちが特別なんじゃろうか。よその家では

家族みんなで話したりする事やこう、あんまりねえ言うんよ」「たまに一緒に食事をしても、済んだらすぐに、それぞれの

部屋に行ってしもうて家族で話やこうしたこたあは滅多ねえ言うんよ」「どこの家もうちと同じじゃ思うて話しとったら違う

とったあ」

 これが事実としたら、家庭崩壊とか青少年の非行等と言うことも起きて当たり前の事なのかも知れないと思いました。

テレビドラマ等では家族団らんの姿が当たり前のように描かれています。しかし、家族みんなが集まってその日にあった

事などを話し合ったりするような家庭は、現実には意外に少ないのかも知れません。

 そう言えば非行に走る少年少女達のインタビューの中で、家に帰っても誰もいないからとか、叱られてばかりで面白く

ないからとか、お父さんとお母さんがいつも喧嘩ばかりしているから等ということが、テレビの特集番組の中で語られて

いたり、新聞のコラム欄の中にも書かれています。これらの話を総合すると実に寒々しい家族関係が想像されます。

 家族そろって楽しく食事をする。我が家では子供達が成長するまでの間、ほんの一時期を除いてずっと続けてきた

ことです。夕食がだめな時は朝食で穴埋めをしてきました。従って、一日に一回は家族全員が顔を合わせることが

長い間、習慣化していたのです。それは子供達が成人した後も続いています。残念ながら長男は東京の方に就職し、

娘も嫁いでしまいましたから、今では家族全員というわけにはいかなくなりましたが、子供達が帰省した時などは出来る

限り、その機会を作るようにしています。

 家族とは言えお互いに独立した人間同士ですからコミュニケーションは大切です。コミュニケーションを作る場は

やはり話し合いの場ではないでしょうか。一日一回家族が集まって歓談をする。簡単な事なのですが、なかなか出来

ないようです。子供達が非行に走るきっかけは、案外、私達自身が見落としている足下にあるのではないでしょうか。

これではいくら経済的に豊かになったとはいえ、もっとも大切なものを、その代償に支払っていると言わざるを得ま

せん。現代人は物質的には豊かになったように見えますが、家庭の中には隙間風が吹いているのかも知れません。

                                                  2002年9月6日掲載

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