循環型社会をめざして(エコランド直島)

 先日、機会があって香川県の直島に建設された豊島の産業廃棄物処理施設を見学した。この設備は国の

援助を元に香川県が建設した豊島の産業廃棄物処理施設(一部は地元直島町の廃棄物を含む)である。

 少しだけ、この施設が建設されるまでの経過を振り返ってみよう。豊島で産廃撤去の住民運動が起きるまで

には、多くの産業廃棄物が持ち込まれていた。将来を危ぶんだ豊島住民が立ち上がり、産業廃棄物の持ち

込みを許可した香川県を相手取って裁判を起こした。長年月を要した裁判は、住民側の全面勝訴となり、

香川県は住民に対し行政側の非を認めるとともに、大量の廃棄物を島から撤去する約束をした。

 しかし、膨大な廃棄物をどうのように処分するか、具体化をするとなると大きな問題だった。そこで考え出さ

れたのが完全循環型の廃棄物処理施設だった。完全というからには、廃棄物として残るものは何もないと

いう事だから、灰さえも出さないという事である。

 現在の廃棄物処理の多くは焼却処理である。廃棄物を燃やして量を減らし、出来た灰は埋め立てに使って

いる。しかし、焼却時の温度が低いと大量のダイオキシンを発生する。ダイオキシンの濃度を下げるためには

焼却温度を上げるしかない。しかし、多くの焼却炉は老朽化した古いタイプの設備であり、温度を上げる事が

出来なかった。そんな理由から公共や民間の多くの焼却炉が廃棄された。

 倉敷市でも新規焼却炉の建設が間に合わず、廃棄物の一部をお隣の岡山市に焼却して貰っている。廃棄物

処理は、地方自治体にとって頭の痛い大きな問題なのである。

 直島に建設された設備の特徴は、廃棄物を単に燃やすだけではなく、高温で溶かしてスラグというものにして

しまう溶融型の処理施設である。1200度以上の高温で一挙に廃棄物を溶かしてしまうのである。こうすれば

廃棄物はガス化したものを除けば、ダイオキシンを発生することなく固形物になってしまう。また、前処理段階

では鉄のように1200度では溶けないものをあらかじめより分けておく。

 出来たスラグは建設用の骨材として使い、飛散した灰からは有用金属を取りだした後、スラグにしてしまう。

まったく無駄なものはなく、全てを再資源化して使おうというシステムになっている。

(スラグは黒いガラス状の砂粒だった。これを骨材にしたコンクリート製品も展示されていたが、強度的には

一般のコンクリート製品と何ら変わらないとの事だった。)

 近代的な建物の中には大きな回転式溶融炉が二基置かれている。ほぼ連続操業となっている。この設備を

もってしても、豊島の廃棄物を全部処理するには、十年近い歳月を要するという。いかに運び込まれた廃棄物

の量が多いか想像出来るであろう。

 施設はすべて公開されており、誰でも見学する事が出来る。今、日本の多くの廃棄物は焼却処理だけでなく

埋め立てられている。その実体は将来大きな禍根を残すようなケースも少なくない。ほとんどは業者まかせに

行われているからだ。山の谷がゴミ捨て場となり、日々大型ダンプが通っている。行政は知っていて知らぬ振り

をしている。近い将来どんな形でしっぺ返しが来るか分からない。

こんな実情を考えると、ゴミを残さない社会の構築が必要であることを痛感せざるを得ない。直島の施設はその

ためのモデル施設ではないだろうか。一度は見ておく価値のある施設である。

                                             2003年12月23日掲載

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