野菜シリーズ

ジャガイモの話あれこれ   ジャガイモ(馬鈴薯)  ナス科

 ジャガイモのシーズンは一年に二度あります。私達が子供の頃は三度芋と呼んでいました。それは一年に三度収穫

できたからではないかと思います。どちらかというと比較的気温が低い季節を好むようです。従って、岡山県や広島県

地方では春と秋に作ります。では何故三度芋と言うのでしょうか。私の解釈では春秋ともう一度はこの地方の事ではなく

北海道や北の地方で栽培されているからではないかと考えています。北の地方ばかりでなく雪が早く降る地方でも秋の

ジャガイモ栽培は出来ません。このように一年に一度栽培するところと、比較的温暖な二度栽培できる地方と、日本列島

では一年に三度作れると言うことになるのではないでしょうか。

 ジャガイモは主食に次ぐ重要な野菜となっています。日本ではサツマイモが飢饉の年の飢えを救ったといわれている

ように、ヨーロッパではジャガイモが人々を飢えから救っています。ジャガイモがなかったら多くの人々が飢えに苦しみ

亡くなっていったのではないかと言われています。ジャガイモはサツマイモより寒さに強く、寒冷地でも保存がきく食物

です。こんな特徴がヨーロッパでもドイツなど寒冷地に住む人達の飢えを救う食物となったのかも知れません。

 かつてイギリスで主食代わりしていたジャガイモが腐ってしまい、食べるものがなくなったのがきっかけでアメリカ移民

が始まったとも聞いています。今でもジャガイモの消費が多いのはドイツやアメリカだと言われています。

 ジャガイモのふる里は南米のアンデス地方だと言われています。中南米から世界各地に広まった野菜は多いようです。

代表的なものはジャガイモでしょうが、トマトやピーマンといった茄子科の植物が多いようです。また、変わり種では

サツマイモやトウモロコシも中南米が原産地だと聞いています。野菜とは関係ありませんがタバコも中南米から世界各地

に広がったと聞いています。

 ともかくスペインのコロンブスがアメリカ大陸に渡ってからヨーロッパに持ち帰ったものがたくさんあるようです。それらは

ヨーロッパで広く栽培されるようになったばかりでなく、その後、東南アジアにももたらされ中国や日本にも渡って来るよう

になったのです。

 ヨーロッパでは主食と言えば麦や雑穀でしたから、ジャガイモはそれに代わるものとして大変珍重されたようです。以来、

ヨーロッパでは欠かせない食物として各地に広がったのではないでしょうか。

 ジャガイモを使った料理と言えば代表的なものは肉ジャガでしょうか。カレーライスにもジャガイモは欠かせません。

コロッケもジャガイモ料理の一つです。ジャガイモが脇役の料理まで入れると数限りなくあります。子供も大人も好きなのは

ポテトチップやフライドポテトです。このようにジャガイモは色んなところで使われています。

 ジャガイモは大変多くのデンプンを蓄えています。小学校の理科の実験でジャガイモをすり下ろし水に溶かしたもの

からデンプンを取り出す実験を思い出します。デンプンはヨードに反応しますから、デンプン検出にヨードを落としたり、

ジャガイモに直接ヨードを塗ったりしました。ヨードがデンプンに反応しますとジャガイモの切り口が真っ黒になったのを

思い出します。

 原産地アンデス地方では今でも主食の一つとしてジャガイモが作られています。その種類は多種多様です。色も又様々

です。これらを簡単な農機具を使って掘り返したところへ植え付けていきます。多品種を同時に植えるのは一品種が

病気でやられても他のものが残り、全滅と言うことが避けられると言う生活の知恵からです。アンデス地方のジャガイモは

原産地としてより原種に近いものがあるようです。これらを交配することによって更に丈夫な病気にかかりにくい品種の

改良も盛んに行われているようです。

 私達が子供の頃と言えば多くは男爵や農林一号と言った名前で呼ばれている丸い形をしたものでした。しかし、その後

メークインという長細い形をしたものが主流を占めるようになりました。私もずっとジャガイモと言えばメークインを作って

きました。しかし、この春、久々に男爵を植えてみました。男爵には男爵なりの味があるようで家族みんな喜んで食べて

いました。メークイン同様に作りやすいようです。また、今年は秋ジャガも植えてみました。どんな味なのでしょうか。大変

楽しみです。

 ジャガイモは太陽の光に長時間さらされると表面の皮が緑色に変化します。この部分や芽にはソラニンという毒物を

含んでいます。従って、光りの入らない薄暗いところに置いて保存します。春に収穫したジャガイモは秋になると一斉に

芽が出始めます。従って、料理の時には緑色に変化した皮や芽の部分は十分に取り除いて使います。こうして使った

ジャガイモも残ったものは芽の方に栄養をとられ、春先にはしわだらけになってしまいます。

 ジャガイモは連作を嫌います。ナス科の野菜はみんな連作を嫌います。従って、連作にならないようにするには栽培地

のローテーションが必要となります。そのためには、ある程度広い土地が必要です。これらの野菜を毎年作ろうと思えば

土地のローテーションを行うと共に、連作障害にかかりにくい品種を選ぶとか、接ぎ木をした苗を買うといった配慮が必要

です。

 ジャガイモは可憐な花を咲かせます。色も種類によって変化があるようです。現に食用ではなく花の観賞用として作って

おられるとも聞いています。花が咲けば実が成るのは当たり前ですが、私は残念ながらジャガイモの実を見たことがあり

ません。トマトに似た実だと聞いています。トマトと同じ仲間だと言うことがこの事からも良く分かります。

 ジャガイモは簡単に作ることが出来ます。畑の中に取り残した芋からでも茎が伸び、やがて土の中に芋が出来ます。

また、土の中に埋まっていなくても、そこから根を下ろし根本には小さな芋がいくつも付いています。生命力がきわめて

旺盛な植物です。こんな生命力の強さが世界各地に広がった大きな理由かも知れません。

 イギリスの沖合に点在する岩ばかりで出来た島でもジャガイモだけは栽培できると言います。この島では風がきつくて

少しばかりの土は吹き飛ばされてしまうようです。そこで畑の周辺には石垣を築き、風を遮り、その中に海草を敷き詰めて

土の代用となるものを作ってきたようです。そうして、わずかな土の代用品の中にジャガイモを栽培していると言います。

人間の知恵とたゆまざる努力で築き上げてきた農産物がジャガイモだと言えます。ジャガイモはこのように過酷な環境

の中でも人々の生活を支えている貴重な食料なのではないでしょうか。

                                                   2002年11月2日掲載

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