東京21区に於ける衆議員の補欠選挙があった。結果は無党派層を基盤にした

中川候補が自民党や民主党といった既成政党の候補者を抑えて当選を果たした。

投票率も非常に低い中での当選であった。本当に価値ある当選ではないだろうか。

 それにしても政界は参議院の比例代表選挙の制度改定を巡って、しばらくの間、

野党の審議拒否という異常事態に立ち入っていた。やっと審議に入ったと思ったら、

十分審議されないまま、半ば強行採決のような形で法案は可決採決されてしまった。

法案が可決されるやいなや自民党は、早くも来年の夏の参院選挙に向けて大量得票の

出来そうな候補者選びに動き始めたようだ。本当になりふり構わぬ自民党である。

 しかし、いかに大量得票の出来る候補者を担ぎ出したとは言え、今の自民党離れの

状況を変えることは出来ないのではないだろうか。経済のバブル期には、様々な

権益を餌に大量得票をしていた自民党だが、大票田であった建設業界ですら、今や

瀕死の状態にある。

 今では、自民党は一党では多数派を確保できぬため、他党の応援を求めている。

公明党と保守党である。かつて公明党の協力を得るために、公明党の提案を無条件に

受け入れて、赤字国債を更に増やしてまで無節操なバラ撒きとも言える地方振興券を

配った。言い分は地方財政を活性化させるためにという事だった。

 しかし、悪評通り、活性化どころか、かえって地方自治体に負担をかけることになって

しまった。こんな事をしてまで協力を取り付けなければならないほど、今の自民党には

政治的な力や政策によって他党と競り合う能力をなくしてしまったと言うことではないのだろうか。

 今の自民党には人物なく、政権党であり続ける能力を失っていると言わざるを得ない。

戦前からの保守政治を振り返って見ると、事の善し悪しは別として、その時代その時代の

リーダーが存在していたように思われる。しかし、今の自民党を眺めるときに、そんな人物が

見当たるだろうか。全くと言って良いほど、その人物を見いだすことは困難である。

良識派の若手と言われる人達の中には、それなりの人材はいるのかも知れないが、

今の自民党体制の中では良いものも埋没してしまっているかに見えるのである。

 一方対抗し得るべき野党、分けても民主党の中にも、その人物を見いだすことは

出来ないのである。日本国民にとって、これほどの不幸はない。お隣の韓国と北朝鮮

との間に画期的な和解が成立し、かつての交戦国であったアメリカとの間にさえ和解の

動きが見られる。アメリカが積極的に交渉を進展させれば、日本の頭越しに両国の

間に国交回復という事にもなりかねない。

 激動する世界状況の中にあって、政治のより強いリーダーシップが求められるのである。

しかしながら、それに足りうる人物が見当たらない。維新前の徳川幕府の状況と酷似して

いると言えなくもない。なお、時を待たなければならないと言うことであろうか。多事多難な

状況にあって、不用意な発言を繰り返すような首相や週刊誌にスキャンダルを暴かれる

ような官房長官がいたのでは、日本の今後の舵取りにますます懸念を抱かざるを得ない

のは私だけであろうか。

 そんな中央政界の動きの中にあって、全く政治に縁の薄かった作家、田中康夫氏が

現役の副知事を破って見事長野県知事に当選した事は、なにかしら暗雲の中に一条の

明るい日差しを見出したような感じがするのである。東京の補欠選挙と言いい、今回の

長野県知事選挙と言い、何かしら変化の兆しのようなものを感じるのである。

 今は小さな一歩だが大切にしていきたい一歩である。既成の政党に頼ることのない新しい

息吹に期待をしたい。この動きが更に大きな動きになって行くことを祈ってやまない。

                                           2000年12月29日

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