解散・総選挙

 郵政民営化法案は参議院までいき反対多数で否決されてしまった。民営化そのものに反対

ではないが、将来が見えにくいだけに諸手をあげて賛成とは言い難い。小泉さんを支持する多

くの国民も全てを理解した上での賛成ではないと思う。

 ご存じのように郵政事業は三つの部門に分かれている。もっとも身近なのは郵便物の集配事

業、次に貯金の金融事業、そして保険事業だ。郵便物の集配事業に関しては、私達国民にとっ

て昔ほどの重要性はなくなっている。と言うのもそれに代わる通信手段が格段に進歩したから

だ。手紙を出す人は少なくなってしまった。手軽な葉書さえ、みんなが利用するのは年賀状くら

いのものではないだろうか。大半は企業が利用しているダイレクトメールやそれに類するもの

ばかりだ。

 金融事業はもっぱら国民のお金を預かることばかりで、一般の金融機関がやっているような

融資は行われていない。集めたお金は公共投資などに使われているが、その全容は良く分か

らない。聞くところによれば莫大なお金がアメリカの国債を買うことに使われているようだ。その

お金の多くはアメリカの国家予算に組み込まれ軍事資金になっているようだ。

 そして、保険事業はおなじみの簡易保険である。保障内容がはっきりしている事と国の事業

なので不払いや面倒な手続きが必要ない事から、多くの人が加入している。中には貯金感覚

で加入している人もいるのではないだろうか。

 郵政事業は親方日の丸と言われ、郵政省時代から長く怠慢経営が問題視されてきた。その

第一が日本全国に作られている保養施設等の経営だ。これらの施設は採算など関係なく経営

されてきたように見える。また、その建設に関する投資額も驚くような数字である。これらの多く

が投資の回収も十分でないままに、売りに出されようとしている。民間企業では考えられないよ

うな事が平気で行われてきた。

 郵便局の便利さは小さな町でも幾つもの郵便局があることではないだろうか。それこそ、郵便

局の貯金通帳さえ持っていれば、日本国内どこを旅行していてもお金に困ることがないと言わ

れてきた。それくらい郵便局の数は多い。そして、その多くが特定郵便局と言われる郵便局だ。

特定郵便局の局長さんは、その土地の知名人であり代々世襲されてきた。今日でこそ売り上

げなどが問題になっているようだが、その昔はそんな事など関係なく給料等が支払われてきた。

国が認知した特別職だった。選挙の度毎に自民党は特定郵便局の局長を利用し集票活動を

行ってきた。民営化になれば特定郵便局という制度はなくなる。

 こんな状態を考えると民営化賛成か反対かを問われれば、賛成だと答える人が多いのは当

然だと言える。私もどちらかと聞かれれば民営化には賛成派である。

 ただ、衆議院解散、総選挙までの経緯を見たとき、果たして解散総選挙でなければならない

のかと大いに疑問が残る。審議過程がどうであれ参議院で否決された事は間違いない。そうな

れば、この法案を提出した執行部である小泉内閣が総辞職するのが筋ではないだろうか。そ

れを解散総選挙に持っていった小泉さんのやり方は、かなり強引でファッショ化しているように

見えて仕方がない。

 その上、反対派の自民党議員は公認しないとか、公認する議員に対しては郵政民営化賛成

か否かの署名捺印までさせているようだ。まさに公認のための踏み絵としか言いようがない。こ

んなやり方が果たして民主的なやり方だと言えるのだろうか。そこまでして通過させなければな

らないほどの法案であろうか。見方によっては何かしら空恐ろしい気がしてならない。

 マスコミも単なる傍観者ではなく、もっと民主主義という観点から国民に自らの考えを明らかに

していくべきではないのだろうか。どのマスコミも及び腰に見えるのは私だけだろうか。

 一方、民主党は千載一遇のチャンスとばかり大躍進を旗印に掲げているが、この党が何を目

指しているのか、国民のために何をしようとしているのか、今ひとつ見えてこない。今回の郵政

民営化反対に関しても自民党内の反対派議員の姿ばかりが目について、民主党の姿が見えて

こなかった。今回の選挙では、もっと別な視点から国民にアプローチしていくものが必要なので

はないだろうか。

 その一つは、国民により身近な問題である少子高齢化の問題ではないだろうか。少子化の上

に、年金、医療など高齢化が抱える問題は実に深刻である。また、国際的に孤立を深めている

外交問題をどのようにしていこうとしているのか、今までどおりアメリカ一辺倒の政策でいくのか、

それともアジア外交重視でいくのか、大きな分岐点に立たされているのではないだろうか。

 ともかく郵政民営化に真っ向から立ち向かっていくべきテーマが欲しい。そうでなければ相変

わらず高い小泉人気を凌駕する事は無理なのではないだろうか。誰の目にもいま世界が大き

な変革期にあることは明らかである。その中にあって日本だけが埒外ということはないだろう。

遅ればせながらも世界の動きについていくためには、国民の皆さん一人一人が、今後どうある

べきかを真剣に考えて投票をして貰いたい。私達自身の将来を決めるのは、私達自身である

ことを忘れないで頂きたい。

                                     2005年8月15日掲載

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