海底の大動脈

 かつて私は地球のガイア説に非常に興味を覚え、私なりの思いを書いてきました。先日、南極の特集

番組で、南極から始まった海流が深海を通って赤道直下にまで達していることを知りました。

 南極の巨大な棚氷の下に吸い込まれた海水は、冷やされて重くなり深海に達します。その海水は深海底

の大河となって赤道直下まで北上します。南極の棚氷は、海水を冷やすとともに冷やした海水を吐き出す

巨大なポンプの役目もしているのです。大量に吸い込まれた南極周辺の海水は、棚氷の下で一気に冷や

されて大量の流れとなって吐き出されているというのです。

 想像してみるだけでも胸躍るような壮大な自然の営みです。休むことなく吐き出された海水は深層水と

なって北上し、赤道付近の二箇所で一気に浮上し赤道直下の海水を冷やしているというのです。その働き

によって赤道直下とは言え海水温は上昇することなく一定温度に保たれているのだそうです。

 私は解説図を見たとき、これは地球を人間の体に例えると南極という心臓から送り出された血液が流れて

いる大動脈だと思いました。他にも同じような海底の流れがあるそうですから、まさに地球という体全体を

流れている血流だと言えるのではないでしょうか。こうした目に見えない海水の流れによって地球環境は

作り出されているのです。地球は生き物だと言われる所以です。

 ところがこの流れに異変を生じ得ないような事態が起きています。それが地球温暖化なのです。巨大な

冷却ポンプであるべき南極の棚氷が年々縮小していると言います。このまま進めば心臓であるべき棚氷は

その機能を失う日が来るかも知れません。地球が死に至るときです。その時、地球上の気象には大きな

異変が生ずるに違いありません。赤道直下の海水の温度は上昇し、蒸発した大量の水は雨となって地上

に降り注ぎます。また、巨大な台風が際限なく幾つも発生することが考えられます。台風銀座と言われて

いる日本列島は未曾有の被害を受けるでしょう。ストップ・温暖化。今からでも出来ることはないのでしょうか。

                                             2004年6月13日掲載

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