人生裏表

 アメリカ大統領の信任を占う選挙として注目された今回の上下両院の選挙が終わりました。結果は共和党が両院を

制して圧勝しました。これは、とりもなおさず共和党のブッシュ政権への信任でもあります。ブッシュ大統領が主張して

いるイラク攻撃に対しても、アメリカ国民の多くがGOサインを出した事になります。

 先の大統領選挙ではブッシュ大統領の当選はすっきりとしない形で決まりました。言い換えればブッシュ氏がアメリカ

国民の完全な支持を得て当選したとは言えませんでした。それどころか、それまでの民主党政治とは手のひらを返した

ような主義主張が繰り返され、アメリカ国民は言うに及ばず海外にまで、とまどいの声が上がっていました。

 しかし、運命というものは、どこでどう変わるか分からないものです。昨年の9月11日、アメリカにとっては大変不幸

な出来事がありました。強面のブッシュ氏をあざ笑うかのような衝撃的なテロ攻撃でした。結果はアメリカ人の愛国心

に火をつけるような事になってしまったのです。これはアメリカという国にとって大変不幸な出来事でしたが、一方の

ブッシュ大統領にとっては逆に人気を煽るような結果になってしまいました。不幸な出来事として世界の同情を買い、

反テロ活動として、いち早くアフガニスタンに軍を進めました。未だにオサマ・ビン・ラディン氏やアルカイダへの追跡の

手はゆるめていません。今は戦線を拡大して悪の枢軸国という名目でイラク攻撃まで始めようと画策しています。

戦線はどこまで拡大していくのでしょうか。

 一方、日本国内に目を転じてみますと、いまだ小泉首相の人気の衰えることはありません。それどころか先の衆参

両院の補選では自民党が圧勝しました。今の経済不況をはじめとする諸問題は、自民党の長期政権の元で生じた

事ばかりです。それらの具体的な解決が図られないまま、デフレスパイラルという、かつて経験したこともないような

深刻な状況の中にあります。表向きは派手なパフォーマンスを演じながらも、肝心な事になると田中元外相の発言を

借りるまでもなく「スカートの裾を踏んでいたのは小泉さんだった」と言うような事が少なくありません。、今回の不良

債権一掃についての竹中大臣の政策にストップをかけた事など、屋根に上がった人の梯子を平気で取り去るような

事をしておきながらも人気が衰えないのは何故でしょうか。自民党の中で自民党をこき下ろす事によって総理に当選

した小泉さんが、未だ自民党の中にいて自分流のスタイルを演じ続けています。何かしら、ごまかされているような

奇妙な感じがしてなりません。

 それというのも日本に自民党に取って代わるような政党がないからです。これは大変不幸な事と言わざるを得ません。

国民に不満はあっても不満を解消する方法がないのです。今や直接行動に訴えるしか方法はないのでしょうか。

鳩山さん一人の責任に帰するわけには行きませんが、鳩山党首の責任は大きいと言わざるを得ません。最早、鳩山

さんの元で政権を奪うことは難しいのではないでしょうか。

 かつて細川さんというスーパーヒーローが彗星の如く政界に登場し、新しい政治の潮流が見え始めました。しかし、

それも細川さん自身が政界から去るという誠に唐突な経緯で潰えてしまいました。今後、このような事でもない限り

新しい政治潮流は生まれないのではないかと危惧しています。

 よく今の時代は江戸末期に例えられます。江戸末期、最早、政権を担うだけの力がなくなった時の幕府は起死回生

の星として徳川慶喜を担ぎ出しました。しかし、慶喜も期待されたのは、ほんのわずかな期間でした。京都に幕府軍の

総司令として赴きながら体制が不利となると、さっさと江戸に引き上げてしまいました。後に残された者こそ哀れでした。

今の自民党政権もどこかしら似ているような気がしてなりません。

 何もかもが八方ふさがりの中で時間だけがどんどん過ぎていきます。新しい時代の芽はどこに顔を出しているので

しょうか。本来倒れなければならない政党が依然として政権の場にあり、取って代わらなければならない政党が低迷

を続けています。これは、ものの道理が裏表になっているという時代の混乱期にはよく見られる現象でもあるような

気がしてなりません。人の運命の裏表、人の世の裏表、いずれも人の手では制しがたいものなのでしょうか。

                                                   2002年11月30日掲載

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