今、自民党は空前の支持率を誇る小泉首相を前面に押し立てて参議院選挙に臨んでいます。

これで自民党が圧勝でもすれば、自民党のアキレス腱でもあった参議院でも多数派党となり、

自民党支持基盤は更に強固なものになります。

 残念ながら、今の日本では自民党に対抗出来るような強力な野党が存在しないまま、自民党

の政権維持を余儀なくされている。国民の多くは、自民党政治に大いなる疑問を持ちながらも、

支持するべき野党を持たず、どうしようもないジレンマに陥っている。かくいう私も今回の参議院

選挙で誰に投票しようかと大変迷っている。おそらくは、多くの方々が私同様、迷っておられるの

ではないでしょうか。

 私は今日の日本の状況を幕末における日本の状況に重ね合わせて見ています。その当時を

見てきたわけではありませんので、私の一方的な見方かも知れませんが、非常に似通ったような

ところがあるのではないでしょうか。

 幕末の政治体制は今の自民党とは異なり、将軍を頂点とする徳川幕府と地方に於ける各藩体制

の社会でした。もちろん、これら武士社会の頂点に立つ者は、徳川幕府の長でもある将軍でした。

ほとんど有名無実化していたとは言いながらも、将軍は三権を一手に握る巨大な権力を持っていま

した。その強力な政治体制を持ちながらも時の流れと世論には勝てず、本来、将軍の本家筋では

なかった亜流の徳川慶喜を将軍として迎え、幕藩体制を建て直さなければならないほど、当時は

切迫した状況に置かれていました。幕閣と言われた老中やその他の要職にも名門、非名門の区別

なく優秀な人材を登用せざるを得なくなっていました。今日とは異なり、門閥が厳然たる力を持って

いた時代にあって、なお、こうせざるを得ないほど、ぎりぎりの状況におかれていたと言えるのでは

ないでしょうか。それにも関わらず、結局は天皇に大政奉還し、江戸城を開放し、将軍自らも身を

引かざるを得ませんでした。

 振り返ってみれば武士社会とは言いながら貨幣経済が発展し、幕府はもとより他の藩も赤字財政

に大変苦しんでいました。岡山県の高梁市にお城があった板倉家(老中職を勤めた家柄)において

も山田方谷という学者を迎え藩経済の建て直しを図りました。多くの藩では商人に莫大な借金をして

いました。既に経済的破綻状態にあったことは間違いありません。今の日本にどこか似ています。

 果たして、今の自民党に自らの体質を変えていくだけの能力とエネルギーがあるのでしょうか。

大変疑問だと言わざるを得ません。たとえ一時期、徳川慶喜のような人気者を首相に据えたからと

いって、自民党それ自体の体質は全く変る事なく温存されているのです。それどころか、日本をここ

まで追い込んだ張本人達は機会あれば復権したいと、虎視眈々と政権の座を狙っているのです。

 今、財政上の理由から、公益法人、わけても特殊法人といわれる政府が作った組織にメスを入れ

なければならないと言われています。国家の赤字財政の要因の一つに、これら特殊法人への莫大

な支出があるといわれています。これを削減しなければ赤字財政は容易に解消しないとも言われて

います。これら特殊法人には高級官僚の天下り問題だけではなく、多くの族議員と言われる政治家

達が群がっている事も衆知の事実です。政府自民党は、国の予算をこれら特殊法人に湯水の如く

注ぎ込み、その金は回り回って政治献金となり、いずれは議員達の懐にも入るような仕組みに

なっています。それどころか、それぞれの法人は選挙ともなると、有力な集票マシンとなっている

のです。こんなうまい金ずるであり集票マシーンである組織をたやすく手放すとはとても考えられ

ないのです。この金と権力機構によってがんじがらめになった組織が温存されている以上、自民党

それ自体の体質が変わるとはとても思えないのです。

 小泉さんはこれを断固やるといっていますが、自民党の中にいてどこまでやれるのか多分に疑問

と言わざるを得ません。先の加藤さんの反乱のような腰砕けにならないことを祈るばかりです。私は

いかに頼りない野党とはいえ、こんな状況を考えるとやはり自民党に一票を投ずることだけは止め

ておこうと思っています。 急がば回れという言葉があります。仮に今回、参議院選で自民党が勝っ

ても、自民党自らが崩壊していく日は近いように思っています。その日のためには、政権を担える

だけの健全な野党を育てていくことが必要なのではないかと思っています。

                                         2001年7月15日掲載

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