左、植えて1年目のイチジク  1999年8月          右、昨年は一個だけであったが今年はたくさん実を

                                              付けている    2000年7月中旬撮影

 子供の頃のことです。丁度この季節(7月の末から8月の初め頃)、花トウガキを食べた事を思い

出します。さて、花トウガキとは、いったいなんだろうと思われる方が多かろうと思います。実は、

早熟れのイチジクのことです。

 私達は子供の頃、イチジクをイチジクとは言わずトウガキと言っていました。もちろん、私の住んで

いた神辺周辺だけの方言だとは思うのですが。恐らくは、大陸から日本に、この果物が入ってきた

時に、あちら(唐)から入った果物ということで、こういった名前を付けたのが始まりではないかと思う

のですが、定かではありません。

 イチジクという果物、漢字で書けば無花果、花のない果物と言うことになります。確かに他のすべて

の果物は花が咲いて、やがて実になっていくのですが、イチジクの花は見たことがありません。

イチジクは小さな実を付けたままで年を越すことがあります。それが花トウガキとなります。ほとんど

の場合は、その年に伸びた茎に実を付けます。ところが、先ほど書きましたように、冬越しをした

イチジクは他のイチジクに先駆けて熟します。それが私の子供の頃、花トウガキと言ったものだった

のです。実も大きく味も良かったのを、かすかに記憶しています。

 先日も果物屋さんの店頭にパック入りのイチジクがありました。実が小さかったので、果たして

花トウガキなのかどうかはわかりません。最近は何でも温室栽培ですから、あるいは促成栽培の

ものであったのかもしれません。

 本格的には8月の末頃から熟し始めます。私達が実だと思って食べていたのはイチジクの花だ

そうです。私達は花の部分を実と思い食べていたのです。それにしても、この甘さは何という甘さ

でしょうか。若い実は若いなりに、熟したものは熟したものなりの良さがあります。

 野生の生き物達は、めざとくおいしいものをねらってきます。アリや蜂と言った昆虫から、鳥達まで

熟したイチジクをねらっています。それ以上に、いやな昆虫(害虫)は、カミキリムシです。果実は

食べないのですが、イチジクの幹の皮を食い荒らします。そして、若い幹には幼虫の卵を産み付け

ていきます。イチジクの木は子供の頃の昆虫採集の格好の場所であったのを思い出します。色んな

種類のカミキリムシがやってきます。見つけたらこまめに取って始末しましょう。

 幹の皮だけでなく、芯までかんでいるような跡を見つけたら、ナイフの先でつついて みて下さい。

中の方に白い小さな卵があります。これが、カミキリムシの卵です。卵は何日かすると孵化して幼虫

になり、幹をどんどん食い荒らしていきます。やがて細い幹などは穴だらけになって枯れていきます。

太い幹でも中が空洞になってしまいます。幼虫が吐き出す糞を見つけたら、その穴にスミチオンの

千倍液を注入して下さい。穴はあちらこちらにつながっていますから根気よく、すべての穴に注入

して下さい。

 イチジクの木に登るときは注意が必要です。折れやすい上に、中が空洞になっていることが多い

からです。イチジクの根は地表の浅いところをはうように伸びていますから、植える場所は出来る

だけ柔らかい土のところがよいようです。

 倉敷周辺ではネマトーダという線虫防除の意味もあって田圃に植えているところもあります。又、

ひこばえといって根本にたくさん小さな木が生えてきます。これを切り分けて苗として増やすことも

出来ます。ともあれ、作りやすい果樹です。大木にするのも良いし、小さく育てるのも自由自在です。

但し鉢植えは無理です。成長が早い木ですから植えて2年目位から、いくらかの収穫を得ることが

出来ます。

 イチジクを早く熟させようと思ったら実の先端部分、赤いところに植物油を塗ってみて下さい。実が

小さく固いときはダメです。少し大きくなった頃やってみて下さい。塾期が早まります。

 子供の頃、大家さんの家に大きなイチジクの木がありました。この木に登ってイチジクを採ること

は大目に見てもらっていました。幹は大変滑りやすく、ある時、少し油断をしていて体の向きがくるり

と変わり、ナマケモノ状態になってしまった事がありました。見ていた隣のおばさんが大慌てで下に

来て、落ちたときに受けてやろうと手を差し出してくれました。幸い何とか元の状態に戻ることが出来、

転落せずに済みました。子供の頃の懐かしい思い出です。今の季節になると懐かしく思い出します。

 ともあれ、何度も植えては枯らしたことのある果樹です。現在は昨年植えた3代目が原因不明で

枯れてしまい4代目が成長しています。


病害虫

カミキリムシ(色んな種類がやってきます。)  薬はあまり効きません。見つけたらこまめに捕って

やります。

カミキリムシの入った枝、このように糞と樹液がにじみ出している。  2000年夏撮影

手入れ

特にありません。寒肥を他の果樹同様、やるくらいでいいでしょう。

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